『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY         第4章  船出  10

2011-11-18 08:32:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスは、パリヌルスから申し渡された大きな任務について、いっときの間、思案した。
 忙しく立ち回っていたアンテウス、セレストス、リュウクスの三人がオロンテスの許にやってきた。セレストスがオロンテスに声をかけた。
 『オロンテス船長、全員の配属に関する業務が終わりました。ところで、市民たちを2隻の船に割り振らなければなりません。これは、オロンテス船長に差配していただかねばなりません。即刻、やってしまいましょう』
 『お~っ!よし、判った。直ぐやろう。ところでだ、三人ともよ~く聞くのだ。今、パルヌルス隊長と打ち合わせを終えたところだが、大任を引き受けることになった。食糧の件だ。君たち三人と市民の連中、全員で取り組む。判ったな。いいな。ぬかるんじゃないぞ。全員、心してかかろう。いいな』
 オロンテスはちょっと、気負った言い方をした。
 『判りました。入念実行です。やりましょう』
 『出港準備完了までの時間が多いとはいえない。改造交易船の2隻は、この俺の管理下にある。君たち三人の手を借りる。頼むぞ。では、市民たちの割り振りにかかろう』
 オロンテスは、市民たちを親しさをたたえた眼差しで見つめ、おもむろに声をかけた。市民たちはオロンテスを知りすぎるくらいに知っている。彼らは、やさしい目で彼の口許を見つめた。
 『君たちの乗る改造交易船は私の管理下にある。ここにいるアンテウスが六番船の船長であり、このリュウクスが副長を務める。そして、五番船は、、、、』 と言ったところで言葉をきり皆を見渡した。