『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY           第4章  船出  16

2011-11-28 07:06:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスは、感極まって口を開いた。
 『お~い!トリタス、これはたまらん、いい匂いだ。浜で焼く魚の匂いはたまらん。すきっ腹にしみる』
 『そうでしょう、そうでしょう。この匂いが一番目のご馳走です。次に一献かたむける。魚のほほげたの肉を塩あんばいで口に運ぶ。あごが外れそうになる、そして、舌つづみです。思わず『うまいっ!』と吼える、これが醍醐味です』
 四人は、席に着き旬の初めの脂がのりはじめた魚を味わった。
 『うっう~ん、うまいっ!』アエネアスが吼える。続いてイリオネスも吼える、トリタスがこだまよろしく声をあげた。同席している浜衆も旬に向かいつつある焼き魚を味わって、そのうまさと歓びを共有した。
 アエネアスら三人の感慨は、ひとしお、身に溢れた。トリタスが声をかけてきた。
 『イリオネスどの、統領は、この私に何か用事があったのでは?』
 トリタスの慎重な問いかけに、イリオネスは答えた。
 『それはある。話は統領が話されるまで待て。それよりトリタス、浜衆に言いつけて、お前が乗る馬を用意させておけ。今日これから、お前を連れて、エノスの砦にエノゼリアス領主を四人で訪ねる』
 『判りました』
 トリタスは、浜衆に馬の準備を指示した。