天候と言う大自然の営みと使命を持った一国の民との運の勝負であった。この時代の人間には、不明であるばかりに思い上がりな考えのところがあったであろうか。それとも大自然の営みの変化、天変地異に畏怖しながら対処していたのであろうか。
時は過ぎていった。垂れこめていた雲が次第に高くなっていく、風もおさまりつつあった。風浪も踊りつかれたのであろうか小康に向かっていた。
パリヌルスとオキテス、その傍らにユールスを連れたアカテスが立って西の空を見上げていた。簡素な非常食の昼めしを終えて、彼らは浜辺に立っていた。一方、オロンテスの指示のもとで作業についている者たちは、堅パン作りに忙しそうに立ち回っていた。
オキテスはアカテスに話しかけた。
『西の空が明るくなってきている。青空も雲のまにまに見えている。アカテス、あんたは、俺より長く生きてきている。この空模様、天気の具合をどう思うかね』
『う~ん、風は西からの風に変わってきている。この調子だと、なんだな、天候は快方に向かうはずである。トロイの地も陸と海の関係が、この小島の地勢に似ている。明日は晴れる。俺のこれまでの経験から考えて、海における天候は明日一日は大丈夫と考えていい。風向きはどうかだが、期待の風が吹いてくれるよう、これは祈りの領域だ。それからあと、ミコノスから以南の海域は多島の海域だ。ここでミコノス以南の天候予測は無理というものだ。判ってもらえるかな』
『う~ん、そうか、判った。パリヌルス、お前の考えている予測はどうだ』
時は過ぎていった。垂れこめていた雲が次第に高くなっていく、風もおさまりつつあった。風浪も踊りつかれたのであろうか小康に向かっていた。
パリヌルスとオキテス、その傍らにユールスを連れたアカテスが立って西の空を見上げていた。簡素な非常食の昼めしを終えて、彼らは浜辺に立っていた。一方、オロンテスの指示のもとで作業についている者たちは、堅パン作りに忙しそうに立ち回っていた。
オキテスはアカテスに話しかけた。
『西の空が明るくなってきている。青空も雲のまにまに見えている。アカテス、あんたは、俺より長く生きてきている。この空模様、天気の具合をどう思うかね』
『う~ん、風は西からの風に変わってきている。この調子だと、なんだな、天候は快方に向かうはずである。トロイの地も陸と海の関係が、この小島の地勢に似ている。明日は晴れる。俺のこれまでの経験から考えて、海における天候は明日一日は大丈夫と考えていい。風向きはどうかだが、期待の風が吹いてくれるよう、これは祈りの領域だ。それからあと、ミコノスから以南の海域は多島の海域だ。ここでミコノス以南の天候予測は無理というものだ。判ってもらえるかな』
『う~ん、そうか、判った。パリヌルス、お前の考えている予測はどうだ』