『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  231

2014-03-18 08:20:29 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 マクロスは、殺気を漂わせて答えた。
 『俺たちの事か。我々はこのたび小島一帯の地に居を定めたトロイの民だ。レフカオリの山麓の樹林帯の検分が、俺らの旅の目的だ』
 彼は気で圧した。
 『ほう、そうか。しばし待たれよ』
 声がけした者が砦らしからぬ建物の中に姿を消した。間をおかずに一人の男を伴って姿を現した。体格は大きい、容貌にいかつさはないが目線が異様に鋭い、その男は武器を身に着けていなかった。二人がマクロスたちに歩み寄ってくる。男が話しかけてきた。
 『そのほうらの用向きは耳にした。お前らの事は知っている。統領は達者か?先日お前らの居住地に招かれた折に会っている。聞くが、お前らの旅の日程はどうなっている?』
 『俺ら、一行の旅の日程か、現地一泊、二日の日程だ』
 『そうか、いいだろう。タブタ、こっちに来い』と言って、マクロスの背後にいる四人のうちの一人を手で招いた。
 『タブタ、一泊二日の旅だ、支度をして来い』
 彼は言い終わって、マクロスのほうを向いた。
 『お前の名を聞こう。俺は、一族を仕切っているガリダだ』
 『俺は、一行を率いていく任を負っているマクロスだ』
 『判った、マクロス。俺の方からも案内人をお前たちにつける。タブタというものだ。道中、何かと役に立つはずだ』
 話し合う二人の語調が変わってきていた。言葉に親しさを帯びてきている。
 マクロスは、ソリタンと目を合わせた。ソリタンの目は『OKしろ!』と語っていた。
 『ガリダ殿。それはかたじけない。ご厚意を歓んで頂戴する。お世話になる』
 少しばかりの間が空いた。その案内につくタブタが旅装を整えてやってきた。タブタはマクロスに簡単に挨拶をした。
 『タブタです。頭領の言いつけで案内の役を務めます。よろしく』
 『俺は、一行を率いているマクロスだ。このたびは世話になる、一泊二日の旅だ。宜しく』と返した。
 マクロスは、ガリダのほうへ身体を向けた。
 『ガリダ殿。この配慮を歓んでうけます。私、帰参した折には統領にこのことを伝え、改めて挨拶に伺います』
 『判った。道中の無事を祈る。タブタ、お役に立てよ!』
 『判りました』
 一行は土豪の頭領ガリダとの挨拶を終えて、レフカオリ山麓の樹林帯を目指した。
 マクロスとソリタンは、顔を見合わせた。
 『隊長、うまく行きましたね』
 『おう、うまくいった。しかし、あれだな、我々の統領も大したもんだ』
 マクロスは歩きながら一同に声をかけた。
 『お~い、者ども!歩きながらでいい、名を名乗って自己紹介をして、タブタと握手を交わせ。7人!一心同体でレフカの樹林帯を目指す!いいな』
 一同は、『おう!』と短く返事を返した。
 一行の旅の目的遂行の連帯感が一気に高まった。
 トピタスは、マクロスの人心掌握の技に感じ入った。