山行の旅から帰った者たちは、疲れも見せず、深更にまで至った宴に酔いしれた。宴は楽しかった。問われるままに質問にも答えた。宴が終わって総勢が寝所に引き上げた。
アヱネアスも宿舎に帰る、懐かしい匂いがすり寄ってくる。床に就いたが寝つきがおいそれとは来なかった。イデー山頂で目にした世界が閉じたまぶたの裏に想起してくる。
初めて目にした世界の印象が鮮やかに、そして、強烈によみがえってくる。その向こうに、また、別の世界が展開しているという不思議であった。どう考えても不思議であった。
盆の上の世界、その盆の上の世界の向こうに、また、盆の上の世界が存在しているという。盆から盆に、どのようにして渡り歩くのか考えても考えても思いつかなかった。そうこうしているうちに、いつしか深い眠りに入ったようであった。
思いがけなくよ~く眠ったようである。目を覚ました時は明るかった。
彼は、飛び起きた。
『ユールス!ユールス!』
ユールスの名を大声をあげて呼ぶ。呼んだが返事がない。続けてアカテスを呼ぶ、これにも返事がない。かわりに父アンキセスの声が答えてきた。
『お~お、アヱネアス、帰ったのか』
『昨夕、戻りました。親父殿変わりはなかったかな?』
『おう、変わりはない、安心しろ。ユールスはアカテスと一緒だ、少し前に朝行事に出ていった。お前、ご苦労であったな。詳しい話はあとでゆっくり聞こう』
『判りました』
アヱネアスは海への坂を下りて行った。居た居た、ユールスは自分の身の丈に合った海の浅いところで朝行事の水浴びをしている。アカテスがアヱネアスがいることに気づいた。
『あっ!統領、お帰りなさい。昨夕、ユールスをと思いましたが、何事も公務優先です。朝明けてゆっくりと思いまして』
『そうか、判った。アカテス、変わりはなかったかな?』
『え~え、変わりはありません。イデーの山はいかがでしたかな?』
『おう、それについては、また、ゆっくり話してやる』
『ありがとうございます。何はともあれご無事でのおかえり何よりでした。アンキセス殿もお歓びの様子です。では、ユールス殿をお渡しいたします』
アカテスは、丁寧に言葉を述べた。アヱネアスが海へと歩を入れる、身を浸した。
『おう、ユールスこい!帰って来たぞ!元気そうだな、何よりだ。離れていたればこそ、おまえの成長が見える』
アヱネアスは、ユールスを抱きしめた。共に過ごす朝行事のいつ時、二人にとってかけがえのない時間なのである。
アヱネアスも宿舎に帰る、懐かしい匂いがすり寄ってくる。床に就いたが寝つきがおいそれとは来なかった。イデー山頂で目にした世界が閉じたまぶたの裏に想起してくる。
初めて目にした世界の印象が鮮やかに、そして、強烈によみがえってくる。その向こうに、また、別の世界が展開しているという不思議であった。どう考えても不思議であった。
盆の上の世界、その盆の上の世界の向こうに、また、盆の上の世界が存在しているという。盆から盆に、どのようにして渡り歩くのか考えても考えても思いつかなかった。そうこうしているうちに、いつしか深い眠りに入ったようであった。
思いがけなくよ~く眠ったようである。目を覚ました時は明るかった。
彼は、飛び起きた。
『ユールス!ユールス!』
ユールスの名を大声をあげて呼ぶ。呼んだが返事がない。続けてアカテスを呼ぶ、これにも返事がない。かわりに父アンキセスの声が答えてきた。
『お~お、アヱネアス、帰ったのか』
『昨夕、戻りました。親父殿変わりはなかったかな?』
『おう、変わりはない、安心しろ。ユールスはアカテスと一緒だ、少し前に朝行事に出ていった。お前、ご苦労であったな。詳しい話はあとでゆっくり聞こう』
『判りました』
アヱネアスは海への坂を下りて行った。居た居た、ユールスは自分の身の丈に合った海の浅いところで朝行事の水浴びをしている。アカテスがアヱネアスがいることに気づいた。
『あっ!統領、お帰りなさい。昨夕、ユールスをと思いましたが、何事も公務優先です。朝明けてゆっくりと思いまして』
『そうか、判った。アカテス、変わりはなかったかな?』
『え~え、変わりはありません。イデーの山はいかがでしたかな?』
『おう、それについては、また、ゆっくり話してやる』
『ありがとうございます。何はともあれご無事でのおかえり何よりでした。アンキセス殿もお歓びの様子です。では、ユールス殿をお渡しいたします』
アカテスは、丁寧に言葉を述べた。アヱネアスが海へと歩を入れる、身を浸した。
『おう、ユールスこい!帰って来たぞ!元気そうだな、何よりだ。離れていたればこそ、おまえの成長が見える』
アヱネアスは、ユールスを抱きしめた。共に過ごす朝行事のいつ時、二人にとってかけがえのない時間なのである。
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