『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  544

2015-06-11 08:32:27 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 心温まる二人の語らいであった。
 『オロンテス、打ち合わせ会は、昼めし後、統領の宿舎でやる』
 『判りました』
 二人は、宿舎へとたどる道すがら、撃剣の訓練の場に顔を出し、リナウスと言葉を交わして帰ってきた。
 『イリオネス、昼めしだが一緒にどうだ?』
 『え~え、喜んで一緒します』
 『おう!』二人の意気は投合した。
 食の時間は、朝の起床に始まり、一日を過ごすうえでの句読点として大切であったらしい。次のステップに踏み出すための必要欠くべからざる時であったと推察される。
 二人は、昼めしの時間を楽しんだ。
 『軍団長、そういうことだ。打ち合わせの話し合いの進行を頼む』
 『心得ました。アレテスが来ますが、塩漬け魚、それに干し魚の荷動きを聞いておきたいと考えています』
 『それは是非もないことだ。頼む。スダヌスの思惑もあることゆえ、洞察する必要も生じてくる。なあ~、軍団長、商うということはむつかしいところがある。運の良し悪しが結果を決めることもある』
 『そうですな』
 『尽くす人事、天命が決める結果というところか。度を超すしくじりをしないことだ』
 アヱネアスは、失敗を避けずに、失敗をできるだけ小さくを望んでいるようであった。
 二人は、一同が集まってくるまでの間、雑談を交わして過ごした。今日のメンバーは、パリヌルス、オキテス、オロンテス、そして、アレテスである。
 アヱネアスの宿舎の庭先に一同が顔をそろえる。打ち合わせが始まった。イリオネスは打ち合わせ事項の順序について述べた。
 オロンテスから話は始まり、次いで、アレテスが担当ワークの推移について述べた。アレテスの担当ワークにおける加工品の捌きについて、質問されたが、現在のところ不安がなさそうである。
 イリオネスがアレテスに注意を促したことは、季節の移ろいと加工品の品痛みに関する事であった。
 『アレテス隊長、そういうことだ。充分に気を配って仕事を進めるようにーーー』と結んだ。
 終盤は造船事業について、事情の推移と組まれている予定について話し合った。
 用材調達の手配について、ガリダ頭との話し合いがうまく運び、五日後より用材がとどき始まることが説明された。また、ドックスの造船技術講習が行われていることなどが報告され、順調な推移で事業が進み始めていることが確認された。