『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  941

2017-01-09 08:51:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『なあ~、ドックス、この俺もパンの工房を預かって運営している。時々考えることがあるのだな。『創り出す』と『造る』 この二つを比べると、これに費やす我々人間の持てる力が異質であることを感じる。この二つの力が相まって、何物かを創造し、造りあげて未来へとつながっていく。パリヌルス、オキテス、そして、ドックスお前だ。お前ら三人の力が創り出し、造る物が人間の未来をきり拓いている。素晴らしいことだと思う。必ず、お前らがやっていることが未来において評価されると考えている』
 『ありがとうございます。仕事をやっていくうえで、くたばることなく力いっぱい努めます』
 『おう、人間は、仕事をするときには、その意気、その覚悟だな!しかし、言っておく、力みは広くあらねばならん注意をせばめる。そういうことだ』
 『そうですね。言われる通りです。日常の仕事を通じて感じています。気を配って仕事に携わっていきます』
 『ドックス、昼めしは充分だったかな?』
 『腹は、いっぱいです』
 『では、俺は売り場に戻る。お前はどうする?』
 『はい、私は、これから造作金具類の最終打ち合わせです』
 『そうか、うまくやれよ!』
 二人はそれぞれに足を向けて広場をあとにする、ドックスは、クギテスの金具売り場に歩を運んだ。
 売り場のテーブル上には、造作金具類が取り揃えられている。
 売り場には見知った顔の男が笑みを浮かべて立っていた。
 『おう、ドックス殿、ようこそ!ここの売り場のクギテスから事の次第を聞いてここにいる、ことはうまく進んでいるかな?』
 『それはもう、クギテス殿が大変によくしてくれています』
 『おう、それは何より』
 二人は言葉を交わしいる、頃合いを見て、クギテスがスダヌスの傍らに立った。
 『ドックス殿、造作金具類、各種取り揃えました。見てください。スダヌス殿から話は伺いました。遠慮せず何なりと行言ってください。私どもはクギ類、造作金具類については、ドックス殿の要望に応えられると自信を持っています。では始めましょうか』
 ドックスは、クギテスと軽くうなずき合ってテーブル上の金具類に見入った。
 ドックスは、考えうる構想、そして、構造を考えて造作金具はどうあるべきかを思考してテーブル上の金具を手に取って吟味する、戦闘艇の建造に際しての条件に対応できるか否かをチエックした。