『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  942

2017-01-10 09:02:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『クギテス殿、今度、私どもが建造する船に使う部材の重量を考えると、この造作金具でそれらの条件に対応できるか否かについて考えています。造作金具の構造が、丸棒状がいいのか、板状がいいのか、それも考えなければならない点なのです。それらについてよく考えてみます。この金具で板状でできたものがあれば見せていただきたい』
 『解りました。準備いたします』
 クギテスが座をはずす、このやり取りの光景を見ていたスダヌスは、ドックスと目を合わせ、うなずき合って、自分の売り場に戻っていく。
 ドックスは、手にした造作金具を念入りにチエックをする、うなずくところもあれば首をかしげて思案するところもある、彼は慎重に吟味作業を進めた。
 クギテスがドックスが要望した金具をもって戻ってくる、ドックスが眺める、チエックする、思案する、思案に及んだ金具の要点をクギテスに伝える、クギテスが倉庫に歩を運ぶ、ドックスはクギテスが持ち来た中央部分が板状に作られた造作金具を手に取って丹念に見る。
 この類の造作金具として満足のいく条件を備えた金具である。金具サイズはやや大きめである、強度については充分であると考えられる、彼は決定した。
 他の金具についても二人は意見を交わし、造作金具をドックスが考えたリスト通りに数量を打ち合わせた。
 指示した注文通りに品がそろう。
 『お~お、クギテス殿、品がそろいましたな。明細と勘定書きを作ってください』
 『承知しました』
 クギテスが木板に明細を書き、勘定書きを作成してドックスに渡した。
 『クギテス殿、こちらの数字が木札の枚数ですかな?』
 『はい、そうです』
 『持って帰れるように荷を作ってもらいたいのだがーーー』
 『解りました』
 『そこで支払いの件だが、私は、当方がやっているパン売り場まで行ってきます』
 『はい、解りました』
 ドックスは、明細と勘定書きが書かれた木板をもってパン売り場に向かう、ドックスはオロンテスに造作金具の商談が終わったことを報告し、引き取って持って帰ることを告げた。
 『おう、ドックス、事情は解った。任せておけ!』
 オロンテスは、集散所の詰め所へと向かう、彼はトミタスを連れて戻ってくる。
 『ドックス、こちらは集散所の新艇の販売担当のトミタス殿だ。一緒にクギテス殿の金具売り場に行って、荷ができていたら受け取れ。そして、明細勘定書きができていたらトミタス殿に渡して、取引をトミタス殿に引き継げばそれでいい。後の処理は俺がやるということだ』
 オロンテスが言葉を継ぐ。
 『あ~あ、それから、明細勘定書きはもらって来いよ!以上だ』