『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1022

2017-05-02 08:20:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『全帆を下ろせ!』
 水夫長の指示が飛ぶ、帆おろし作業をやってのけるギアスの部下の二人、水夫らはその作業のしぐさをじい~っと見つめている。
 『水夫長、以上が帆張り、帆下ろしの作業です。指示を発してやってみてください』
 『了解です』
 水夫長が、即、指示を発する、水夫らが帆張り作業を実行する、続けて、帆下ろし作業も行う、彼らは、そつなく帆張り、帆下ろしをやってのける。ギアスは感心するとともに安堵した。
 再度、帆張りして、艇を帆走状態に移行した。
 北東からの順風がいい感じである、艇が快走する。
 艇上の者らが航走を体感する、艇は折からの風を帆にはらみ、ブレのない安定した走りで、レテムノンの浜を目指して波を割り航走した。
 『オキテス殿、水夫ら一同が操船について、納得したようです。あとは慣れることです。ご苦労でした。ありがとう。ところで、今日、君らが乗ってきた船はなんなのだ?』
 『あ~あ、あの船、あの艇ですか。あれは試作艇です。お客様からの要望で試作した船です。ただいま試し乗りの真っ最中といったところです』
 『船体がやや細めで長い。まだこの頃合いだ、ちょっと乗ってみたい。スダヌス、どうだ乗ってみたいと思わんか?』
 『オキテス、テムノス殿が言っておられる、走ってみようではないか。俺も大いに興味がある』
 『解りました。すぐ準備を整えます。少々、お待ちください』
 間をおかずギアスがオキテスに伝えてくる。
 『オキテス隊長、準備ができました。皆さんの試乗ですが、先ほどのコースでよろしいでしょうか?』
 『おう、あのコースでいい!』
 『了解しました』
 テムノスとスダヌスの二人をギアスが試作艇の艇上に案内する。
 『テムノス殿、どうぞ。テムノス殿とスダヌス浜頭は一番前の席に座をとってください。そのように座が作られているのです。二番目より漕ぎ座になっています。漕ぎ座が24座、艇は衝角構造体を具備しています。また、操船する舵構造が試験的な構造になっています』
 『そうか、解った。うちの水夫長と操舵手も乗ってかまわないな』
 『え~え、どうぞ!』
 一同が試作艇に乗る。
 『おう、ギアス、艇を出してくれ』
 オキテスが声をかける、艇が波を割り始める。
 『おう、オキテスにギアス、ちょっと乗り心地が違って感じる』
 『あ~あ、それは艇構造の影響であると考えられます。艇の重さが少々重くできています』
 『そのあたらしい、試験的な舵構造とはどんな構造なんだ?操舵させてみろ!』
 『どうぞ!』
 『お~お、これは?!』と言って、スダヌスが唖然としている。
 『ギアス、ちょっと、操舵してみろ!俺がやるのはそれからだ』