『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1032

2017-05-16 08:02:16 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ギアスが立ちあがる、一同に伝えるべく口を開く。
 『一同に伝えておく。食事を終えたら、寸時、身体を休める。いいな。そのあと、艇を建造の場の浜につける、揚陸して今日を終えてくれ。作業はゴッカスの指示に従うこと、以上』
 『ゴッカス、建造の場の浜で揚陸するときの注意事項を伝えておく。ドックス棟梁に航海の経緯を簡単に伝えて礼を言うこと。揚陸場所の指示を求めて作業に取り掛かる。いいな。揚陸を終えたら、艇の整頓をする。そして、艇に礼を尽くす事を忘れるな。艇に神宿るだ。以上だ』
 『解りました』
 『ゴッカス、俺は、建造の場のオキテス隊長のところにいる、作業を終えたら連絡をしてくれ』
 用件を終えたギアスは、場をあとにした。

 『おう、オキテス、お前、昼飯を終えたのか?』
 『いえ、まだです』
 『俺の宿舎でとれ。昼食の予備がある』
 アエネアスら統領の宿舎へと足を運ぶ、宿舎に着いた四人はテーブルを囲んで席につく、イリオネスがオキテスに話しかける。
 『オキテス、三日間に及ぶ航海、ご苦労であった。疲れもあるだろうが、一っ時も早く状況を聞きたい。昼食を食べながらでいい、話してくれ』
 『解りました。私にも一っ時も早く伝えたい成果があります』
 『お~お、そうか。それを聞きたい』
 オキテスの昼食の準備ができる。
 『お~お、これは旨そうだ。統領、いただきます』
 オキテスがパンに手をのばす、口へと運ぶ、ぶどう酒をのどに通す。
 『俺だけがおいしいものを食べている。ちょっと、気が引けます』
 オキテスは、またたくまに昼食を終えて改まった。
 『報告いたします。レテムノンのテムノス頭領の浜に着いて、早速、新艇の引き渡しを行い、テムノス頭領の指示があり、進水の儀式を行いました。このとき、スダヌス浜頭が子羊一頭を準備してきてくれていました。進水の儀式を終え、テムノス方の水夫連に操船説明の航走を行いました』
 『スダヌス浜頭が子羊を準備してきてくれたとはな』とアエネアスがうなずく。
 『操船説明の航走から浜に帰り着いたところで、テムノス頭領の目が試作艇に移り、『ちょっと乗せろ』ということになり、試作艇に乗り沖に出ました。第一日目はそのような次第でした』
 オキテスはここで話をきる、一同と目を合わせる、話を継いでいく。
 『そのあと、テムノス頭領が私らの労をねぎらっての夕食会となり、その日を終えた次第です』