『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1042

2017-05-30 08:25:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスが二枚の木板に描いた作戦図を二人に見せる、二人はのぞき込む、彼の説明は具体的である。
 『図面を見ればわかると思うが、船は陸岸に沿って海上を進んでいる。新艇のほうは、陸岸から6~7スタジオン(1.2キロくらい)くらい離岸距離を保って海上を進んでいる。軍船はというと7~8スタジオン(1.4キロくらい)くらいの海上を進む、新艇との間隔は1スタジオン余り斜めの後方に位置して進む。解るな。船速は双方とも同じくらいの速さだ。そのようなわけで外敵の発見を早くしなければいけない。当方の航走状態から考えて10スタジオンくらいの視界で外敵の発見をする、解るな。これで前方の敵であろうが、後方の敵であろうが、当方が有利に敵と交戦できる。解るな』
 オキテスは、二人と目を合わせてうなずき合う。
 『10スタジオン地点にいる外敵を発見すれば、追ってくる敵、迎える敵、そのどちらも恐れることはない。当方が余裕を持って戦闘隊形をとれる。この作戦要領で敵を制する。解ったな。二枚目の図は、敵を迎撃する海上の戦闘図だ。敵を制するには、敵の早期発見!迎撃態勢、交戦、敵を壊滅する!我々は負けてはならない、ひとりの負傷者も出さない、新艇を傷つけてはならない。いいな!心して敵と戦う』
 二人は、オキテス隊長の心情を心身のすべてを挺して受け取った。
 『隊長の言われること、よく理解しました。意に沿って成果を収めます』
 『おう、しっかりやる!その一語だ』
 オキテスは、外敵に対しての海上における作戦要務を二人に伝えた。
 『では、明朝の出航に備えて準備を整えてくれ』
 二人はオキテスのもとを離れて持ち場へと戻って行く。
 スダヌスは、オキテスに連れだって建造の場に足を向けた。
 『浜頭、聞いていた通り二人に酢酸要務は伝えた。ギアスの腕なら十分にやりこなせると考えている。これで海上における指示でやれる』
 『クレタの西の端に到る海路、西岸の南下の海路には外敵はいないはずです。外敵と遭遇するとすれば南岸を東への海路においてです』
 『ほう、そうか。浜頭、外敵の発見の事、陸岸からの離岸距離の維持について気を配ってほしい。これを頼んでおく』
 『解りました充分に気配りいたします』
 オキテスは、この時点で業務の完遂を終えたと意識した。『事はなったな』であった。