『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1040

2017-05-26 09:15:41 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスが説明を始める。
 『俺が言いたいのは、いつ遭遇するかもしれない、また、遭遇しないかもしれない、航海途上における変事だ。四日間にわたる航海、特に前半の二日間における航海についての心配りだ。俺として考えられる変事の発生に気を配っている。一番目は、天候の異変、二番目は、我々が乗っている船に発生する不具合、三番目が外敵から受ける襲撃である。軍船に乗船している70名、また、新艇に乗っている20名も軍装して乗船している。それは三番目の変事に対処するために備えてである。我々に害を与えようとする輩を排除するためである。私の考える戦術、戦法、作戦に従ってこれを実行してもらう。いいな。このあと、ギアス船長、テナクス隊長の三人で詳細を打ち合わせる。納入する新艇を注文主に引き渡すまでは、いかなる事態に遭遇しても新艇に傷をつけてはならない。また、我々に及ぶ害があってはならない。その覚悟で航海を全うする。一同よろしく頼む』、
 『解りました』
 一同から力強い返事が返る。
 『大体以上である。パリヌルス隊長、ほかに何かいっておくことがあるかな?』
 『オキテス隊長、話はよく分かった。これはちょっとした思い付きだが、船大工の一人も同行させればどうかを考えればいい』
 『ほう、そうだな、考えてみる』
 『ほかに質問、または、要望といったものがあれば聞く』
 ギアスが手を上げる。
 『おう、ギアス船長、何かな?』
 『オキテス隊長、これは私からのお願いですが、二人いる操舵担当の一人を軍船のほうに配属願えないでしょうか』
 『おう、そうだな。解った。操舵担当のグッダスを軍船に配属する。これは決定だ!他にないか』
 一同がオキテスの言うところを十分に納得する。彼らは了解したことを声をあげてオキテスに伝えた。
 『よし!これで打ち合わせを終わる。安全航海でもって業務の完遂をする。その成否は一同の双肩にある。以上』
 オキテスは、航海の要領の打ち合わせを終えた。次いでスダヌスに話しかける。
 『スダヌス浜頭、ちょっと訊ねるが、この季節、海上にもやがかかることはあるまいな?』
 『それは、ありません。海上における見通し、視野に、もやがかかることはありません』
 『浜頭も、これから三人で打ち合わせる席に同席してもらう』
 『はい、解りました』
 彼らは少々の間をとる、ギアス、テナクス、スダヌスの三人がオキテスを囲む、座について顔を合わせた。