『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITOVES FROM TROY   第7章  築砦  1036

2017-05-22 07:37:46 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 浜に活気があふれている、声が飛び交っている、人が激しく動いている、明後日に新艇の納入航海の出航を控えて多忙を極めていた。
 オキテスは、三番船組の者らでもって、隊長をテナクスに任命し、六名の班長を決め、総勢70名の隊を編成した。
 彼は、隊長テナクスと班長を集めて、航海日程、四日間の役務と作業、そして、その要領について打ち合わせた。
 ギアスは、オキテスより指示のあった、納入新艇に乗り組むメンバーを編成してオキテス隊長に引き継いだ。
 午後においては、納入航海に就役する三番船の整備具合の仕上がりをパリヌルスとともに入念にチエックした。
 『おう、パリヌルス、三番船をいたりつくせりで整備してくれて、ありがとう。これで安心航海ができるというものだ。ここにいるのが隊長のテナクスと六名の班長だ。軍船の操船に関する留意点をを説明してやってくれ。往路では、俺は納入新艇に乗っていて、軍船には乗っていない。彼らの役務と要領については一応、説明してある』
 『解った。それからだな、オキテス。今日の業務を終えたら最終打ち合わせを行っておく』
 『了解。俺はこれから納入新艇の整備具合の点検と引き渡し準備を整える』
 『おう、そうか。ではな』
 オキテスは建造の場へと歩を向ける、パリヌルスは軍船の操船要領をテナクスらに説明する。
 二人は、それぞれにやるべき業務、作業を終える、終業の頃合いにいたって建造の場で顔を合わせた。
 『おう、オキテス、作業は終わったかな?』
 『おう、終わった。万全を自分の目で確かめておかないとな』
 『おう、お前の方は?』
 『俺のほうか、少し気にかかることがある。テナクス隊長のことだが、彼は、隊長の役務は充分に遂行できるが、軍船の操船とならと、少々、心もとないところがある。これは多人数の命を預かっての航海だ。ギアスを連れて行け!その方がお前も安心、俺も安心出来る。天気模様、風を読んだり、海の状態に対応した操船、ギアスは船長としての役務を十分に遂行できる』
 『そうか、やっぱりな?!解った、ギアスを連れていく!俺としての泥縄決定を許せ!』
 『解った。軍船という規模の船を操船するには、それなりの技術を要する。ギアスを呼ぶ』
 パリヌルスは、傍らにいる建造の場の者にギアスを呼びに向かわせる、間をおかずに顔を見せるギアス。
 『おう、ギアス、来たか。話がある。そこに座れ』
 『おう、パリヌルス、お前から彼に話してくれ』
 『おう、ギアス、急きょ決定だ。テムパキオへ行ってくれ』
 『解りました』
 『役務は、軍船の船長役だ。軍船の操船を頼む。以上だ』