『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  16

2019-05-06 08:20:24 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 うなずき合いを終えたアエネアスが姿勢を改める、身構える、場に緊張が走る、会同している四人も身構える。
 アエネアスが場を見まわす、目を合わせる、対峙の雰囲気が漂う、おもむろに口を開く。
 『一同に告げる。新暦の第一の月、21日に建国の地の探索の航海に出る!一同そのように心してくれ!以上だ』
 これを聞きとめたパリヌルスら三人は、起っているアエネアスを仰ぎ見る。
 代わってイリオネスが三人に伝える。
 『このあと、朝食を終えて会議を開く。このメンバーに漁業の部を担当しているアレテスが加わる。オロンテスどうする?誰か、お前に代わってキドニアに派遣できるか!?』
 『解りました。事情を話して、セレストスをキドニアに行かせます』
 『お~っと、事情を話す、それはならん!三人に伝える、この件はまだ誰にも言ってはならん!口外禁止だ。我ら同胞に伝えるのは、三日後に正式声明として総員に伝える』
 『解りました』
 『それまで、誰にも言ってはならん!変に動揺させたくはない。以上だ。オロンテス、まだ、セレストスには言うな!解ったな』
 『はい、解りました』
 『では、早朝の会議打ち合わせは終わる。なお、本日の会議は、朝食を終えて統領の宿舎の前庭において行う。あ~、それから、今日、スダヌス浜頭が一泊の予定で当浜に来る、彼が当地に到着するまでに会議を終える。以上だ』
 『了解しました』
 一同が声をそろえて答える、会議が終わる。
 オロンテスがセレストスをキドニアに向かわせる手配をする、セレストスが出航していく。
 オロンテスが彼ら一同の朝食を持って会所に姿を見せる。
 『お~お、間に合った。一同で朝食を食べようと思い準備してきました』
 『おう、それは重畳!朝食をみんなでやろう』と言って座に就いたところにアレテスが姿を見せる。パリヌルスがアレテスに声をかける。
 『おう、アレテス、ごくろう。』
 『はい、おはようございます。いい朝です』
 『おう、お前、朝食を済ませたのか?』
 『いえ、まだです』
 『俺たちだが、今から一同でここで朝食を食べる。一緒に食べよう』
 『ありがとうございます』
 『ここで朝食を終えたら、会議を統領の宿舎の前庭でやる』
 『解りました』
 アレテスを加えて六人で朝食の場を囲む、六人は雑談に及ぶことなく朝食を終える、一同は統領の宿舎の前庭に移動する。
 会議を前にして、イリオネスがアレテスに会議の意を伝える。
 『おう、アレテス、今日の会議のことだが、今日から三日間だが、誰にも言ってはならない!いいな。極秘事案の会議なのだ』
 イリオネスは、ジイ~ッとアレテスの目を見て口を開く。
 『こういうことだ。統領が建国の地の探索にクレタを出航するということだ!解ったな』
 『はい!了解しました』
 イリオネスが会議の場に就いた一同と目を合わせる。
 『一同!いいな!来たる日に我らが建国の地の探索の途に就く。これより、その初回の打ち合わせをする』
 イリオネスがこの場に会同している一同に主意を伝えた。