『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  24

2019-05-16 07:20:37 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 スダヌスとの会談を進めるうえでの話の端緒をつかんだアエネアスは、静かに話し始める。
 『なあ~、スダヌス浜頭、俺はあのとき目にした情景を思い出して考えた。あの日、あのとき、はっきりと目にすることができなかった遠くにかすんで見えるそのさきに何があるのかと考えた。途方もないことに想いをはせたのだ』
 『統領が想いをはせた途方もないこととは何ですかな?』
 『その想いはだな、目にすることができなかった、その先に何があるのか、それとも何もないのか、世界の果てをこの目で見てみたいと決意したのだ!その決断を下した。俺の決意は固い、俺はその旅に出る!』
 『え~っ!なんと!何と言われました?』
 スダヌスは、アエネアスの飛躍した決意を直ちに理解することができないでいる、問いかけの言葉が口を突いて出る。
 『統領、何と言われました?もう一度言って言っていただきたい』
 アエネアスが返答に戸惑う。
 『スダヌス浜頭は声が大きい、これは誰にも聞かれたくない話だ!』
 アエネアスがイリオネスに声をかける。
 『軍団長、ここでは話しづらい。場所を変えたい。お前の宿舎で話し合う』
 『解りました』
 イリオネスが一同に声をかける、場の者ら一同が腰をあげる、イリオネスの宿舎へと歩を向ける。
 話し合いの場が変わる、この場で話し合うのは重要な要件であると勘付く、彼ら一同は黙して語らず、イリオネスの宿舎へと歩んでいく、程なく宿舎に着く。
 宿舎に着いた一同は、話し合いのテーブルに就く、イリオネスは、ぶどう酒の壺と酒杯を整える、一同に手渡す、杯に酒を注ぐ、喉を潤す。
 アエネアスが姿勢を改める、場の雰囲気が引き締まる、一同がアエネアスの目を見つめる、アエネアスが口を開く。
 『スダヌス浜頭、貴方の問いに答える。世界の果てをこの目で見てみたい。そのように心に決めた。その旅に出る!行きつくところ、この世界の西の果てに『ヘラクレスの柱』なるものがあるという。そこが世界の西の果てと聞いている。確かめてみたい。そのようなわけで事業体の相談役として後事を頼みたいと考えている』
 『そのような大事を『はい』解りましたと簡単に引き受けることができないじゃないですか』
 『そのように大事と考えてくれる。スダヌス浜頭、ありがとう。そのことを後日改めて話し合いたいと考えている。対外的には、まだ誰にも言ってほしくはない事案だ。対外への公表は後日の打ち合わせ以後にしてほしいのだが、これは約束してほしい』
 『了解しました。そのことは約束します。後日の打ち合わせはいつ頃になりますかな?』
 スダヌスは、アエネアスに慎重に問いかけた。