『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第8章 クレタ離脱 ２０

　四人が昼食を終える。
　オキテスの思惑が的中する、午後の半ば過ぎになってスダヌスが到着する。　
　浜の張り番が会所に走りくる、スダヌス到着の知らせである、四人が立ちあがる、オキテスとオロンテスがスダヌス到着の浜へと走る。
　四人がスダヌスを迎える、スダヌスがその歓迎に照れる、言葉を発する。
　『あ～っ！統領！久しぶりです。変わりなく過ごしていられますか？日ごろ大変世話になり、まっことありがとうございます。心から礼を申します』
　スダヌスが波打ち際に立って、浜に立つアエネアスを仰ぎ、丁寧に久々に邂逅の礼を述べる。
　『いやいや、そんなにかしこまらなくとも、スダヌス浜頭、ようこそ来てくれました。多忙であるのに時間を割いてきてくれてありがとう。世話になっているのは我々のほうだ』
　続いて、オキテスとオロンテスが歓迎の意を伝える、次いで、イリオネスが声をかける。
　『おう、スダヌス浜頭、多忙にかかわらず、時間を割いてきてくれた、ありがとう！俺はうれしい！』
　イリオネスが手を差し出す、握り返すスダヌス。
　『軍団長、このたびは声をかけてくれて本当にありがとう。互いの沙汰なしが達者の証しと心得え過ごしている失礼を許されたい』
　『互いにそれはわかっている。気にせずともいいのではないかな』
　『今日、このようにして会えて、とてもうれしい！』
　『俺も同様だ！』
　二人は互いの肩を抱く。
　『積もる話がある。語ろう。行こう！』
　四人にスダヌスが加わって会所へと歩を運ぶ、会所に着く、座に就く、改めて挨拶を交わす、歓談に及ぶ。
　話題は、漁業関連、そして、船舶事業関連について話を交わす、話が展開する、互いの信義と信頼があって、事業が展開していることを話し合う、未来の構想に話が及んでいく、話がいきつくところにおちつく。
　話が及ぶところに及んで一段落する。
　オロンテスがスダヌスにたずねる。
　『浜頭、今日、こちらへの水夫連の総人数は何人でしょうか？』
　『あ～あ、それは15人です』
　『解りました。ちょっと夕食の支度がありますので』
　『あ～あ、それはそれは、心遣いいただいて何と礼を言えばいいのか、痛みいりますな。者どもこちらで馳走になるパンを楽しみにしています。オロンテス殿』
　『どういたしまして。我々こそ日ごろ世話になっています』
　浜は終業の時を迎えている、セレストスがキドニアから帰ってくる、報告に姿を見せる、報告を受けるイリオネス。
　用件を済ませるセレストスに用務を指示するオロンテス。
　浜からイリオネスにスダヌス浜頭からいただきものががあったとの一報が届く。
　『スダヌス浜頭、ありがとう。心のこもったいただきもの、喜んで頂戴する。心から礼を言う。ありがとう！』
　『軍団長がそのように言うと恐縮するではないか。遠慮なんて不要である。受け取ってくれる、それだけで、俺の喜びだ』
　イリオネスは、このように話が展開することで明日の話し合いの好結果を予想していた。