『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

[Remembrance of Aeneis] Ⅳ To founding land of nation 『建国の地へ』 第2章  プトロトウムにて  35

2020-02-21 06:25:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ぺリオスがアエネアスの言葉を聞き受ける、『そうか!』とつぶやく、絶句する、会話が途切れる。
 ぺリオスが問いかける。
 『アエネアス統領、聞くがお前の暦は今日が何日かな?俺の暦では今日が8月1日だ』
 『俺の暦は、今日が8月4日だ』
 『心得た。お前の言い分では、俺の暦で8月11日に出航するということになる』
 『そうなるな。そのようなわけで建設工事に加わるのは、俺の暦で今日から数えて5日後、日付けで言えば8月8日までとしている』
 『解った。了解した。俺は、お前をこの地に引き止めたい。しかし、引きき止められない!会うは別れか、お前と俺が引き裂かれる、耐えられない思いだ。アエネアス統領、ありがとう!よくぞこの俺に手を貸してくれた。何と礼をすればいいのか?そのような日が来るとはだ。考えてもいなかったことだ』
 『ぺリオス領主、この4か月余りだが、お前と過ごした日々は、俺とお前との絆の日々であった。新しい人生の未来を腹に抱いているアンドロマケにも会えた。俺にとって感激の日々であった。ぺリオス、お前の想いのカタチでお前の国を建てろ!』
 『お前こそだ!建国の立志の想いを遂げてくれ』
 『では、そう言うことだ。あと10日余りで別れの日が来る。互いの立志、互いの前途に向けて歩み出そう』
 『おうっ!』
 二人は、手を握り合う、肩を抱き合う、互いの心を語り合う、ぺリオスにとってまさかの時であった。
 アエネアスとイリオネスは、作業現場において一同とともに昼食をすませ、イリオネスを伴って工事現場をあとにする。
 イリオネスが声をかけてくる。
 『あ~っ!統領、サッパリされていますね』
 『おいっ!イリオネス、そんな風に見えるか?ぺリオスと出航について話し合った。出航の件についての口外禁止を解いてくれていいぞ。今後の打ち合わせを浜に帰ってやる。と言ってもお前とオロンテスの三人だけだが』
 『そうですね。オロンテスも重要な役務の責任を担っているわけですから』
 『そうだな。打ち合わせは遺漏のないようにやろう』
 『はい、心します』
 二人は停留の浜に着く、オロンテスが二人を迎える。
 イリオネスがオロンテスに声をかける。
 『おう、オロンテス、お前、今、手がすいているのか?』
 『はい、手はすいています。工事現場に作業員幕舎が出来てから、焼きあげるパンの量が少なくなって、楽させてもらっています』
 『そうか、これから統領と三人で打ち合わせをやる。例の木陰に行こうか』
 イリオネスはアエネアスに声をかけて木陰におちつく、オロンテスは、焼きあがったパンを持ってくる。
 三人は、木陰の草地に腰を下ろした。