『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

[Remembrance of Aeneis] Ⅳ To founding land of nation 『建国の地へ』 第2章  プトロトウムにて  36

2020-02-24 06:03:43 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスは、持参したパンをアエネアスとイリオネスに手渡す。
 『おう、オロンテス、ありがとう。焼きあげたばかりのパンではないか、これはいい!小腹に空腹を感じていたところだ』
 三人がパンをほおばる、アエネアスが二人と目線を交わして話し始める。
 『おう、今日、ぺリオス領主に出航の件を伝えた。彼は彼なりに俺らに期待していたのだな。それについて話し合った。いずれにしても彼との別れは、断腸の感傷だ。会って別れる、惜別の想いだ』
 『それはそうでしょう。統領と領主は特別な間柄です』
 『軍団長、お前、察しがいいな。ところでだ、この地から西への航海に就いての詳しい状況、それから情報の打ち合わせをぺリオス領主と話し合うことを約束した。それで充分な情報を得られると考えている』
 『解りました。その件については統領の担当です。しっかり頼みます』と言い終えて、イリオネスは、オロンテスのほうへ目を向ける。
 『おう、オロンテス、食糧関係の事情をチエックして、どのように整えるか、計画案をたてたか?』
 『その件については終わっています。軍団長に詳細を説明して対処したいと考えています。それには城下の業者との打ち合わせが必要です。よろしく願います』
 『軍団長、オロンテスと対応を検討して対処だな!』
 『おう、オロンテス了解した。その機会を早速、準備する。いいな』
 『おう、軍団長、それからだが、財務のチエックを終えたかな?』
 『それはまだです。明日、やろうと考えています』
 『クレタ島を出航して、ここまで来た。結構、出費の機会があったからな。情報を収集して、これからの出費を考えねばならない。それについては判明次第、計画を検討しよう』
 『おう、オロンテス、出航の件の口外禁止を解く!一同に伝えてくれていい』
 『解りました』
 三人は打ち合わせを終える。
 オロンテスは、持ち場に戻る、出航の旨を一同に伝える、『おう!』『おう!』と返事が返る、返事のニューアンスに懸念を感じる、航海の旅先におけるパン焼き作業の対処を考えての懸念である。
 オロンテスは、事情を考えながらも出航の通達を終える。
 彼は、彼らが考える懸念を払拭する対処に努めることを話す、また、果すべき使命の大切さを説いて聞かせる、彼らが納得する、オロンテスは安堵する、人を率いていくむつかしさを知る。
 日にちが弦を放れた矢のごとくに過ぎていく。

 イピロス王暦の8月5日が明ける。ぺリオスが今日はを考える、毎月の月初の5日は、アポロン神殿の祭祀の日である、ぺリオスはこの祭祀の主祭の任を務めているのである。
 祭祀を執行するに当たって、王のイピロスが執政する月次の神託を受託し、イピロス王が理解しやすく解説して王に呈上する、その役務に努めているのである。
 祭主であるイピロス王の諸事を無事に済ませる。
 役務を終えたぺリオスは、アエネアスの航海の神託を受託する。彼はその神託を解く。
 神託は、イタリアという大陸の南端を大きく迂回して、へスペリアに到達するという長途の航海であり、無事無難を告げてはいない、航海途上の海難、人事の機微による航海の滞りの懸念のあることを告げている。
 ぺリオスはこのことをどのようにアエネアスに説明しようかと脳漿を搾って考えた。