安倍譲二という作家がいます。
『男の条件』(ゴマ書房)という本の中で、次のようなことを書いています。
「昭和のバカな軍人と政治家どもが愚劣極まりない戦争をはじめ、日本を焼け野原にしてしまった。…」
今はその日本も今日のような状況に立て直した。と述べ、そのことについて次のように言う。
「焼け野原をそうしたのは、天皇でもなければ、横綱でも王・長嶋でもない。まして、タレントや芸能人なんかでは断じてない。
工員たちをはじめとする勤め人、つまり月給取りがそうした。
この焼け野原からの復興は、万里の長城をつくった中国人、ピラミッドをつくったエジプト人以上に、世界史に特筆されるべき奇跡だと私は思う。だから、日本のサラリーマンというのは、じつに世界史的存在ですらあるのだ。
彼らは長い間、五百円亭主といわれてきた。垢抜けないダークスーツを着て、一年中満員電車に揺られて家と会社を往復する月給運び人。その彼らの昼食代、タバコ代、床屋代、赤提灯代、全部ひっくるめて一日平均五百円というのが五百円亭主のそもそもの語源だ。
現在だって、彼らは二千円亭主がやっとではないだろうか。経済大国といわれながら、その主たる支え手たちは信じられないほどの悪条件の中で、今日も黙って働いているのだ。
誤解されると困るからいっておくが、私はゴロツキのころでも、そうして真面目に働く人たちを軽蔑したことはなかった。口にしないまでも、心の中では尊敬の念で一杯だった。
そういう真面目なサラリーマンの方たちをバカにするという、とんでもない風潮がある。いや、真面目そのものがネクラとバカにされるそうだが、とんでもない世の中になったものだ。真面目にやらなきゃ、ヤクザだってモノにならないというのに。(以下略)」
安倍さんもご存じなのでしょうが、 そのひたすら真面目に働いてきたサラリーマン、定年を迎えます。リストラで既に辞めさせられた人もいるでしょう。
その人たちはいま、退職金は削られ、年金は減らされ、医療も介護も改悪され、悲惨な老後が待っています。ゼロ金利のおかげでなけなしの貯金も増えていません。
安倍氏の言う世界史的存在を遇するにはあまりにひどい政策ではないですか。
労働者をバカにする。これが小泉流「改革」「規制緩和」です。
〇七年問題と言われるように退職者が増えますが、まだまだ体力、気力、知力、衰えていないと思います。腹立つこと、許せぬこと、あいつに言いたいということなど積極的に発言し、関わっていってくれることを期待します。
踏んだり蹴ったりとかイジメとかにはずいぶん耐えてきたので打たれ強いのです。しぶとく生き抜きましょう。