伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

代表質問をネットで聞いた。自治体は非協力の首相発言撤回はやはり必要。

2019年02月26日 | 市議会
 いわき市議会2月定例会の代表質問2日目をネット中継で聞いていた。今日、一番目は同じ会派の渡辺博之市議の質問だ。提出された質問通告表は次の鳥となっている。



1 いわき創生総合戦略について
⑴ 取り組みに対する市長の決意について
⑵ 出生数について
⑶ 人口流出について
⑷ 将来の人口減少による影響について
2 いわき市復興ビジョンについて
⑴ 災害に強く、安全で、安心できるまちを目指す復興について
⑵ 住む人も住む場所も世界から愛されるまちを目指す復興に
⑶ 原子力災害を克服するとともに、再生可能エネルギーの導入を推進し、原子力発電に依存しない社会を目指す復興について
3 市民のくらしと声を市政運営の基本に据えることについて
⑴ 10月に予定される消費税増税への対応などについて
⑵ 市民の声を活かす市政運営について
⑶ 非核平和都市宣言を活かし市民の平和な暮らしを守る本市の取り組みについて



 これらの質問のうち、いくつかのことについて書いてみたい。

 一つは安倍自民党総裁・首相が、先の自民党大会で「新規隊員募集に都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態がある。この状況を変えようではないか。憲法に自衛隊を明記して違憲論争に終止符を打とう」と発言したことに関してだ。

 この発言にある6割の数字は、自治体側がビックアップした対象となる若者をの名簿を自衛隊に提出している数字で、実際には、多くの自治体が申請に基づく閲覧等を認め自衛隊員が書き取る等の措置をとっている。9割を超える自治体が新規隊員募集に協力している実態があるのだ。

 こうした中での首相の発言は、自治体側に目簿提出の圧力になりかねず、また、誤った認識を振りかざして改憲を呼びかけることにも問題がある。実際、23日の報道では、首相のお膝元・山口県山口市が、自衛隊員新規募集に関してこれまでの閲覧の対応から名簿提出に切り替える方針を固めたことが報道された。名簿による個人情報の提供は法の趣旨を超えるもので、法違反となるという指摘もある。首相の発言が地方自治体に圧力になったことが推認できる事態だ。首相のこの間違った認識をただすことは、国と地方自治体の関係を正しく発展させる上でも、欠かせない課題となる。



 質問では本市の対応を質した。正確な記述ではないが、「自衛隊の新規隊員募集については、法律に基づき適齢者情報を提供している。提供方法に具体的な規定はないが、住民基本台帳法や条例等に基づき対応している」として、本市は法に基づき自衛隊の申請に基づく閲覧を認め、法に基づいた対応をしているとした。

 さらに、個人情報を自衛隊に公開することは憲法違反になると考えているかという質問には、「自衛隊法は閲覧請求を規定している」として、本市の対応は法に基づく適切な対応と重ねて答弁した。

 こうした本市の対応を考えた時に、名簿を提出しないことをもって新規の自衛隊員募集事務に地方自治体が協力していないという首相の発言は誤りであり、首相は、大会での地方自治体とは非協力という主旨の発言は撤回が必要だ。

 二つ目に、スタジアムを中心としたまちづくり可能性調査に関する問題だ。

 本市では、ドームいわきの進出に伴い、Jリーグ入りをめざすいわきFCが発足し、今年度は東北社会人のAリーグでプレーすることになっている。こうした中で、Jリーグ入りの条件を満たすサッカースタジアムの建設構想が持ち上がり、現在、スタジアムを中心としたまちづくり可能性調査が進んでいる。これまでの議会質問の中で、本市が先導的にすすめるかのように印象を持たせる質問が続いていた。しかし、市民の声を聞くと、スタジアムに関する関心は低いというのが実感という現状がある。

 質問では、「幅広い市民の合意がある中でも、市費の投入は極力避けるべき」と求めた。答弁では、もともといわきに進出したドームがスタジアム構想を持っており、整備はドームをはじめ民間が行うものという認識が示された。本市のかかわりは、スタジアム建設に関わり、まちづくりや土地利用といった行政としての課題があるために、まちづくり等をテーマにして可能性調査で検討しているとした。

 先に、総務常任委員会の視察に関する記事で書いたが、現実的にJリーグに進出したチームのホームグランドとなるスタジアムでも、運営面から見れば苦戦している現実があった。本市もサッカーのみでのスタジアムの健全経営は厳しいという認識が答弁で示された。であるならば、スタジアムのあり方は、整備にも運営にもコストがかからない方策がとられるべきだろう。整備が前提するとしてもだ。そして、その前提としては、サッカーファン、いわきFCファンを市民にどれだけ増やせるかが課題になってくる。ホームで試合があるなら、彼らの応援のためにスタジアムに足を運ぼうという人がたくさんいなければ、スタジアム収入が上がらないからだ。

 三つ目に日本原電の東海第二発電所(原子力発電所)に対して、再稼働は好ましくないと本市が意見を表明する問題だ。

 この問題、かねてからたびたび質問しているが、他県の自治体のことであり、本市は権限を有しないことから「評価する立場にない」という答弁が繰り返されている。今回も同様の答弁だった。

 東海第二は、本市の境から約50㎞南に位置する。福島第一原発の事故から考えれば、この程度の距離であっても、高い放射線量が検出され、市民の安全と安心の確保という観点から見ると厳しい対応になるということを、この8年間学んできた。だからこそ、他県の自治体であっても本市は東海第二の再稼働について、立地自治体ではなく直接意見をいう権限がない東電福島第二発電所の廃炉を求めた事例と同じように意見を発する必要がある。

 こうした視点から考えた時、東海第二に対する本市の対応は東電福島第一原発事故前と同じものとしか映らない。以前に、権限がない事項について意見を言わないという姿勢に対して、核実験という外交問題で抗議をするなど、権限のない問題で意見表明をしてきた経緯を指摘しダブルスタンダードとなっていることを指摘してきた。本市には、市民の安全・安心という観点から行動することが何よりも求められる。こうした観点から見れば、この問題の改めての議論も必要になるだろう。


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