伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

情報の一年間秘匿での東電の言い分に納得できない

2015年02月27日 | 原発・エネルギー
 ニュースを聞いて納得できないことがありました。

東京電力福島第一原子力発電所で雨のたびに排水路の線量が上がることが確認されていながら、原因究明まで対策が放置され、ほぼ1年間にわたって2号機屋上の比較的濃度の高い汚染水が外洋に直接放水され続けていた問題、すなわち情報秘匿の問題に関して、です。

 今朝のニュースは、廃炉カンパニーのプレジデント・増田尚宏氏の会見内容を伝え、情報公開について「県民の気持ちに思いが至らなかった」ということと、対応策として「排水路からの排水を港湾内に変更する」と発表したことを知りました。

 一つは、排水口を港湾内につなげばそれで問題解決と考えているように思える点が一つです。

 確かに港湾内は、湾口に防護幕などを設置することで、汚染の拡大を防ぐなどという措置を取っていたはずです。しかしこれとて、汚染の拡大を完全防止するものではなく、せいぜい汚染物を港湾底により多く沈殿させるか、汚染の拡散時間を遅らせる効果しかないでしょう。港湾外に出た汚染水は希釈されることで問題がない値にはなると思われますが、それが抜本策のように取り扱われるのはいかがなものか、と思います。

 もう一つが情報公開のあり方です。
 今回、漁業者も県民・市民も怒りを募らせている部分は、異常を知って1年間も情報が秘匿されていたということにあります。東電は、原因が分かったので公開したと言っていますが、この対応は、原因究明を優先させて情報公開を後回しにしたことを意味します。だからこそ怒りが集中しているわけです。サブドレンの地下汚染水を浄化後放水する計画の了承を迫られていた漁業者が「信頼は壊された」と、この問題への対応を棚上げした気持ちが痛い程分かります。

 実はこうした情報公開の対応は今回が初めてではありません。事故以前も、事故後も続く東電の体質ともいえるものです。

 私自身、こんな体験があります。
 事故から2年後になりますか、4月4日に、ネズミによる仮設電源のショートによる停電で燃料プールの冷却が停止した件で、市議会要請団の一員として東電復興本社に決議を持参したことがありました。質疑が一定あったのですが、この時に東電は地下貯水槽からの漏水を掌握していたにもかかわらず、何ら説明をしなかったのです。後日、この時には代表の耳には入っていなかったためと釈明されましたが、そんなばかな話はありません。

 同じ月の18日、今度はいわき市議会東日本復興特別委員会で復興本社等を視察しました。その際、この問題に対して問いただしたわけですが、復興本社の石崎代表は「情報の公表のあり方を改善する仕組みを作りました」と答えたのです

 公式記録がないので記憶がたよりですが、問題を掌握した時点で情報を公開しないことが東電への不信を高めるという趣旨のことも指摘していました。

 ところが今回、またもや同じことが繰り返されました。問題が発生しているのにその時点では公表せず、情報を秘匿し続けて時が過ぎてから公表する。東京電力の情報公開に対する考え方・姿勢は全く変わっていない、改善などされていないということがはからずも明らかになったわけです。

 考えてみると東電の情報秘匿体質は、事故後に始まったことではありません。こんなことを思い出しました。
 これもあいまいになりつつ記憶にたよるお話ですので、時も、事例も、誰だったかも、正確に示すことができないのですが、第一原発事故のずっと前、日本共産党の国会議員が福島第一か第二かどちらかの原発を視察した際、視察では何の説明もなかったのに、その帰りの車内のラジオニュースで、実は大きな事故が発生していたと東電が発表したニュースを聞いたという逸話を聞いたことがあるのです。国会議員の調査にさえ当たり前に対応しない東電の秘匿体質に驚きを覚えたわけですが、この体質は今も変わっていないわけです。

 情報開示のあり方を反省するのであれば、今回の記者会見で明確な対応策を示すことが、情報秘匿問題を率直に反省したことになります。ところがされていない。「県民の気持ちに思いが至らなかった」から、これから県民の気もちに応えるあり方を検討することにとどまっています。問題点はすでに明らかです。問題事象を掌握した時点ではなく、原因究明をして説明できるようにしてから公開しようという考え方を改めることです。

 原因を究明してから公表しようとする姿勢から感じるのは、自らが十分な情報を持たないままに公表することで批判をされることを避けようとする考え、つまり自己保身しか感じることができません。これは東電にとってもマイナスになるはずです。

 また都合の良い情報を取捨選択するようなことがあっても困ります。さらにこれまで意見を言っても、東電には顧みられていないと感じることがありました。出された意見には率直に耳を傾けてももらいたい。きょうの報道では、その姿勢は見えません。東電に猛省を促したい。


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