伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

満月の日に

2020年12月30日 | 
 朝の空、北の空は心地良い青空のようだが、南に向かってどんよりした雲が広がっていた。



 沸き立ちながらこちらに向かってくるように見える雲。東の空を隠す厚い雲(たぶん高層雲)の端に現われた雲の姿が面白い。

 高層雲のとこどころは薄く、戸外に開ける窓のように明るい空を見せていた。



 その窓に見えたのは・・



 何か動物の群、そうバッファローの群でも駆け抜けていく。そんな場面を戸外に見せてくれているようでユニークだった。

 さて、昨日、松とサカキを採取に山に入った際、どうものこぎりを落としてきたようだ。さやだけあって、肝心ののこぎりがないのだ。まだ実用的には2度しか使っていない。もったないし、昨日たどった山林を再度歩いても20分もあれば帰ってこれる道のりだし、探しに行った。

 昨日と逆コースをたどり、林の中を歩く。昨日見たバベルの塔(松の切り株)があった。するとあっちから歩いてきたのだろうと、あたりをつけて尾根をたどる。



 倒木に生えたヤブコウジ。



 枯れ木を埋めるカワラダケ。



 風景に気を奪われながら歩いていると、松の倒木が重なりあい、雑木が尾根沿い埋めている。こんなところは記憶にないが、距離からするとそろそろ山林の麓に向かう頃だろうと下り始めた。

 少し下った松林に直径15cm程の太い竹が生えていた。少なくとも我が家の裏山(実際には裏ではなく横になるのだが)に竹は生えていない。あるのは、2軒隣の親戚の山林だが、ここは手が入れられ、整備されている。しかし、その時に見ていた風景に手を入れた様子はなかった。

 「あれ、ここはどこだろう」

 自分が道に迷ったという疑念が初めて湧いた。山は深くはなく、迷ったとしても隣近所のどこかにすぎないのだが、位置が分からなくなるとやはり焦る。

 我が家の近所で竹林のある場所が脳裏をめぐる。もしかして、我が家から山林の尾根を越えた反対側に降りているかもしれない。そう考えて、ヤブをかき分け尾根に戻った。先程の竹林と反対側の林の木々の隙間に送電線の鉄塔が見えた。我が家の近くの鉄塔に違いない。これで方向は分かった。しかし、昨日たどったのはどこだったのだろう。

 少なくとも先程見たバベルの塔は昨日も見た。どこにあるのだろう。あてもなく探したが見つからない。

 昨日と同じ道程をたどらなければのこぎりを見つけることはできない。何とかその道程に戻りたい。しかし、「もういいや」。とにかく自宅に戻ることにした。

 下り始めた視線の左端に例のバベルの塔が目に入った。そんなものなのか。そもそも、そんなに広い山林を歩いているわけではないのだが、山林の中で探すとなると難しい。しかし、あきらめたその瞬間に目当てが目に入った。不思議なものだ。昨日の正しいルートに戻ることができた。

 下っていくと昨日見た風景が逆回りで目に映る。何かのフンが落ちていた場所もあった。調べるとイノシシのフンだ。そこここに掘り起された跡がある。

 歩き始めてから40分後、もくろみから10分以上を経過して自宅に戻った。

 のこぎりは見つからなかった。イソップ寓話の「金の斧 銀の斧」は、木こりが鉄の斧を泉に落とし困り果てていると、泉から現われた女神が「落とした斧はこれか」と金の斧や銀の斧を示し、正直な木こりが「違います」と否定すると落とした鉄も含め3つの斧を木こりに渡したという。

 この寓話のような金も銀もいらないので、落としたのこぎりを山の女神が探してくれればいいのだが、そんなことはあろうはずもない。新たに購入するしかないようだ。

 先程迷っていた山林を見上げると彩雲が流れていた。





 ああ、そうだ。今日は満月だ。日が変わる頃に思い出し、空をみた。月が浮かんでいた。



 月の光が周りの星の輝きを隠し、明るい星だけが空を飾る。右下にオリオン座が見えている。月の右の光の帯は、カメラのレンズと手ぶれによるゴースト、上方の光の帯は屋根の瓦に映った月の光なので、万が一にもUFOなどと思わないで欲しい。

 12月の満月はコールドムーンというらしい。今年最後の満月だ。


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