伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

放医研いわき出張所を視察

2015年11月26日 | 市議会
 冷たい雨にうたれて
 まちをさまよったの・・♪

 なんて荒井由美さん作詞・作曲の「冷たい雨」のメロディーを頭のなかに響かせながら、朝がスタートしました。

 今朝は本当に寒くて、おまけに雨は冷たい。その中でも愛犬は散歩に行きたくてしょうがない。雨などものともせずにグイグイ前にすすみます(しつけが悪いのですが)。

 そして、明日市長に提出する要望書を作成して午前中を過ごし、午後には東日本大震災復興特別委員会の原子力事故に対応する分科会で、内郷支所に設置された国立研究開発法人放射線医学総合研究所(JAEA)の福島復興支援本部いわき出張所の視察に入り、お話を伺ってきました。



 出張所の設置は、放医研側が被災地に情報収集と情報発信の拠点が欲しいと考えて、いわき市が内郷支所を提供する代わりに放射線対策事業へのアドバイスと市民講座等での講師をつとめることなどを求めていた点で、それぞれの思惑が一致したために実現し、いわき市は内郷支所の2階を放医研に無償提供することになりました。

 放医研は千葉市に設置されており、ビキニ環礁で1954年に第五福竜丸が水爆実験の死の灰を浴び乗組員が大量被ばくした事件で人体への影響の研究が必要となったことと、原子力の平和利用や放射性物質の産業への応用などへの研究が求められたことから57年に科学技術庁所管の国立研究所として設立され、放射線の人体への障害の予防や診断・治療、放射線の医学利用、人体への影響の研究などをすすめてきました。

 現在は、研究と医療のスタッフを抱えながら、重粒子線を使ったがん治療や体内の構造や働きを放射線でさぐることで認知症の診断等に成果を上げたり、放射線防護の研究、緊急被ばく医療の研究などをすすめ、原発事故後は事故収束にあたる作業員等の健康調査や、低線量長期被ばくの影響研究などを担う福島復興支援本部を立ち上げ、活動しているといいます。

また事故直後から、被ばく患者の診断や治療にあたり、専門家を被爆地に派遣したり、放射線に関する知識・情報の提供、そして県民健康管理調査への協力などをすすめていることを説明しました。

 またいわき市との間では、研究や事業の成果をいわき市民還元する意味で、市主催のセミナーや講演会等への講師の派遣、講演会の市との共同開催や広報誌やホームページなどを活用した情報発信、そして市が実施する検査等への助言などを行うことにしており、これまでに小学校への出張授業や教育委員会主催の事業に講師派遣を行ってきたといいます。

 質疑では、県民健康調査のいっかんで行われている甲状腺検査に関する論文の執筆がすすんでおり、発表後にその内容を講演会等で分かりやすく伝えるようにしたいなどと説明しました。

 私も2点程たずねました。

 一つは、手低線量長期被ばくの影響研究にかかわってのもので、現在までの研究による地検はどうなのかということでした。

 でもこれは聞いてびっくりの中身で、低線量長期被ばくの影響で研究しているレベルは数千ミリシーベルトのガンマ線を、特定のガンが発症しやすいよう遺伝子操作をしたネズミに照射するという内容で、いわき市の環境にある放射線から考えれば桁違いに大きい被ばくが前提でした。

この数千mSvは時間をかけてとお話があったので、累積線量を言っているのだと思います。例えば1年間の累積線量を3,000mSvとすると、3,000÷365÷24で、時間あたりの被曝量は約0.342mSvとなり、低線量の範疇のようです。

 そして、このレベルでもネズミにガンが発症するかどうかという結果だのことで、いわき市の環境放射線(自然放射線+原発事故由来の放射線)のレベルは全く問題がないと強調していました。

 むしろ懸念されるのは、これは良く聞く話ですが、放射性物質を心配して子どもの屋外活動を制限することによる運動不足のリスク、また、放射性物質を心配することによる精神面へのリスクであり、環境放射線の影響とこれらのリスクとトータルに気づかっていくことが大切だといいます。

 もう一つは、いわき市との協定を見ると、講師の派遣や講演会の共催ということにとどまっており、放医研として独自にこのような機会を持っていくのかどうかという点です。

 原発事故の影響に不安を持っている市民がいわき市で安心して暮らすためには、一つは放射性物質と放射線についての知識を持つこと、もう一つはその知識を踏まえた放射性物質と放射線の影響についての考え方を確立することにあるように思います。そのためには専門家による、積極的な啓発が必要ですから、放医研として積極的に講演会等の開催をしていくことがあれば良いと考えられるのです。

 放医研としては、そういう機会を設けていきたいという考え方にあるようで、市民の関心がどこにあるのかをつかんでいきたいといいます。ただ、専門家はいわき市に常駐していないため、やはり市側からのニーズがあってはじめて様々な専門家の講演会等が実施されていくのかな、という感触は残りました。

 せっかくの放医研の進出ですので、活動する場を用意していくことが大切かな。そんな思いが残りました。 


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