市議会議員に初当選したのは2005年のいわき市長選にともなう補欠選挙でした。3つの枠に対し4人が立候補。次点と約500票差で何とかすべりこんだ選挙でしたが、同年10月に開かれた初議会では、同じく初議会を迎えた櫛田市長に、公約の問題などを取り上げ質問していました。
基本的には、選挙の争点となった中心的な公約を実施すると、一般財源に大きな負担が生じるとする立場からの質問でした。
いわき市議会の会議録検索で見ることができますが、あらためてブログに掲載します。
なお会議録検索のアドレスはこちら。
◆9番(伊藤浩之君)
(拍手)9番日本共産党の伊藤浩之です。ただいまから通告に従いまして、一般質問を行います。
櫛田市長には、このたびは当選おめでとうございました。市長としての任につかれたわけですが、市長は、大変な社会情勢の中で重い課題を背負って船出をすることになったと思います。
今、小泉構造改革の中で進む、暮らし、福祉切り捨ての政治の中で、市政をどう進めるかという課題です。
今度の総選挙で、小泉首相は、郵政民営化の是非を選挙の唯一の争点かのように演出し、増税や平和憲法改悪など重大な争点を隠し、選挙を戦いました。刺客騒ぎや、改革をとめるなと小泉首相が絶叫する中で、強烈な小泉突風が吹き荒れました。こうした作戦が功を奏し、自民党は62%の議席を獲得しました。しかし、この結果は民意を極端にゆがめる小選挙区の効果によるものです。実際、自民党は小選挙区で73%の議席を獲得しましたが、比例区では43%にとどまっています。ですから今度の選挙は、郵政民営化など小泉構造改革の路線が国民の圧倒的多数の支持を得たものとは決して言えないと思います。
しかし、小泉内閣が多数の議席を獲得したことを背景に、選挙後、サラリーマン増税や消費税増税など、国民に大きな負担をかける大増税路線の大合唱が始まっています。三位一体改革で地方交付税の削減を初め、地方財政の見通しに困難も予想されます。
こうしたもとで、市長には、市民の暮らしを守る役割の発揮が強く求められていると思います。これから市長がどのような市政を進めていくのかお伺いいたしますが、その前提として、日本の政治の大原則となる憲法などに対する市長のお考えをお伺いします。
まず初めに、憲法の問題です。
選挙後、民主党も含め改憲派が国会で多数を占めました。これを背景に改憲論議が活発になっております。この論議の焦点は、2,000万人のアジアの人々と310万人の国民のとうとい犠牲の上に打ち立てられた日本国憲法の平和原則をなくしてしまうことに向けられています。この平和原則は、憲法前文と戦争の放棄及びその具体的保障として宣言された戦力を持たないとうたった憲法第9条であります。この憲法第9条を変えようという発言が活発にされるようになっており、先ごろ自民党は、憲法の前文から戦争の反省をなくし、憲法第9条に自衛軍という軍隊を明記する改憲案を発表しました。市長は、この第9条についてどのような認識をお持ちですか。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
現行憲法につきましては、国家の最高法規として、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を三原則として制定されたものであり、その中で憲法第9条は、憲法の平和主義の根幹をなすものであると考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
この日本の平和主義が戦後の日本の発展を支えてきたということを、私はこの間学んでまいりました。
次に、首相の靖国神社の参拝問題についてお伺いしますが、先ごろ小泉首相が就任以来5度目の靖国神社を参拝し、アジア各国やアメリカのニューヨークタイムズが靖国参拝は無意味な挑発と社説に掲載するなど、内外から懸念の声が一斉に上がりました。中国・撫順市と友好都市になっているいわき市の市長としては、こうした問題を引き起こしている首相の靖国神社の参拝について、どのような認識をお持ちでしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
靖国神社の参拝につきましては、小泉首相がみずからの責任と判断で行われているものと考えますことから、私といたしましては論評は差し控えさせていただきます。
◆9番(伊藤浩之君)
市長のお考えを聞けないのは非常に残念です。靖国神社の問題は、戦争で多大な犠牲者を生み出した責任者として裁かれたA級戦犯を合祀しているにとどまらず、日本の戦争は正しかったという戦争観に立って、侵略戦争を自存自衛の戦争と正当化し、宣伝することを明確にしている神社であることです。参拝すれば、首相も同じ考えと諸外国にとられて当たり前だと思います。ですから、国内を初め、アジアや世界の良識ある人々から抗議の的になっております。
靖国問題は友好都市との友好の発展の上でも避けて通れない問題です。中国・撫順市とは都市間の友好関係ですが、その友好の前提には、国の友好があると思います。靖国問題でこの友好にひびが入りかねません。また、いわき市は非核平和都市宣言を採択しましたが、採択当時の田畑金光市長が、侵略戦争の反省に立って、現在の憲法に盛られた恒久平和への願いが込められた宣言だと言っているように、この宣言は侵略戦争を肯定する靖国神社の考えとは相入れないものを持っております。宣言をした都市の市長として、中国・撫順市、またタウンズビル市との友好を発展させる上でも、憲法と靖国神社の参拝に対してどう考えるかは重要な問題だということを指摘して、次の質問に進みます。
次の質問は、大型公共事業に対する市長の認識についてです。まず、市の財政悪化に対する大型事業の影響を、市長はどのように認識しておられるでしょうかお伺いします。
◎財政部長(陸川克己君)
大規模事業の実施は、短期的には、その実施年度において普通建設事業費の増をもたらすとともに、中・長期的には、事業実施に伴い発行する市債の元利償還金の支出が生じることによって、後年度において公債費の増加をもたらすことになります。
これまで大規模事業等の普通建設事業の実施に当たりましては、計画的な財政運営を図ることを目的に、平成13年度に策定した中期財政計画に基づき、毎年度の予算編成において事業の進捗状況や優先順位を踏まえた調整を行ってきており、今後においても次期中期財政計画を基本として、計画的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
優先順位をはっきりさせながら進めてきたというお話でしたが、ここのところで、やはり配慮が足りなかったのではないか、このように思います。近年でも、四倉中核工業団地など不要不急の大型事業が進められてきました。また、むだな事業と市民の強い批判で断念されたサイクルパーク整備構想では用地買収に24億円もつぎ込まれ、その用地の活用など後始末に追われています。それだけに、今後大型事業に対してどのような姿勢で臨むかが問われていると思います。
今度の選挙で、市長は財政の立て直しを図ることを訴えていますが、大型の公共事業についてどのような姿勢をお持ちですかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
大型の公共事業を含めた各種公共事業の実施に当たりましては、事業の必要性や妥当性、目的達成に必要となる機能や規模などを、将来の需要も含めて判断する必要があるものと認識いたしております。したがいまして、社会経済情勢の変化や財政計画との整合等を踏まえた上、議会を初め市民の皆様の御意見を十分に取り入れ、また、見直すべきものは見直すとの姿勢に立ち、対応してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
ぜひそのような立場で進めていただきたいと思うんですが、この大型事業との関係で、今度の選挙で市長は、文化交流施設といわき駅前第一種市街地再開発事業の2つの事業に関する公約を掲げられました。この2つの事業にどのような方向で取り組んでいくのかを次にお伺いしたいと思います。
まず、文化交流施設の問題です。
この事業は、PFI事業として実施され、昨年、優先交渉権者となった清水建設株式会社を代表企業とするグループが、市内に設立したいわき文化交流パートナーズ株式会社と契約を締結し、現在に至っています。
初めに、この文化交流施設の整備計画がどのような経過を経て準備が進められてきたのかをお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
文化交流施設につきましては、平成13年度に設置いたしました市民検討懇談会からの提言をもとに施設内容の検討を進めるとともに、平成15年度からは、新たな事業手法であるPFI方式を導入した効率的な施設整備に取り組んできたところであり、昨年12月定例会における議決を経て事業契約を締結し、現在に至っております。
◆9番(伊藤浩之君)
この計画が検討される以前から、平市民会館の改修などで、より質の高い文化の中心を担うきちんとした施設が欲しいという市民の要望があったと聞いております。これを実現していくに当たって大切なことは、この計画に市民の声が反映されるよう、意を払って準備が進められたかどうかにあると思いますが、2つ目に、この施設整備計画に市民の声がどのように反映されてきたのかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
施設計画の検討に当たりましては、市民検討懇談会等を通じ、幅広い市民の皆様の御意見を取り入れながら、基本構想・基本計画を取りまとめるとともに、その後のPFI方式による事業推進に際しても、節目となる各段階において、広報紙や市公式ホームぺージ等を通じた周知PR、意見募集を行うなど、これまでの検討過程を通じて市民の皆様の意見反映に努めてきたところであります。
◆9番(伊藤浩之君)
市民の皆さんの声を集約する段階があったわけですけれども、この段階では座席数についてさまざまな意見があったと思います。どのような意見が出て、どのような形で集約していったのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
平成13年度に市民検討懇談会を立ち上げて検討を進めてきたところでございますけれども、とりわけ大ホールの席数につきましては、当初は、1,300席程度を希望される方から2,000席程度を希望される方まで、幅広い意見があったものと受けとめております。その後の詳細な検討に至りまして、それら意見が、1,600席から1,700席程度がふさわしいのではないかというふうに集約されていった経過がございます。
◆9番(伊藤浩之君)
座席数を2,000席規模にする意見を持っていた皆さんがいたということですが、その席数を減らすという合意ができていった理由はどんなところにあったのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
大ホールの席数につきましては、確かにさまざまな御意見がございましたけれども、やはり財政事情でありますとか使い勝手のよさ、さらには維持管理、こういったものを総合的に集約された中で、最大公約数的に1,600席から1,700席程度がよろしいのではないかというふうに集約されたと承知いたしております。
◆9番(伊藤浩之君)
次の質問ですが、事業は現時点でどこまで進んでいるのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
本事業につきましては、現在、事業契約に基づき設計作業を進めている段階であります。
◆9番(伊藤浩之君)
それでは、建設工事の着工はいつでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現契約におきましては、平成18年1月から、大ホールを含む第1期工事に着工する予定となっております。
◆9番(伊藤浩之君)
着工が差し迫っているわけですが、次に、PFI事業の内容について伺います。
まず初めに、PFIとはどのような制度か御説明ください。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
PFIとは、従来、国や地方自治体等が直接実施してきた公共施設の建設・運営等について、民間事業者がみずから資金を調達し、その経営能力及び技術的能力を生かしながら行うものであり、効率的で質の高い公共サービスを実現しようとする制度でございます。
◆9番(伊藤浩之君)
次ですが、PFI事業と市が直接発注する事業では、契約の性格にどのような違いがあるのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
通常の公共事業におきましては、あらかじめ発注者である市が詳細な仕様を規定した上で入札等を行い、受注者側はそれら仕様に従い工事を請け負うことになります。PFI事業の場合、市が設定した要求水準を満たす範囲において、民間事業者がみずからの経営能力や技術力等を駆使し、公共施設の整備及び運営等を包括的に実施することとなる点が特徴となっております。
<strong>◆9番(伊藤浩之君)
次に、このPFI事業を見直すことについて伺いますが、PFI事業で事業者の募集時に業務要求水準書を示しています。この内容を大幅に超える見直しは、現在の契約の範囲内で可能かどうかお伺いします。
<strong>◎企画調整部長(鈴木英司君)
本事業につきましては、設計、建設等の各業務に係る支払い額や、引き渡し時期等の整備スケジュールに変更が生じない範囲で、業務要求水準書に規定する建築、設備等の機能や性能を満たした上での修正等は、事業者との協議が調えば可能でありますが、要求水準の根幹をなす事項を大幅に見直すこととなれば、契約変更等の手続が必要になってくるものと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
見直しの規模によっては、現在の契約の範囲内でも可能との答弁でしたが、場合によっては契約の見直しが必要だということがわかりました。
そして、契約の見直しの中では新たな負担が生じることもあるかと思うんですが、問題はその負担を事業者が負うか市が負うかです。PFI事業の場合、発注者と受注者のリスク分担を事前に決めていますが、座席数の見直しをした場合のリスクはどちらが負い、どの程度のリスクが発生するのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
市側の事情により客席数を増加する場合、設計、建設等の各業務に係る支払い額や、引き渡し時期等の整備スケジュールに変更が生じない範囲で事業者との協議が調えば、現契約の中での見直しは可能でありますが、それらに変更が生じるような大幅な見直しを行う場合においては、所要の追加費用等に関するリスクは市が負担することとなっております。
◆9番(伊藤浩之君)
その場合、どの程度、市が負担するのかわかればお伺いしたいと思います。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現時点におきましては、その数字を明確な形でお示しすることは困難でございます。
◆9番(伊藤浩之君)
この事業におくれが生じた場合、どんな問題が発生するのかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
市側の事情によりまして整備スケジュール等の変更が生じた場合、増加費用など新たな財政支出が必要となりますとともに、施設の整備スケジュールそのものにつきましても、大幅な見直しの必要が生じるものと認識いたしております。
◆9番(伊藤浩之君)
それでは、市側の責任で契約の履行が困難になった場合、どんな問題が発生しますかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
市側の事情によりまして契約を解除した場合につきましては、事業者に対して損害賠償責任が発生するものと認識しております。
◆9番(伊藤浩之君)
損害賠償が想定されるというようなことでしたが、今度の選挙の中で言われたことの1つに、その場所を移転するのではないかというようなことがありました。この場合には大きな損害賠償が発生するということと考えてよろしいのかと思います。
次の質問ですが、このPFI事業がおくれたり、事業を新たにやり直すなどの事態が生じた場合には、財政計画にどのような影響を及ぼすのかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
仮に、事業の大幅な見直しを行うことにより事業スケジュールに変更が生じた場合は、改めて財政計画との整合を図る必要があるものと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
これまでの質問から、文化交流施設の見直しには大変な市の負担と事業のおくれという問題が発生しかねないということがわかりました。このことを踏まえてお伺いしますが、市長選挙の前後に発行された櫛田市長のビラや新聞報道には、市長の文化交流施設についての公約や発言があります。その内容はどのようなものだったのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
文化交流施設につきましては、大規模な大会の開催等に対応した増席を求める市民の皆様の声が数多く寄せられていることを踏まえ、大ホールの客席数について、変更可能な範囲で見直すことを訴えたものと承知いたしております。
◆9番(伊藤浩之君)
公約を受けた具体的な見直しの方向をどのように考えているのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
本事業につきましては、増席に対する市民の皆様からの強い期待を十分に踏まえつつ、一方、平成13年度から平成14年度の2カ年にわたり、本施設の設置目的や建設場所、ホール構成等について熱心な協議を重ねていただいた市民検討懇談会等の検討経過や、市議会におけるこれまでの議論の経過、さらには財政負担や整備スケジュールへの影響など、もろもろの要素を総合的に勘案しながら、さまざまな角度から見直しを検討しているところであり、可能な限り早い時期に、市としての方針を決定してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
きのうからの議論の中で、財政負担もこの検討の要素の一つになるということでしたが、これは新たな財政負担を抑える方向で見直しが図られるものと考えてよろしいのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
新たな財政負担につきましても十分考慮した上で、検討を進めているところでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
もう1つは、見直しの時期の問題ですが、どういうペースで事業が進むのかを心配する声もあるようです。いつをめどに見直し作業を完了させようと考えているのかお答えください。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現在、見直し検討を進めているところでありまして、なるべく早い時期に市としての方針を決定してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
心配する声というのは非常に切実なものがあります。こういった面からも、文化団体の要望等によく耳を傾けて進めていただきたいと思います。
この項、最後の質問になりますが、答弁では文化団体等の意見も見直しの検討材料にするということでした。計画をつくり上げた段階では、市内の文化団体の意見を長い時間かけて積み上げ、合意した内容で施設の整備を計画した経過があります。これら合意がなされてきた意見は、見直しの中ではどのように反映されるのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現在、これまで、とりわけ平成13年度から寄せられております各種文化団体等の意見も十分に踏まえながら検討を進めているところでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
今回の選挙で、市長は財政の立て直しを訴えておりました。仮に文化交流施設の見直しに多大な財政負担が伴えば、財政立て直しの公約とも矛盾するものになると思います。
また、この事業は市内の文化団体の皆さんの御意見を集約しながら進められてきたという側面もあります。見直し作業がこれらの意見を台なしにするようなものであってもならないと思います。見直しに当たっては、文化団体の中からも先行きを心配する声が聞かれます。これまでの答弁では、いつまでにどのような見直しがされるのか若干不明瞭な点もありますが、新たな財政負担を極力避け、文化団体の皆さんの意見も踏まえながら早期に結論を出して、事業が順調に進むように努力を期待して、次の質問に進みたいと思います。
次の質問は、いわき駅前第一種市街地再開発についてお伺いします。
この事業は、いわき駅前市街地再開発組合がいわき駅前に8階建ての再開発ビルを建設しようとするもので、民間の事業ですが、民間の事業とはいえ、市の負担も大きい事業です。市は買収する3つのフロアに総合型図書館等と産業交流拠点施設などを整備しようとしております。そして、参加組合員として事業に積極的に参加もしております。既に、その土地などに権利を持つ地権者等が持っていた資産の権利をビルの床に置きかえる権利変換手続も終え、着工間際となっていますが、今回の選挙で市長は、市が導入する施設を公約に掲げて選挙を戦われました。
まず、今回の選挙で総合型図書館整備に関する市長の公約はどのようなものだったのかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
いわき駅前再開発事業につきましては、市民の皆様の声を聞き、工期をおくらせることなく、公共フロアを市民の皆様に喜ばれる施設に見直すというものであったと承知しております。
◆9番(伊藤浩之君)
答弁を聞きますと、再開発ビルに図書館を入れることを前提にして公約をされたというふうに聞こえます。
しかしながら、新聞の報道等を見ると、駅前に図書館はふさわしくないなど、フロアに入れる総合型図書館を別の施設に置きかえるような発言が散見されたことから、これまで私が市民の皆さんとお話をしたところでは、大方の方はこれを公約だと考えているようです。市長の公約は途中で変わったのかどうか、その点をお答えください。
◎教育部長(山田満君)
今回の行政報告でもお答え申し上げましたとおり、駅前の立地特性を生かして、多くの市民の皆様に利用され、喜ばれる施設機能のさらなる検討を加え、継続的なにぎわいづくりに寄与してまいりたいというような考えでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
変わったかどうかということが質問でありまして、ちょっとニュアンスが違うと思うんですけれども。
<strong>◎教育部長(山田満君)
基本的な考え方は変わっておりません。
◆9番(伊藤浩之君)
先ほども申しましたが、ビルのスペースは図書館以外に活用、それから総合型図書館の導入は否定的などの新聞報道を見ても、大方の人は、図書館を再開発ビルに入れることに市長が否定的というとらえ方をしています。市長が図書館を外に出すとは言っていないとしても、少なくとも多くの方に誤解される物言いをしていたのではないでしょうか。選挙における公約は、有権者が候補者を選ぶ上で非常に大切な要素であり、誤解を与えているとすれば、やはりそこには問題があると思います。
しかし、私は、総合型図書館を入れることを前提に再開発ビルが着工した現在、図書館を別に整備することには問題があると考えております。再開発ビルは、既に権利変換が終わっており、事業を中止することは困難な状態になっています。また、いわき市は参加組合員として約73億円を上限に支出する契約までしています。文化交流施設も問題の基本は同じですが、中止が困難であれば、フロア買収費に約73億円も使う上に、外に出すという公約だとすれば、別に図書館をつくるために、また数十億円の費用をかけることになるので、非常に問題がある公約だと考えておりました。市長の公約が総合型図書館を別に整備する内容ではないということが確認できましたので、次の質問に移りたいと思います。
次は、山一商事株式会社が計画する管理型の産業廃棄物最終処分場についてお伺いします。
計画されている処分場は、内郷綴町や草木台団地、また21世紀の森公園に隣接する市の中心部につくられるものです。これには既に14万人を超える建設反対署名が集まっており、市民がこのような処分場の建設を望んでいないことは明らかです。今度の選挙で市長は、山一商事産廃処分場建設に反対する公約をしていますが、反対した理由は何でしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
私は、選挙戦におきまして、市民生活や観光産業に不安を与えるおそれがあり、認められないと訴えてまいりました。
◆9番(伊藤浩之君)
ただいまのような判断をしたその理由なんですが、市長が発行した政治活動ビラ第2号では、約14万名の反対署名が提出されたというのを第一に掲げて、その理由を説明しておられました。こうした市民の声が、市長が認めないとした大きな要素の1つと考えてよろしいでしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
私も政治家であります。自分の信念に従って、あの場所はふさわしくない。それと同時並行に、14万何がしの反対署名運動もあったということでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
市長の強い信念として、あそこはふさわしくないということでしたが、市長の山一商事の産廃処分場を認めないという公約には、多くの市民の皆さんの期待が集まったことは論をまちません。
四家前市長は、初当選したときの選挙で、廃プラ発電所について公約をされました。建設予定地周辺の住民の皆さんの同意を得ることを事業者に強く求め続けた中で、建設が断念されたという経過がありました。この廃プラ発電所を計画した日本環境発電の親会社は、大熊町で廃プラRDFを燃やしてクリーニングなどの事業を展開しています。以前は、敷地内に仮置きと称して焼却灰を土中に埋めたことが問題になり、最近は、この敷地周辺から高濃度のダイオキシンが検出されたことを県が発表しています。こうした事業者がいわき市に展開しなかったことは幸いなことだったと思います。
公約を貫いて実行することには困難が伴うことがあるかもしれませんが、市長は、この公約の実現をどのように図るお考えかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
現在、この計画は、福島県の指導のもとに環境影響評価の手続が進められている段階にあります。私といたしましては、今後の手続の中で、この処分場の設置が周辺環境に及ぼす影響等について厳しく見きわめながら進めていきたいと考えております。
<strong>◆9番(伊藤浩之君)
厳しく見きわめていくという御答弁でしたが、提案要旨説明で市長は、適切に判断するとしていました。残念ながらこの言葉に、公約からのトーンダウンの印象を受けてしまいます。この適切に判断という発言ですが、これは公約にある認めないとした立場で、環境等への影響を厳しく見きわめた上での判断であり、公約からはいささかも揺らぎのない内容だということと理解してよろしいんでしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
そのとおりであります。
◆9番(伊藤浩之君)
ぜひ市長には、公約の内容を貫かれて頑張っていただくようお願いしたいと思います。
それで、市長に頑張っていただく上で確認しておきたいのですが、産廃関係者などから、これまで政治献金を受けたことがあるかどうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
それは現時点でしょうか、それとも県議会議員のときにでしょうか。
◆9番(伊藤浩之君)
過去、これまでにという意味です。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
過去におきましては、県議会議員のころには受けたことがございます。
◆9番(伊藤浩之君)
私もその点について、住民の中に声があったものですから、気になって調べてみました。古い話で恐縮ですが、平成2年に市長の後援会が、いわき新政策研究会という政治団体から300万円の寄附を受けています。この研究会は、個人2人から150万円ずつ、また、別の政治団体から500万円の寄附を受けていました。研究会の収支を見ると、支出は300万円だけで、市長の後援会に献金した以外に支出はありません。実はこの新政策研究会に個人献金をした2人は、どちらも産廃業者の関係者だったということでした。政治団体からの寄附ですし、その団体への個人献金、おまけに法に基づいて処理されていますから、何が悪いということをおっしゃる方もいるかもしれませんが、当時も沼部の不法投棄など、産業廃棄物に関して大きな問題になっている時期でした。それだけに、政治とお金との関係で身の回りをきちんとしておくことは非常に大切なことだったと思います。こうした部分にもしっかり目を配っていただいて、処分場への厳しい対応を期待したいと思います。
次の質問に移りますが、山一商事が計画する処分場については、現在は福島県が環境影響評価を実施しています。これが終了すれば、環境影響評価書も含めた事前調整に入ることになるわけですが、ここで問題になるのは、住民の同意の問題です。
市はこれまで、住民に説明する前に、事業者が集めた同意書をもとに、住民の同意は73.6%あるが、同意の熟度に変化があるとしてきました。この考えは今も変わっていないのでしょうかお伺いします。
◎環境部長(上遠野洋一君)
合意形成の熟度につきましては、いわき市産業廃棄物処理指導要綱に基づく手続が終了するまでの間において、さまざまな要因により変化するものと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
さまざまに変化をするというようなことですが、この間だけで見ても、市の要綱で同意をとることを求めている半径500メートルのうちに住む方の7割に相当すると思われる方が、同意しないとした陳情を提出するなど、建設反対の意思を明確にしています。環境影響評価が終われば、再びこの評価書を踏まえた事前調整となります。改めて事業者が住民にきちんと説明し、同意を取り直しするよう求める必要があると考えますがいかがでしょうか。
◎環境部長(上遠野洋一君)
指導要綱には御指摘のような定めはございませんが、市といたしましては、事業計画の手続の過程において、同意の撤回等の意思表示がある場合には、事業者に対する指導を適切に行ってまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
ぜひそういう取り扱いを厳しくしていただきたいと思います。
最後の質問になりますが、少人数学級等についてお伺いします。
初めに、少人数指導の効果などについてお伺いしたいと思います。
これまで教育長は、小学校3年生から6年生の少人数学級は、今後、少人数指導の教育効果等を十分に検証しながら検討してまいりたいとしていましたが、少人数指導と少人数学級の効果はどのような方法で把握されているのかお伺いします。
◎教育長(砂子田敦博君)
少人数指導と少人数学級の効果につきましては、導入いたしまして半年が経過いたしました10月の時点におきまして、児童・保護者・教員を対象に、学力の向上、学習に対する興味・関心・意欲、教員の児童・生徒に対する見方や接し方等についてのアンケート調査を実施してまいりました。この調査につきましては、10月に終了したところでございます。これらの結果は現在集計中でございますので、結果が出た時点におきまして、また御報告申し上げる機会があろうかと思います。
◆9番(伊藤浩之君)
そのアンケートの中では、30人学級実施の要望を把握できる内容になっておるのか、もう一度お伺いしたいと思います。
◎教育長(砂子田敦博君)
30人学級につきましても、同様に、実施についての調査をいたしております。これにつきましても、前回の本会議におきましても御質問がございましたので、ある程度の成果については御報告をいたしておるところでございますが、教員、児童・生徒あるいは保護者からの意向につきましても、一定の成果を見ているという報告はいただいております。
◆9番(伊藤浩之君)
ことし4月から、小学校3年生から6年生には少人数指導が導入されました。この少人数指導の導入のねらいを改めてお伺いします。
◎教育長(砂子田敦博君)
小学校3年生から6年生におきましては、特に社会性を十分に身につけること、学力面では、基礎・基本の定着を図る必要があることなどを勘案いたしまして、少人数指導を導入したところでございます。
さらに、学習集団の規模を生かしながら、きめ細やかな指導を行えるティーム・ティーチング等の方式を導入いたしまして、指導の徹底と学習効果の成果を期待しているところであります。
<strong>◆9番(伊藤浩之君)
私はこの理由を聞いて、小学校3年生から6年生に、少人数学級ではなく少人数指導を導入したことには積極的な理由がないと感じています。学力面での基礎・基本を身につけることは、30人程度学級でも当然実現できることであり、実際にこのことは少人数学級を取り入れた学年でも実践されてきたことだと思います。
一方、社会性を身につけることですが、少人数学級を導入した学年でこれができないかというと、そうではないと思います。規模に応じた形で社会性を身につける学習ができているはずです。ある学校では、小学校3年生の児童が、先生が疲れているのがわかるから相談の声をなかなかかけられないと親に言っている事例があるそうです。これは教師の能力という問題だけではなくて、教育環境の面からそういう問題が起こっているように感じてなりません。
最近、LD児など問題行動をとる児童も増加していると聞きますし、一人一人の子供に目が行き届き、系統的に見ていくことができる環境を一刻も早くつくることが必要だと思います。
そこで、少人数学級の導入についてお伺いします。
まず、小学校3年生から6年生に少人数学級を導入するとすれば、今年度の児童数をもとに算定した場合、どの程度の予算が必要になるでしょうかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
小学校3年から6年で少人数学級を導入するためには、各学校の施設・設備等の実態を把握し、その上で所要額の経費を算定することになります。今後、少人数学級の導入を見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
私は、今年度の児童数を前提に算定した場合と言っておりますので、これから30人学級の導入を検討の上に算定するというのとは、ちょっと違うように思うんですね。いかがでしょうか。
◎教育部長(山田満君)
今後、少人数学級を導入するか否かを定めた上で、各施設の実態を把握して算定してまいりたい。まだ決定をしない段階での、仮定の上での算定は困難であると認識しております。
◆9番(伊藤浩之君)
方針を決めていないから計算ができないということではないと思うんですね。単なる参考事例として、どの程度になるかと伺っているわけですから、方針を決めなければ算定できないというのはおかしいと思うんです。算定ができないんでしょうか。
◎教育部長(山田満君)
具体的に算定するとなると、教室の改修、教室の中の備品あるいは教科書、それから給食の備品等々の算定が必要になりますので、具体的な方針を定めた上で算定することになると考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
そういうことが考えられるために、私は、今年度の児童数を前提として計算をしてくださいと聞き取りでもお願いしたはずです。ですから、算定ができないというのはおかしいと思うのです。どうでしょうか。
◎教育部長(山田満君)
平成16年度をもとに計算した例はございますけれども、改めて算定はしておりません。その際には約2億円弱という計算が出ております。これは改めて計算し直さなければいけないと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
平成16年度時点で質問の趣旨に沿う算定ができていたわけですから、それを出せないということ自身がどうなのかと思うんですが、なお、この2億円なんですけれども、2億円の中身は、人件費関係、つまり県が負担する分については入った上での計算かどうかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
これはすべての項目が入った経費でございます。
◆9番(伊藤浩之君)
すべての項目というと、人件費も入っているということですね。
◎教育部長(山田満君)
補足させていただきます。人件費については、これは県費負担となっております。入っていないということです。
◆9番(伊藤浩之君)
平成16年度時点での算定ではありますが、約2億円だということです。今年度及び来年度についても、児童・生徒数にそれほどの大きな変動はないものと思いますので、ほぼ同程度の予算を確保すれば、30人程度学級が実現できるものと思います。
市長は今回の選挙で、全学年の30人学級導入の考えを新聞記者に問われて、米百俵の精神にあるよう、人づくりは将来に続くいわきのまちづくりの基本と考える。子供たちの教育に力を注ぎ、その方向性を見出す。このように答えています。また、選挙公約にもある教育文化都市となるためにも、少人数学級の導入に率先して予算を確保する考えはないでしょうかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
少人数指導及び少人数学級のそれぞれの教育効果等を十分見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
見きわめて検討ということですけれども、これは市長の公約との関係で聞いていますので、その予算の確保については、ぜひ市長のお考えもお聞かせ願いたいと思うのですがどうでしょうか。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
いわき市は、御承知のとおり大変広い市域を擁しております。したがいまして、30人学級を形成できない中山間地域の学校もございます。それらを勘案して、次世代を担う立派な子供たちの教育には、選挙公約で掲げたような基本的な考え方を持っておりますので、これから鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
鋭意取り組むということでした。明確な答えが聞けないのは残念ですが、学校の先生も、どんな環境であっても教育には熱意を持って当たられていると思いますが、この熱意の効果がより発揮され、子供たちが生き生きと学べるようにするためにも、30人程度の少人数学級の導入は大切な課題だと思います。早期の実現を求めて、私の一般質問を終わりたいと思います。(拍手)
基本的には、選挙の争点となった中心的な公約を実施すると、一般財源に大きな負担が生じるとする立場からの質問でした。
いわき市議会の会議録検索で見ることができますが、あらためてブログに掲載します。
なお会議録検索のアドレスはこちら。
初議会に臨んだ櫛田市長への一般質問
◆9番(伊藤浩之君)
(拍手)9番日本共産党の伊藤浩之です。ただいまから通告に従いまして、一般質問を行います。
櫛田市長には、このたびは当選おめでとうございました。市長としての任につかれたわけですが、市長は、大変な社会情勢の中で重い課題を背負って船出をすることになったと思います。
今、小泉構造改革の中で進む、暮らし、福祉切り捨ての政治の中で、市政をどう進めるかという課題です。
今度の総選挙で、小泉首相は、郵政民営化の是非を選挙の唯一の争点かのように演出し、増税や平和憲法改悪など重大な争点を隠し、選挙を戦いました。刺客騒ぎや、改革をとめるなと小泉首相が絶叫する中で、強烈な小泉突風が吹き荒れました。こうした作戦が功を奏し、自民党は62%の議席を獲得しました。しかし、この結果は民意を極端にゆがめる小選挙区の効果によるものです。実際、自民党は小選挙区で73%の議席を獲得しましたが、比例区では43%にとどまっています。ですから今度の選挙は、郵政民営化など小泉構造改革の路線が国民の圧倒的多数の支持を得たものとは決して言えないと思います。
しかし、小泉内閣が多数の議席を獲得したことを背景に、選挙後、サラリーマン増税や消費税増税など、国民に大きな負担をかける大増税路線の大合唱が始まっています。三位一体改革で地方交付税の削減を初め、地方財政の見通しに困難も予想されます。
こうしたもとで、市長には、市民の暮らしを守る役割の発揮が強く求められていると思います。これから市長がどのような市政を進めていくのかお伺いいたしますが、その前提として、日本の政治の大原則となる憲法などに対する市長のお考えをお伺いします。
まず初めに、憲法の問題です。
選挙後、民主党も含め改憲派が国会で多数を占めました。これを背景に改憲論議が活発になっております。この論議の焦点は、2,000万人のアジアの人々と310万人の国民のとうとい犠牲の上に打ち立てられた日本国憲法の平和原則をなくしてしまうことに向けられています。この平和原則は、憲法前文と戦争の放棄及びその具体的保障として宣言された戦力を持たないとうたった憲法第9条であります。この憲法第9条を変えようという発言が活発にされるようになっており、先ごろ自民党は、憲法の前文から戦争の反省をなくし、憲法第9条に自衛軍という軍隊を明記する改憲案を発表しました。市長は、この第9条についてどのような認識をお持ちですか。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
現行憲法につきましては、国家の最高法規として、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を三原則として制定されたものであり、その中で憲法第9条は、憲法の平和主義の根幹をなすものであると考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
この日本の平和主義が戦後の日本の発展を支えてきたということを、私はこの間学んでまいりました。
次に、首相の靖国神社の参拝問題についてお伺いしますが、先ごろ小泉首相が就任以来5度目の靖国神社を参拝し、アジア各国やアメリカのニューヨークタイムズが靖国参拝は無意味な挑発と社説に掲載するなど、内外から懸念の声が一斉に上がりました。中国・撫順市と友好都市になっているいわき市の市長としては、こうした問題を引き起こしている首相の靖国神社の参拝について、どのような認識をお持ちでしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
靖国神社の参拝につきましては、小泉首相がみずからの責任と判断で行われているものと考えますことから、私といたしましては論評は差し控えさせていただきます。
◆9番(伊藤浩之君)
市長のお考えを聞けないのは非常に残念です。靖国神社の問題は、戦争で多大な犠牲者を生み出した責任者として裁かれたA級戦犯を合祀しているにとどまらず、日本の戦争は正しかったという戦争観に立って、侵略戦争を自存自衛の戦争と正当化し、宣伝することを明確にしている神社であることです。参拝すれば、首相も同じ考えと諸外国にとられて当たり前だと思います。ですから、国内を初め、アジアや世界の良識ある人々から抗議の的になっております。
靖国問題は友好都市との友好の発展の上でも避けて通れない問題です。中国・撫順市とは都市間の友好関係ですが、その友好の前提には、国の友好があると思います。靖国問題でこの友好にひびが入りかねません。また、いわき市は非核平和都市宣言を採択しましたが、採択当時の田畑金光市長が、侵略戦争の反省に立って、現在の憲法に盛られた恒久平和への願いが込められた宣言だと言っているように、この宣言は侵略戦争を肯定する靖国神社の考えとは相入れないものを持っております。宣言をした都市の市長として、中国・撫順市、またタウンズビル市との友好を発展させる上でも、憲法と靖国神社の参拝に対してどう考えるかは重要な問題だということを指摘して、次の質問に進みます。
次の質問は、大型公共事業に対する市長の認識についてです。まず、市の財政悪化に対する大型事業の影響を、市長はどのように認識しておられるでしょうかお伺いします。
◎財政部長(陸川克己君)
大規模事業の実施は、短期的には、その実施年度において普通建設事業費の増をもたらすとともに、中・長期的には、事業実施に伴い発行する市債の元利償還金の支出が生じることによって、後年度において公債費の増加をもたらすことになります。
これまで大規模事業等の普通建設事業の実施に当たりましては、計画的な財政運営を図ることを目的に、平成13年度に策定した中期財政計画に基づき、毎年度の予算編成において事業の進捗状況や優先順位を踏まえた調整を行ってきており、今後においても次期中期財政計画を基本として、計画的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
優先順位をはっきりさせながら進めてきたというお話でしたが、ここのところで、やはり配慮が足りなかったのではないか、このように思います。近年でも、四倉中核工業団地など不要不急の大型事業が進められてきました。また、むだな事業と市民の強い批判で断念されたサイクルパーク整備構想では用地買収に24億円もつぎ込まれ、その用地の活用など後始末に追われています。それだけに、今後大型事業に対してどのような姿勢で臨むかが問われていると思います。
今度の選挙で、市長は財政の立て直しを図ることを訴えていますが、大型の公共事業についてどのような姿勢をお持ちですかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
大型の公共事業を含めた各種公共事業の実施に当たりましては、事業の必要性や妥当性、目的達成に必要となる機能や規模などを、将来の需要も含めて判断する必要があるものと認識いたしております。したがいまして、社会経済情勢の変化や財政計画との整合等を踏まえた上、議会を初め市民の皆様の御意見を十分に取り入れ、また、見直すべきものは見直すとの姿勢に立ち、対応してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
ぜひそのような立場で進めていただきたいと思うんですが、この大型事業との関係で、今度の選挙で市長は、文化交流施設といわき駅前第一種市街地再開発事業の2つの事業に関する公約を掲げられました。この2つの事業にどのような方向で取り組んでいくのかを次にお伺いしたいと思います。
まず、文化交流施設の問題です。
この事業は、PFI事業として実施され、昨年、優先交渉権者となった清水建設株式会社を代表企業とするグループが、市内に設立したいわき文化交流パートナーズ株式会社と契約を締結し、現在に至っています。
初めに、この文化交流施設の整備計画がどのような経過を経て準備が進められてきたのかをお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
文化交流施設につきましては、平成13年度に設置いたしました市民検討懇談会からの提言をもとに施設内容の検討を進めるとともに、平成15年度からは、新たな事業手法であるPFI方式を導入した効率的な施設整備に取り組んできたところであり、昨年12月定例会における議決を経て事業契約を締結し、現在に至っております。
◆9番(伊藤浩之君)
この計画が検討される以前から、平市民会館の改修などで、より質の高い文化の中心を担うきちんとした施設が欲しいという市民の要望があったと聞いております。これを実現していくに当たって大切なことは、この計画に市民の声が反映されるよう、意を払って準備が進められたかどうかにあると思いますが、2つ目に、この施設整備計画に市民の声がどのように反映されてきたのかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
施設計画の検討に当たりましては、市民検討懇談会等を通じ、幅広い市民の皆様の御意見を取り入れながら、基本構想・基本計画を取りまとめるとともに、その後のPFI方式による事業推進に際しても、節目となる各段階において、広報紙や市公式ホームぺージ等を通じた周知PR、意見募集を行うなど、これまでの検討過程を通じて市民の皆様の意見反映に努めてきたところであります。
◆9番(伊藤浩之君)
市民の皆さんの声を集約する段階があったわけですけれども、この段階では座席数についてさまざまな意見があったと思います。どのような意見が出て、どのような形で集約していったのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
平成13年度に市民検討懇談会を立ち上げて検討を進めてきたところでございますけれども、とりわけ大ホールの席数につきましては、当初は、1,300席程度を希望される方から2,000席程度を希望される方まで、幅広い意見があったものと受けとめております。その後の詳細な検討に至りまして、それら意見が、1,600席から1,700席程度がふさわしいのではないかというふうに集約されていった経過がございます。
◆9番(伊藤浩之君)
座席数を2,000席規模にする意見を持っていた皆さんがいたということですが、その席数を減らすという合意ができていった理由はどんなところにあったのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
大ホールの席数につきましては、確かにさまざまな御意見がございましたけれども、やはり財政事情でありますとか使い勝手のよさ、さらには維持管理、こういったものを総合的に集約された中で、最大公約数的に1,600席から1,700席程度がよろしいのではないかというふうに集約されたと承知いたしております。
◆9番(伊藤浩之君)
次の質問ですが、事業は現時点でどこまで進んでいるのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
本事業につきましては、現在、事業契約に基づき設計作業を進めている段階であります。
◆9番(伊藤浩之君)
それでは、建設工事の着工はいつでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現契約におきましては、平成18年1月から、大ホールを含む第1期工事に着工する予定となっております。
◆9番(伊藤浩之君)
着工が差し迫っているわけですが、次に、PFI事業の内容について伺います。
まず初めに、PFIとはどのような制度か御説明ください。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
PFIとは、従来、国や地方自治体等が直接実施してきた公共施設の建設・運営等について、民間事業者がみずから資金を調達し、その経営能力及び技術的能力を生かしながら行うものであり、効率的で質の高い公共サービスを実現しようとする制度でございます。
◆9番(伊藤浩之君)
次ですが、PFI事業と市が直接発注する事業では、契約の性格にどのような違いがあるのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
通常の公共事業におきましては、あらかじめ発注者である市が詳細な仕様を規定した上で入札等を行い、受注者側はそれら仕様に従い工事を請け負うことになります。PFI事業の場合、市が設定した要求水準を満たす範囲において、民間事業者がみずからの経営能力や技術力等を駆使し、公共施設の整備及び運営等を包括的に実施することとなる点が特徴となっております。
<strong>◆9番(伊藤浩之君)
次に、このPFI事業を見直すことについて伺いますが、PFI事業で事業者の募集時に業務要求水準書を示しています。この内容を大幅に超える見直しは、現在の契約の範囲内で可能かどうかお伺いします。
<strong>◎企画調整部長(鈴木英司君)
本事業につきましては、設計、建設等の各業務に係る支払い額や、引き渡し時期等の整備スケジュールに変更が生じない範囲で、業務要求水準書に規定する建築、設備等の機能や性能を満たした上での修正等は、事業者との協議が調えば可能でありますが、要求水準の根幹をなす事項を大幅に見直すこととなれば、契約変更等の手続が必要になってくるものと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
見直しの規模によっては、現在の契約の範囲内でも可能との答弁でしたが、場合によっては契約の見直しが必要だということがわかりました。
そして、契約の見直しの中では新たな負担が生じることもあるかと思うんですが、問題はその負担を事業者が負うか市が負うかです。PFI事業の場合、発注者と受注者のリスク分担を事前に決めていますが、座席数の見直しをした場合のリスクはどちらが負い、どの程度のリスクが発生するのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
市側の事情により客席数を増加する場合、設計、建設等の各業務に係る支払い額や、引き渡し時期等の整備スケジュールに変更が生じない範囲で事業者との協議が調えば、現契約の中での見直しは可能でありますが、それらに変更が生じるような大幅な見直しを行う場合においては、所要の追加費用等に関するリスクは市が負担することとなっております。
◆9番(伊藤浩之君)
その場合、どの程度、市が負担するのかわかればお伺いしたいと思います。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現時点におきましては、その数字を明確な形でお示しすることは困難でございます。
◆9番(伊藤浩之君)
この事業におくれが生じた場合、どんな問題が発生するのかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
市側の事情によりまして整備スケジュール等の変更が生じた場合、増加費用など新たな財政支出が必要となりますとともに、施設の整備スケジュールそのものにつきましても、大幅な見直しの必要が生じるものと認識いたしております。
◆9番(伊藤浩之君)
それでは、市側の責任で契約の履行が困難になった場合、どんな問題が発生しますかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
市側の事情によりまして契約を解除した場合につきましては、事業者に対して損害賠償責任が発生するものと認識しております。
◆9番(伊藤浩之君)
損害賠償が想定されるというようなことでしたが、今度の選挙の中で言われたことの1つに、その場所を移転するのではないかというようなことがありました。この場合には大きな損害賠償が発生するということと考えてよろしいのかと思います。
次の質問ですが、このPFI事業がおくれたり、事業を新たにやり直すなどの事態が生じた場合には、財政計画にどのような影響を及ぼすのかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
仮に、事業の大幅な見直しを行うことにより事業スケジュールに変更が生じた場合は、改めて財政計画との整合を図る必要があるものと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
これまでの質問から、文化交流施設の見直しには大変な市の負担と事業のおくれという問題が発生しかねないということがわかりました。このことを踏まえてお伺いしますが、市長選挙の前後に発行された櫛田市長のビラや新聞報道には、市長の文化交流施設についての公約や発言があります。その内容はどのようなものだったのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
文化交流施設につきましては、大規模な大会の開催等に対応した増席を求める市民の皆様の声が数多く寄せられていることを踏まえ、大ホールの客席数について、変更可能な範囲で見直すことを訴えたものと承知いたしております。
◆9番(伊藤浩之君)
公約を受けた具体的な見直しの方向をどのように考えているのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
本事業につきましては、増席に対する市民の皆様からの強い期待を十分に踏まえつつ、一方、平成13年度から平成14年度の2カ年にわたり、本施設の設置目的や建設場所、ホール構成等について熱心な協議を重ねていただいた市民検討懇談会等の検討経過や、市議会におけるこれまでの議論の経過、さらには財政負担や整備スケジュールへの影響など、もろもろの要素を総合的に勘案しながら、さまざまな角度から見直しを検討しているところであり、可能な限り早い時期に、市としての方針を決定してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
きのうからの議論の中で、財政負担もこの検討の要素の一つになるということでしたが、これは新たな財政負担を抑える方向で見直しが図られるものと考えてよろしいのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
新たな財政負担につきましても十分考慮した上で、検討を進めているところでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
もう1つは、見直しの時期の問題ですが、どういうペースで事業が進むのかを心配する声もあるようです。いつをめどに見直し作業を完了させようと考えているのかお答えください。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現在、見直し検討を進めているところでありまして、なるべく早い時期に市としての方針を決定してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
心配する声というのは非常に切実なものがあります。こういった面からも、文化団体の要望等によく耳を傾けて進めていただきたいと思います。
この項、最後の質問になりますが、答弁では文化団体等の意見も見直しの検討材料にするということでした。計画をつくり上げた段階では、市内の文化団体の意見を長い時間かけて積み上げ、合意した内容で施設の整備を計画した経過があります。これら合意がなされてきた意見は、見直しの中ではどのように反映されるのでしょうかお伺いします。
◎企画調整部長(鈴木英司君)
現在、これまで、とりわけ平成13年度から寄せられております各種文化団体等の意見も十分に踏まえながら検討を進めているところでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
今回の選挙で、市長は財政の立て直しを訴えておりました。仮に文化交流施設の見直しに多大な財政負担が伴えば、財政立て直しの公約とも矛盾するものになると思います。
また、この事業は市内の文化団体の皆さんの御意見を集約しながら進められてきたという側面もあります。見直し作業がこれらの意見を台なしにするようなものであってもならないと思います。見直しに当たっては、文化団体の中からも先行きを心配する声が聞かれます。これまでの答弁では、いつまでにどのような見直しがされるのか若干不明瞭な点もありますが、新たな財政負担を極力避け、文化団体の皆さんの意見も踏まえながら早期に結論を出して、事業が順調に進むように努力を期待して、次の質問に進みたいと思います。
次の質問は、いわき駅前第一種市街地再開発についてお伺いします。
この事業は、いわき駅前市街地再開発組合がいわき駅前に8階建ての再開発ビルを建設しようとするもので、民間の事業ですが、民間の事業とはいえ、市の負担も大きい事業です。市は買収する3つのフロアに総合型図書館等と産業交流拠点施設などを整備しようとしております。そして、参加組合員として事業に積極的に参加もしております。既に、その土地などに権利を持つ地権者等が持っていた資産の権利をビルの床に置きかえる権利変換手続も終え、着工間際となっていますが、今回の選挙で市長は、市が導入する施設を公約に掲げて選挙を戦われました。
まず、今回の選挙で総合型図書館整備に関する市長の公約はどのようなものだったのかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
いわき駅前再開発事業につきましては、市民の皆様の声を聞き、工期をおくらせることなく、公共フロアを市民の皆様に喜ばれる施設に見直すというものであったと承知しております。
◆9番(伊藤浩之君)
答弁を聞きますと、再開発ビルに図書館を入れることを前提にして公約をされたというふうに聞こえます。
しかしながら、新聞の報道等を見ると、駅前に図書館はふさわしくないなど、フロアに入れる総合型図書館を別の施設に置きかえるような発言が散見されたことから、これまで私が市民の皆さんとお話をしたところでは、大方の方はこれを公約だと考えているようです。市長の公約は途中で変わったのかどうか、その点をお答えください。
◎教育部長(山田満君)
今回の行政報告でもお答え申し上げましたとおり、駅前の立地特性を生かして、多くの市民の皆様に利用され、喜ばれる施設機能のさらなる検討を加え、継続的なにぎわいづくりに寄与してまいりたいというような考えでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
変わったかどうかということが質問でありまして、ちょっとニュアンスが違うと思うんですけれども。
<strong>◎教育部長(山田満君)
基本的な考え方は変わっておりません。
◆9番(伊藤浩之君)
先ほども申しましたが、ビルのスペースは図書館以外に活用、それから総合型図書館の導入は否定的などの新聞報道を見ても、大方の人は、図書館を再開発ビルに入れることに市長が否定的というとらえ方をしています。市長が図書館を外に出すとは言っていないとしても、少なくとも多くの方に誤解される物言いをしていたのではないでしょうか。選挙における公約は、有権者が候補者を選ぶ上で非常に大切な要素であり、誤解を与えているとすれば、やはりそこには問題があると思います。
しかし、私は、総合型図書館を入れることを前提に再開発ビルが着工した現在、図書館を別に整備することには問題があると考えております。再開発ビルは、既に権利変換が終わっており、事業を中止することは困難な状態になっています。また、いわき市は参加組合員として約73億円を上限に支出する契約までしています。文化交流施設も問題の基本は同じですが、中止が困難であれば、フロア買収費に約73億円も使う上に、外に出すという公約だとすれば、別に図書館をつくるために、また数十億円の費用をかけることになるので、非常に問題がある公約だと考えておりました。市長の公約が総合型図書館を別に整備する内容ではないということが確認できましたので、次の質問に移りたいと思います。
次は、山一商事株式会社が計画する管理型の産業廃棄物最終処分場についてお伺いします。
計画されている処分場は、内郷綴町や草木台団地、また21世紀の森公園に隣接する市の中心部につくられるものです。これには既に14万人を超える建設反対署名が集まっており、市民がこのような処分場の建設を望んでいないことは明らかです。今度の選挙で市長は、山一商事産廃処分場建設に反対する公約をしていますが、反対した理由は何でしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
私は、選挙戦におきまして、市民生活や観光産業に不安を与えるおそれがあり、認められないと訴えてまいりました。
◆9番(伊藤浩之君)
ただいまのような判断をしたその理由なんですが、市長が発行した政治活動ビラ第2号では、約14万名の反対署名が提出されたというのを第一に掲げて、その理由を説明しておられました。こうした市民の声が、市長が認めないとした大きな要素の1つと考えてよろしいでしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
私も政治家であります。自分の信念に従って、あの場所はふさわしくない。それと同時並行に、14万何がしの反対署名運動もあったということでございます。
◆9番(伊藤浩之君)
市長の強い信念として、あそこはふさわしくないということでしたが、市長の山一商事の産廃処分場を認めないという公約には、多くの市民の皆さんの期待が集まったことは論をまちません。
四家前市長は、初当選したときの選挙で、廃プラ発電所について公約をされました。建設予定地周辺の住民の皆さんの同意を得ることを事業者に強く求め続けた中で、建設が断念されたという経過がありました。この廃プラ発電所を計画した日本環境発電の親会社は、大熊町で廃プラRDFを燃やしてクリーニングなどの事業を展開しています。以前は、敷地内に仮置きと称して焼却灰を土中に埋めたことが問題になり、最近は、この敷地周辺から高濃度のダイオキシンが検出されたことを県が発表しています。こうした事業者がいわき市に展開しなかったことは幸いなことだったと思います。
公約を貫いて実行することには困難が伴うことがあるかもしれませんが、市長は、この公約の実現をどのように図るお考えかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
現在、この計画は、福島県の指導のもとに環境影響評価の手続が進められている段階にあります。私といたしましては、今後の手続の中で、この処分場の設置が周辺環境に及ぼす影響等について厳しく見きわめながら進めていきたいと考えております。
<strong>◆9番(伊藤浩之君)
厳しく見きわめていくという御答弁でしたが、提案要旨説明で市長は、適切に判断するとしていました。残念ながらこの言葉に、公約からのトーンダウンの印象を受けてしまいます。この適切に判断という発言ですが、これは公約にある認めないとした立場で、環境等への影響を厳しく見きわめた上での判断であり、公約からはいささかも揺らぎのない内容だということと理解してよろしいんでしょうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
そのとおりであります。
◆9番(伊藤浩之君)
ぜひ市長には、公約の内容を貫かれて頑張っていただくようお願いしたいと思います。
それで、市長に頑張っていただく上で確認しておきたいのですが、産廃関係者などから、これまで政治献金を受けたことがあるかどうかお伺いします。
◎市長(櫛田一男君)
それは現時点でしょうか、それとも県議会議員のときにでしょうか。
◆9番(伊藤浩之君)
過去、これまでにという意味です。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
過去におきましては、県議会議員のころには受けたことがございます。
◆9番(伊藤浩之君)
私もその点について、住民の中に声があったものですから、気になって調べてみました。古い話で恐縮ですが、平成2年に市長の後援会が、いわき新政策研究会という政治団体から300万円の寄附を受けています。この研究会は、個人2人から150万円ずつ、また、別の政治団体から500万円の寄附を受けていました。研究会の収支を見ると、支出は300万円だけで、市長の後援会に献金した以外に支出はありません。実はこの新政策研究会に個人献金をした2人は、どちらも産廃業者の関係者だったということでした。政治団体からの寄附ですし、その団体への個人献金、おまけに法に基づいて処理されていますから、何が悪いということをおっしゃる方もいるかもしれませんが、当時も沼部の不法投棄など、産業廃棄物に関して大きな問題になっている時期でした。それだけに、政治とお金との関係で身の回りをきちんとしておくことは非常に大切なことだったと思います。こうした部分にもしっかり目を配っていただいて、処分場への厳しい対応を期待したいと思います。
次の質問に移りますが、山一商事が計画する処分場については、現在は福島県が環境影響評価を実施しています。これが終了すれば、環境影響評価書も含めた事前調整に入ることになるわけですが、ここで問題になるのは、住民の同意の問題です。
市はこれまで、住民に説明する前に、事業者が集めた同意書をもとに、住民の同意は73.6%あるが、同意の熟度に変化があるとしてきました。この考えは今も変わっていないのでしょうかお伺いします。
◎環境部長(上遠野洋一君)
合意形成の熟度につきましては、いわき市産業廃棄物処理指導要綱に基づく手続が終了するまでの間において、さまざまな要因により変化するものと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
さまざまに変化をするというようなことですが、この間だけで見ても、市の要綱で同意をとることを求めている半径500メートルのうちに住む方の7割に相当すると思われる方が、同意しないとした陳情を提出するなど、建設反対の意思を明確にしています。環境影響評価が終われば、再びこの評価書を踏まえた事前調整となります。改めて事業者が住民にきちんと説明し、同意を取り直しするよう求める必要があると考えますがいかがでしょうか。
◎環境部長(上遠野洋一君)
指導要綱には御指摘のような定めはございませんが、市といたしましては、事業計画の手続の過程において、同意の撤回等の意思表示がある場合には、事業者に対する指導を適切に行ってまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
ぜひそういう取り扱いを厳しくしていただきたいと思います。
最後の質問になりますが、少人数学級等についてお伺いします。
初めに、少人数指導の効果などについてお伺いしたいと思います。
これまで教育長は、小学校3年生から6年生の少人数学級は、今後、少人数指導の教育効果等を十分に検証しながら検討してまいりたいとしていましたが、少人数指導と少人数学級の効果はどのような方法で把握されているのかお伺いします。
◎教育長(砂子田敦博君)
少人数指導と少人数学級の効果につきましては、導入いたしまして半年が経過いたしました10月の時点におきまして、児童・保護者・教員を対象に、学力の向上、学習に対する興味・関心・意欲、教員の児童・生徒に対する見方や接し方等についてのアンケート調査を実施してまいりました。この調査につきましては、10月に終了したところでございます。これらの結果は現在集計中でございますので、結果が出た時点におきまして、また御報告申し上げる機会があろうかと思います。
◆9番(伊藤浩之君)
そのアンケートの中では、30人学級実施の要望を把握できる内容になっておるのか、もう一度お伺いしたいと思います。
◎教育長(砂子田敦博君)
30人学級につきましても、同様に、実施についての調査をいたしております。これにつきましても、前回の本会議におきましても御質問がございましたので、ある程度の成果については御報告をいたしておるところでございますが、教員、児童・生徒あるいは保護者からの意向につきましても、一定の成果を見ているという報告はいただいております。
◆9番(伊藤浩之君)
ことし4月から、小学校3年生から6年生には少人数指導が導入されました。この少人数指導の導入のねらいを改めてお伺いします。
◎教育長(砂子田敦博君)
小学校3年生から6年生におきましては、特に社会性を十分に身につけること、学力面では、基礎・基本の定着を図る必要があることなどを勘案いたしまして、少人数指導を導入したところでございます。
さらに、学習集団の規模を生かしながら、きめ細やかな指導を行えるティーム・ティーチング等の方式を導入いたしまして、指導の徹底と学習効果の成果を期待しているところであります。
<strong>◆9番(伊藤浩之君)
私はこの理由を聞いて、小学校3年生から6年生に、少人数学級ではなく少人数指導を導入したことには積極的な理由がないと感じています。学力面での基礎・基本を身につけることは、30人程度学級でも当然実現できることであり、実際にこのことは少人数学級を取り入れた学年でも実践されてきたことだと思います。
一方、社会性を身につけることですが、少人数学級を導入した学年でこれができないかというと、そうではないと思います。規模に応じた形で社会性を身につける学習ができているはずです。ある学校では、小学校3年生の児童が、先生が疲れているのがわかるから相談の声をなかなかかけられないと親に言っている事例があるそうです。これは教師の能力という問題だけではなくて、教育環境の面からそういう問題が起こっているように感じてなりません。
最近、LD児など問題行動をとる児童も増加していると聞きますし、一人一人の子供に目が行き届き、系統的に見ていくことができる環境を一刻も早くつくることが必要だと思います。
そこで、少人数学級の導入についてお伺いします。
まず、小学校3年生から6年生に少人数学級を導入するとすれば、今年度の児童数をもとに算定した場合、どの程度の予算が必要になるでしょうかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
小学校3年から6年で少人数学級を導入するためには、各学校の施設・設備等の実態を把握し、その上で所要額の経費を算定することになります。今後、少人数学級の導入を見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
私は、今年度の児童数を前提に算定した場合と言っておりますので、これから30人学級の導入を検討の上に算定するというのとは、ちょっと違うように思うんですね。いかがでしょうか。
◎教育部長(山田満君)
今後、少人数学級を導入するか否かを定めた上で、各施設の実態を把握して算定してまいりたい。まだ決定をしない段階での、仮定の上での算定は困難であると認識しております。
◆9番(伊藤浩之君)
方針を決めていないから計算ができないということではないと思うんですね。単なる参考事例として、どの程度になるかと伺っているわけですから、方針を決めなければ算定できないというのはおかしいと思うんです。算定ができないんでしょうか。
◎教育部長(山田満君)
具体的に算定するとなると、教室の改修、教室の中の備品あるいは教科書、それから給食の備品等々の算定が必要になりますので、具体的な方針を定めた上で算定することになると考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
そういうことが考えられるために、私は、今年度の児童数を前提として計算をしてくださいと聞き取りでもお願いしたはずです。ですから、算定ができないというのはおかしいと思うのです。どうでしょうか。
◎教育部長(山田満君)
平成16年度をもとに計算した例はございますけれども、改めて算定はしておりません。その際には約2億円弱という計算が出ております。これは改めて計算し直さなければいけないと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
平成16年度時点で質問の趣旨に沿う算定ができていたわけですから、それを出せないということ自身がどうなのかと思うんですが、なお、この2億円なんですけれども、2億円の中身は、人件費関係、つまり県が負担する分については入った上での計算かどうかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
これはすべての項目が入った経費でございます。
◆9番(伊藤浩之君)
すべての項目というと、人件費も入っているということですね。
◎教育部長(山田満君)
補足させていただきます。人件費については、これは県費負担となっております。入っていないということです。
◆9番(伊藤浩之君)
平成16年度時点での算定ではありますが、約2億円だということです。今年度及び来年度についても、児童・生徒数にそれほどの大きな変動はないものと思いますので、ほぼ同程度の予算を確保すれば、30人程度学級が実現できるものと思います。
市長は今回の選挙で、全学年の30人学級導入の考えを新聞記者に問われて、米百俵の精神にあるよう、人づくりは将来に続くいわきのまちづくりの基本と考える。子供たちの教育に力を注ぎ、その方向性を見出す。このように答えています。また、選挙公約にもある教育文化都市となるためにも、少人数学級の導入に率先して予算を確保する考えはないでしょうかお伺いします。
◎教育部長(山田満君)
少人数指導及び少人数学級のそれぞれの教育効果等を十分見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
見きわめて検討ということですけれども、これは市長の公約との関係で聞いていますので、その予算の確保については、ぜひ市長のお考えもお聞かせ願いたいと思うのですがどうでしょうか。
◎市長(櫛田一男君)
お答えいたします。
いわき市は、御承知のとおり大変広い市域を擁しております。したがいまして、30人学級を形成できない中山間地域の学校もございます。それらを勘案して、次世代を担う立派な子供たちの教育には、選挙公約で掲げたような基本的な考え方を持っておりますので、これから鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
◆9番(伊藤浩之君)
鋭意取り組むということでした。明確な答えが聞けないのは残念ですが、学校の先生も、どんな環境であっても教育には熱意を持って当たられていると思いますが、この熱意の効果がより発揮され、子供たちが生き生きと学べるようにするためにも、30人程度の少人数学級の導入は大切な課題だと思います。早期の実現を求めて、私の一般質問を終わりたいと思います。(拍手)
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