国民健康保険運営協議会が22日に開かれ、今年度の国保税について据え置くという答申を出していました。きょう、各派代表者会議などでその答申内容の説明を受けて、「あれれ…」の思いです。
「あれれ…」の思いとはこういうことです。
説明資料は、前年度決算見込みと6月補正について記載しています。内容を見ると、決算見込みで来年度に約22億6073万円の繰越金が発生しています。お金が余ったわけです。
余ったお金の大きな部分は保険給付費(医療費)がしめています。決算見込みと予算額を比べると約16億2753万円の減額でした。それだけ予算額が大きすぎたわけです。
なぜ予算額が大きすぎることになったのか。
一つには国保利用者が減ったことと説明されます。震災後に復興関係の仕事が増えたためなのか、市内では比較的求人が増えています。無職あるいは失業のために国保加入をした人が仕事に就いて協会けんぽに変わったなどのために、国保加入者は見込み数より2524人減となったという説明です。
ではその加入者の見込み違いが給付費にどのように影響したのかというと、実際の数字は分からないといいます。一方、国保会計を編成する際、医療費は1人当たり35万円で計算しているといい、これを元に計算すれば8億8340万円の影響です。
説明資料には高額療養費の見込み違いが8億957万円と説明されています。先ほど計算した加入者減の影響を差し引いた金額とほぼ同額ですので、加入者減と高額療養費の見込み違いが予算額が大きすぎた原因ということにはなりそうです。
さて国保の会計はどのように編成されるのでしょう。
ごくごく簡単に言うと、その年度に必要な医療費などの支出総額を見込んで、その必要額から国や県の支出金などを除き、残った額をまかなえる国保税額を計算します。現在の国保税でまかなうことができなければ値上げ、まかなうことができれば据え置き、いっぱい残りそうなら値下げということになるわけです。
昨年の国保税は値上げでした。医療費の増加傾向と、高齢者人口の増加により後期高齢者支援金、介護納付金が増加する傾向にあるため3億円の収支不足が見込まれると説明して、国保基金から1億円の繰り入れをした上で、不足する2億円分を国保税の引き上げでまかないました。1世帯当たり平均4800円の値上げです。
きょう明らかになった決算見込みで、昨年の不足額が3億円で、一方これだけの予算があまったことを考えれば、国保税の引き上げはまったく必要ない状況だったことになります。
また昨年、被災者の医療費の免除に関して厚労省が、地方負担を求める改定を行った際に、日本共産党市議団は免除の継続を求める申し入れを行いました。実施しないとしたいわき市の理由の一つは、約2億円の財源が必要となり、無料にすれば次年度の値上げの要因となるということでした。決算見込みから見れば、これも実施できたはずです。
引き続き今年度の国保税も合わせて考えてみます。
今年度の国保税は、現行税率でまかなう見通しが立つために据え置きです。
まず22億6073万円が前年度より繰越されます。また、最も大きな支出となる保険給付費を、昨年度当初(303億7690万円)より約29億2556万円小さく見込んで約274億5133万円としています。この額は、前年度決算見込みの約287億4937万円よりも約13億円少ない見積もりで、かなり絞り込んだ見積もりとなっているのかな、という印象です。繰越額は前年度より約8億円増えていますし、給付は低く見込めるということですので、この結果据え置きができるということのようです。
一方、想定外の病気の流行があった場合などに準備をすると言って積み立てられる基金は、前年度の取り崩しでほとんどなくなりました。今年度の6月補正予算でも積み増しは考えられていないようです。
なぜなのか。仮に前年度の繰入金のうち約半分の10億円を基金に入れれば財源不足が生じてしまいます。この結果、国保税値上げをせざるを得なくなるということなのでしょう。
以上を総合すれば、前年度の値上げによる財源があり、かつ医療費の見込みも絞り込んだために、本年度の国保税は可能になったということが言えそうです。ここから導かれるのが、前年度の値上げは必要だったのか、ということと、新年度の医療費のみ込みを絞り込んだ結果資金が不足することになれば、次年度の値上げの要因になってしまうことから、次年度に資金不足を付け回ししてしまうことにならないかという懸念です。
うがった見方をすれば、昨年度の値上げで集めた予算は、実は単年度・12ヶ月分を充当するものではなく24ヶ月を見通したもので、今年度の値上げを抑えるために支出・すなわち医療費の見込みも絞り込んだと見えてしまうのです。今年市長選があることは分かっていましたから、そこを見通した予算ではなかったのか。そんな思いもわいてしまうのです
6月定例会には国保税を現行通りに据え置くという提案となりそうです。繰越額も前年より拡大していますから、その分も考慮した場合に値下げの判断はできなかったのかも問われるかもしれません。
内容の読み込みはまだまだ不十分な面があります、この提案が市民にとってよりよいものになるように、提案されるであろう補正予算案をしっかり検討していきたいと思います。
★
数字が違ったというご指摘がありましたので訂正しました。国保税算定の際の一人あたりの医療費を30万円としていましたが、35万円に訂正し、かかわる数字を計算しなおしました。
「あれれ…」の思いとはこういうことです。
説明資料は、前年度決算見込みと6月補正について記載しています。内容を見ると、決算見込みで来年度に約22億6073万円の繰越金が発生しています。お金が余ったわけです。
余ったお金の大きな部分は保険給付費(医療費)がしめています。決算見込みと予算額を比べると約16億2753万円の減額でした。それだけ予算額が大きすぎたわけです。
なぜ予算額が大きすぎることになったのか。
一つには国保利用者が減ったことと説明されます。震災後に復興関係の仕事が増えたためなのか、市内では比較的求人が増えています。無職あるいは失業のために国保加入をした人が仕事に就いて協会けんぽに変わったなどのために、国保加入者は見込み数より2524人減となったという説明です。
ではその加入者の見込み違いが給付費にどのように影響したのかというと、実際の数字は分からないといいます。一方、国保会計を編成する際、医療費は1人当たり35万円で計算しているといい、これを元に計算すれば8億8340万円の影響です。
説明資料には高額療養費の見込み違いが8億957万円と説明されています。先ほど計算した加入者減の影響を差し引いた金額とほぼ同額ですので、加入者減と高額療養費の見込み違いが予算額が大きすぎた原因ということにはなりそうです。
さて国保の会計はどのように編成されるのでしょう。
ごくごく簡単に言うと、その年度に必要な医療費などの支出総額を見込んで、その必要額から国や県の支出金などを除き、残った額をまかなえる国保税額を計算します。現在の国保税でまかなうことができなければ値上げ、まかなうことができれば据え置き、いっぱい残りそうなら値下げということになるわけです。
昨年の国保税は値上げでした。医療費の増加傾向と、高齢者人口の増加により後期高齢者支援金、介護納付金が増加する傾向にあるため3億円の収支不足が見込まれると説明して、国保基金から1億円の繰り入れをした上で、不足する2億円分を国保税の引き上げでまかないました。1世帯当たり平均4800円の値上げです。
きょう明らかになった決算見込みで、昨年の不足額が3億円で、一方これだけの予算があまったことを考えれば、国保税の引き上げはまったく必要ない状況だったことになります。
また昨年、被災者の医療費の免除に関して厚労省が、地方負担を求める改定を行った際に、日本共産党市議団は免除の継続を求める申し入れを行いました。実施しないとしたいわき市の理由の一つは、約2億円の財源が必要となり、無料にすれば次年度の値上げの要因となるということでした。決算見込みから見れば、これも実施できたはずです。
引き続き今年度の国保税も合わせて考えてみます。
今年度の国保税は、現行税率でまかなう見通しが立つために据え置きです。
まず22億6073万円が前年度より繰越されます。また、最も大きな支出となる保険給付費を、昨年度当初(303億7690万円)より約29億2556万円小さく見込んで約274億5133万円としています。この額は、前年度決算見込みの約287億4937万円よりも約13億円少ない見積もりで、かなり絞り込んだ見積もりとなっているのかな、という印象です。繰越額は前年度より約8億円増えていますし、給付は低く見込めるということですので、この結果据え置きができるということのようです。
一方、想定外の病気の流行があった場合などに準備をすると言って積み立てられる基金は、前年度の取り崩しでほとんどなくなりました。今年度の6月補正予算でも積み増しは考えられていないようです。
なぜなのか。仮に前年度の繰入金のうち約半分の10億円を基金に入れれば財源不足が生じてしまいます。この結果、国保税値上げをせざるを得なくなるということなのでしょう。
以上を総合すれば、前年度の値上げによる財源があり、かつ医療費の見込みも絞り込んだために、本年度の国保税は可能になったということが言えそうです。ここから導かれるのが、前年度の値上げは必要だったのか、ということと、新年度の医療費のみ込みを絞り込んだ結果資金が不足することになれば、次年度の値上げの要因になってしまうことから、次年度に資金不足を付け回ししてしまうことにならないかという懸念です。
うがった見方をすれば、昨年度の値上げで集めた予算は、実は単年度・12ヶ月分を充当するものではなく24ヶ月を見通したもので、今年度の値上げを抑えるために支出・すなわち医療費の見込みも絞り込んだと見えてしまうのです。今年市長選があることは分かっていましたから、そこを見通した予算ではなかったのか。そんな思いもわいてしまうのです
6月定例会には国保税を現行通りに据え置くという提案となりそうです。繰越額も前年より拡大していますから、その分も考慮した場合に値下げの判断はできなかったのかも問われるかもしれません。
内容の読み込みはまだまだ不十分な面があります、この提案が市民にとってよりよいものになるように、提案されるであろう補正予算案をしっかり検討していきたいと思います。
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数字が違ったというご指摘がありましたので訂正しました。国保税算定の際の一人あたりの医療費を30万円としていましたが、35万円に訂正し、かかわる数字を計算しなおしました。
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