伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

公約違反

2012年05月24日 | インポート
 国会では「社会保障と税の一体改革」にかかわって法案審議がすすんでいる。昨日の衆院社会保障・税特別委員会で佐々木憲昭議員の質問は、面白かった。面白いという表現は不謹慎か。

 民主党・野田首相がかつて、消費税増税で「風邪から治りかけた日本経済を肺炎にした」と発言したことを引いた佐々木議員の質問に、首相は「風邪のときは(増税)しちゃいけない」と答弁した。佐々木議員は「国民は風邪で寝込んでいる。そんなとき、冷水をあびせるようなことはやるべきでない」と即座に返す。〝うまい〟と心の中に言葉が響く。

 また、大企業の税負担率が中小企業より低いと指摘すると、安住淳財務相は否定できずに「納税額が大きい」などとのらりくらりの答弁。佐々木議員の「率を聞いているのに、額を答えるとは」との指摘を聞きながら、まともに答えられない政権の姿勢に思わず失笑してしまった。

 おまけに佐々木氏が266兆円にのぼる大企業の内部留保を国民に還元すべきだと指摘したことに、安住氏が「内部留保を雇用拡大や設備投資に回すべきだとの主張には賛同できる」と答えた。それなら「政治で誘導しろ」と言葉が頭をよぎる。

 さてそんな調子の民主党だが、後期高齢者医療で「首相、公約撤回に含み」と報道された。21日の同委員会の審議で、「民主党が2009年の衆院選政権公約(マニュフェスト)で掲げた後期高齢者医療制度の廃止方針に対し、自民、公明両党が撤回を求めていることについて、『運用の改善は相当努力しており、どう現実的な対応をするか判断したい』と述べ、撤回に含みを持たせた」(読売、5月22日付け)とされているのだ。

 主要公約でまだ反故にしていないものがあったんだ。まずそこが「へぇ~」という感じ。
 4年前の主要公約を思い出すままに列挙してみる。
沖縄・普天間基地の県外移転
八ツ場ダム建設中止
障害者自立支援法の廃止
労働者派遣法の抜本的見直し
高校授業料の無償化
月額2万6000円の子ども手当て
後期高齢者医療制度の廃止
高速道路の無料化
農家の戸別所得保障
他にもあるだろうが、いずれもむだ遣いの公共事業を温存し、増税と社会保障削減をすすめた自民党・公明党政治への国民的批判からつむぎだされた政策だったと言えるだろう。


 ところが、これらの公約は民主党の政権奪取後間もなく空洞化を始めた。
 まず、普天間基地の県外移設の公約が行き詰った。鳩山首相は「最低限、県外」とした公約を投げ捨て県内移設を言い出した。結局、復活した辺野古への移設案は、沖縄県民に苦悩を押し付けている。

 また、一旦中止とされた八ツ場ダムも、中止が撤回された。公約の26,000円とは程遠い半額の13,000円支給でスタートした子ども手当ては、野田政権のもとで減額され児童手当として支給することに変更された。
 
 障害者自立支援法は廃止されず、「応益負担」や「障害程度区分」など制度の根本問題を温存したまま改定した。労働者派遣法の見直しも「常用型派遣」や「専門業務」を「禁止の例外」にするなど、「抜け穴」だらけの「ザル法」でお茶をにごし、後期高齢者医療制度も温存している。

公約違反のオンパレードだったために、後期高齢者医療制度の廃止公約も撤回されていたと思っていたのは、単なる思い過ごしだったらしい。ただ、思い過ごしで良かったといえる状況ではない。公約撤回をさせないことが必要だ。後期高齢者医療制度を廃止せよと声をあげなければならない。

 実は、そんな話も酒井高畔で開かれた集会で話そうと思っていた。原発問題から話しだしたら、途中で「聞いていいですか」と水道水の問題や放射性物質の除染などの質問が出てきて、そこまで話をすすめることができなかった。次の機会にとっておこう。


 高畔の行きぎわ、窪田から高畔間の道路わきにキジ3羽、ゴイサギ2羽を見かけた。2時間後もキジ1羽にゴイサギは同じところにいた。車が通っても動じる風もない。鳥と人の微妙な距離が保たれているのだろう。のどかな風景だ。

 ゴイサギの写真はくちばしの切れていない写真もあるのだが、この写真がユニークだったので使ってみた。題して「退場」というところか。

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