昨年の台風19号、現在は東日本台風と命名されているが、この台風による被害について、直後の議員だよりで、信玄堤(霞堤)の対応や東京都の地下水路建設の例に学び、堤防の強化だけではなく、水を逃がす発想が必要だろうと書いた。
渡辺議員の質問では、既存のダム等を活用した水量調節による水害対応を求めた。また、私が、6月定例会で採択された請願と意見書について、その内容を紹介する記事を掲載した。記事は以下の通り。
■市議会6月定例会
夏井川の総合的な水害防止対策を
一般質問で渡辺博之議員求める
一般質問で渡辺博之議員求める
いわき市議会6月定例会は18日に閉会したばかりですが、今年9月には市議会議員選挙が予定されているため、通常9月に行われる定例会が前倒しに開かれます。日程は、予定として7月16日から8月4日までとなることが示されています。ご意見・ご要望等をお寄せください。今号では、6月定例会の一般質問を渡辺博之議員が報告し、採択された請願や意見書等について紹介します。
夏井川の河川整備が進められていますが、被災者は「また氾濫するのでは」と不安に思っています。
水害をなくすために何ができるのか、夏井川やダムの管理者である県からも話を聞きながら考え、水害防止対策について質問と提案を行いました。
県の施策に関するものが多くありましたが、前向きな回答もあり、一定の前進があったと考えます。
概要を報告します。
渡辺博之
河川整備すれば安心か
問 夏井川の整備事業が完了すれば、昨年の台風のような雨量では河川は越水・氾濫しなくなるのか。
答 70年に1度の確率の豪雨を基準に整備していますが、昨年の台風の雨量では計画流量を超えます。しかし、氾濫せずに流下させることができます。
◇◇◇
河川整備が完了すれば、昨年の台風のような雨量でも堤防は満杯になるが氾濫はしないということですが、安心はできません。
国の河川審議会は平成12年の中間答申で「我が国の治水対策は、河川改修で、雨水を川に集めて、海まで早く安全に流すことを基本として行われてきたが、限界を生ずるようになってきている。効果的な洪水対策のためには、従来の河川改修と合わせて、雨水の流出抑制対策、氾濫等による水害の軽減対策がきわめて重要となっている」と記しています。
雨水の流出抑制対策
河川への雨水流出抑制対策では、ダムやため池の活用、流域全体の保水力を高めることが必要です。
■小玉ダムの活用
夏井川水系の小玉ダムは、昨年の台風で最大毎秒141立方メートル放流しました。これは、赤井・平窪区域での流量の8%に相当する量でした。
県は、大雨時のダムの放流を減らすため、鮫川の高柴ダム等では、大雨の予想の2日前から事前放流して空容量を作り、大雨時に貯水する方針です。
一方、小玉ダムでは放流ゲートが小さく事前放流が難しいと、県は説明してきました。
そこで私は、既存の施設でもできる対策を提案しました。
問 小玉ダムでは、台風シーズン等には、ある程度貯水量を減らしておいて、大雨の予報でさらに放流して洪水調節のための空容量を作るべきでは。
答 事前放流で洪水調節機能の強化が期待されます。県の事前放流の検討状況を注視したいと考えます。
◇◇◇
県が小玉ダムの事前放流を検討することが示されました。
私は小野町の「こまちダム」でも事前放流の検討を求めました。
■農業用ため池の活用
本市には369の農業用ため池があり、その貯水量は523万立方メートルで、小玉ダムが昨年の台風で放流した量に匹敵します。
農業用ため池も、雨水が河川に一気に流れ込まないようにするために活用すべきです。
問 大雨が予想される時には、農業用ため池の水位を事前に下げて、大雨時に貯水できるようにすべきでは。
答 新たに「ため池洪水調節マニュアル」を作り、市と管理者との情報共有をさらに緊密にし、洪水調節機能の確保に万全を期したいと考えます。
水害の軽減対策
■霞提
問 霞提とは、切れ目がある不連続の堤防のことで、河川が増水した時に意図的に水田等に氾濫させて、河川の流量を減らすものだ。設置の考えは。
答 郊外の宅地化されていない広大な田園地域では、有効な治水工法だと考えます。
■内水氾濫の対策
問 水はけが悪い、内水氾濫に対しては、河川事業と下水道事業の連携を強めるべきだが、市の考えは。
答 より一層連携強化しながら、都市部での浸水対策を推進したいと考えます。
水害の総合対策を協議する体制づくり
問 県主催の「いわき方部水災害対策協議会」では、総合的な対策は協議されていない。住民参加で知恵を出し合う体制にするよう、市は努力すべきでは。
答 流域全体の総合的な治水対策を進めるために、いわき方部水災害対策協議会が有効だと認識しており、市民の役割や意見の反映方法、推進体制等について提案し助言を求めたいと考えます。
◇◇◇
流域全体の保水力向上や水害の軽減のためにも、住民参加で知恵を出し合うことが最も重要だと考えます。
トリチウムを含む処理水・請願・意見書
市民団体と意見交換踏まえ採択へ
市議会6月定例会
市民団体と意見交換踏まえ採択へ
市議会6月定例会
いわき市議会6月定例会では、市民団体から提出された「『多核種除去設備等処理水』の処分決定に関する請願」、議員提出の「多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書」がそれぞれ全会一致で採択されました。
請願は、
①政府の処分方法案の公表、これに対する各産業関係者・県民からの丁寧な意見聴取、
②広く国民に向けた処理水の安全にかかわる情報発信、
③その上で、風評対策の拡充・強化を示し、関係者・国民の理解と合意を広げる、
④それまでは処理水の陸上保管継続、
⑤以上の意思表明を明確な文書で関係機関に提出する、
以上の点を市長に求める内容でした。
意見書は、基本的に同趣旨で、⑤を除く4点を求める内容でした。
請願を提出した市民団体は、事前に、各会派に処理水の「陸上保管」を求める案文を示しながら、紹介議員となることと採択に向けたアドバイスを求めていました。
このため当会からは、①市議会の論戦等で、処理水の環境放出に全面的に反対の立場はとっていないこと、
②資源エネルギー庁と市議会の文書質疑で、政府が決定しようとする対応に意見を聴く考えを持っていないことが明らかになり問題があること、
③政府が環境放出の方針を決定するならば、それ以前に、風評被害への根本的対策となるトリチウム等の人体等への安全性や、稼働原発から放出をしてきた事実を国民に説明し、理解を広げる必要があること、
以上の考えを説明し、加えて、この内容は、それまでの会派間の議論で、創世会を除く基本的合意となっていることを説明しました。
その上で、単に「陸上保管」を求める請願には紹介議員とはなれず、以上の内容に加え、市民団体が求める「陸上保管」を過渡的な措置ととらえるものであれば、紹介議員となれる考えを伝えました。
志帥会も請願趣旨の事実関係への疑義ととともに、請願項目に関しては同様の意見を市民団体に伝えたと聞いています。
各会派と市民団体の意見交換の結果、市民団体からは先の5点を内容とする請願が、志帥会、共産党・共同、創世会から3人の議員が紹介議員となり提出され、全会一致で採択されました。
請願と意見書をめぐる各会派の動きは次号紹介します。
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