伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

憲法記念日をテーマに議員だよりの記事

2019年05月14日 | 市議会
憲法記念日
暮らし・平和に憲法生かす「不断の努力」を

ーー講演聞いて学びました


 象徴天皇のあり方や天皇の代替わりに関する一連の儀式のあり方が議論され、例年以上に国民が日本国憲法を注目する中で迎えた今年の5月3日・憲法記念日。本市では4月21日に勿来市民会館、5月2日に文化センター大ホールで憲法と改憲を学ぶ講演会が開かれました。各市議も参加し聴講しました。


 控室の電話が鳴りました。主は、最新の防災タウンページの「全国瞬時警報システム(Jアラート)」の記載についてこう話しました。
「戦争の体験から言っても、こうした措置が役に立つはずがない」「市がこんな事を言っていることが腹立たしい。ただちに辞めさせるべきだ」
 おおよそこんなお話でした。

 実際、2017年8月29日、北朝鮮が発射したミサイルが、Jアラートによる第一報から日本のはるか上方の宇宙空間を通過するまで約3分の時間しかありませんでした。発射されれば身を守ることは難しい。残念ながらこの事実が実証されました。

 必要なことは、ミサイル発射のような事態を招かぬよう、平和主義の憲法を生かした国際関係を築き上げるため、政府が外交努力することでしょう。

■改憲のリアル知る

 政府に努力を強めさせるために何が必要か。二つの講演会では、憲法12条を生かすことが語られました。

 文化センターの講演は、法学館憲法研究所所長で弁護士の伊藤真氏。演題は「アベ改憲の問題点~平和憲法の危機」でした。




 講演に先だち戦争体験者の呑川泰司氏が、出征先の民家で金色のスプーンを懐に入れた「苦い思い」や命令に盲従した反省から、「一兵卒だが戦争責任がある」と証言しました。

 証言を受けて講演を始めた伊藤氏は、故家永三郎氏が「不作為の戦争責任」を口にし、その反省から戦争の記述をめぐる教科書裁判をたたかったと紹介し、安倍内閣の改憲の問題点を語りました。



 伊藤氏は、人殺しをためらわない人間となる新兵訓練を課す米軍では、帰還兵に多発する悪夢や精神的な疾患で、暮らしの平穏を失い、自殺者もあると紹介し、軍隊を持ち戦争をする改憲の「リアル」を知ることが大切と指摘しました。

 また、憲法を守るだけでなく、「憲法の理想に現実を近づける」ため、市民として主体的に行動するよう呼びかけました。

■平和主義を貫く

 勿来市民会館で講演した元福島大学学長の今野順夫・名誉教授は「平和憲法から見た私たちの暮らし」が演題でした。



 今野氏は、戦後、政府が「国体護持(天皇中心体制の維持)」の憲法にこだわったため占領軍主導の憲法が作られたものの、そこには日本の民間による憲法草案が生かされていたと説明しました。

 また、安倍政権の政治の特徴を、「武力には武力でとばかりに軍拡に際限なくお金がつぎ込まれ、一方、お金のかかる高齢者は敵」と語り、憲法の平和主義を実際の政治に貫く重要さを強調しました。

 さらに、国民自身が憲法12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」を生かす努力の重要性を語りました。

■過去に学び前進を

 政府の努力を引き出す力は市民の「不断の努力」。2つの講演の教えは、本市でも体験されてきたことです。

 1986年に採択された憲法と同じ恒久平和の願いを込めた本市「非核平和都市宣言」。採択の背後には制定を求める署名5万8000余がありました。市民の「不断の努力」が政治を動かし採択の力になったわけです。過去の体験に学ぶことが重要です。

 防災タウンページの話に戻りましょう。同書はNTTの発行で、市の情報提供を受け作成されていました。市の情報のおおもとは国の施策。この施策を多数の市民の「不断の努力」で変えていくことが何よりも重要です。

 講演会で学んだ憲法12条を生かす道。それは市民のくらしを守り、また、暮らしの前提となる平穏と平和を守る力となるものです。

 私たちも、市民のみなさんの声を受けながら、憲法を市政に活かし、ひいては住みよい市政に前進できるよう働きかけていくためがんばります。
文=伊藤浩之




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