伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

民間太陽光発電の適正な事業確保に仕組みづくりを / 6月定例会一般質問Vol.2

2018年07月05日 | 市議会
 6月定例会一般質問の第二弾は、太陽光発電事業の適正誘導を図るための本市の取り組みを求めることについてです。

 動画はいわき市議会ホームページの議会中継からご覧いただけます。次の画像が中継へのリンクとなっております。動画でご覧になりたい方はクリックしてください。






2 民間事業者による適正な事業を確保するための本市の対応等について
(1)太陽光発電事業の現状について
 
          


伊 藤
 本市は、震災からの復興計画を立てる中で、「原子力に依存しない社会の構築」を掲げ、再生可能エネルギー導入に取り組んできましたが、近年、空き農地や空き地に民間事業者が設置した太陽光パネルが散見されるようになってまいりました。

 先だってNHKのニュースで、2017年の外国資本による国内の森林買収の面積について報道しました。断トツで1位となったのが福島県でした。その理由は、遠野町にアメリカ資本の会社パシフィコ・エナジーが90㏊の山林を買収したことにあります。第2位の北海道、39件・53㏊をはるかに引き離しています。

 「原子力に依存しない社会の構築」のために、再生可能エネルギーが導入されることは歓迎されるべきことです。同時に事業の信頼性が担保されることが必要だと思います。

しかし、これを担保するような強制力を伴うルールは、国の段階でも構築されていないのが現実だと思います。

 こういった問題意識から、まず、本市の太陽光発電施設の状況について伺います。

 震災の復興計画に盛られた「原子力に依存しない社会の構築」の具体化の一つとなります、本市の太陽光発電施設の設置状況はどのようになっているのか、おうかがいします。



生活環境部長
 国が公表しております固定価格買い取り制度における太陽光発電設備の本市の導入状況につきましては、平成29年9月末現在で申しあげますと、
10Kw未満の設備規模では、8,838件で3万8,192Kw、
10Kw以上の設備規模では、1,972件で11万6,608Kwとなってございます。


(2)太陽光発電事業の諸課題について

伊 藤
 「原子力に依存しない社会の構築」ということを考えた時に、エネルギーの地産地消が大切な考え方になってくると思います。

 そのために、本市内で、どの程度の再生可能エネルギーが作り出されているのかを把握することは、エネルギーの地産地消の達成に向けた一つのバロメーターになると思いますので、ぜひ、設置状況の独自の把握――これは風力も含めて何ですが、そういうものをご検討いただきたいというふうに思います。

 次に、太陽光発電施設設置について、本市として課題をどのようにとらえているのか、おうかがいします。

生活環境部長
 太陽光発電施設につきましては、共用開始後の景観や太陽光パネルによる反射光、土地の改変に伴う防災機能の低下などが課題として、一般的に挙げられておりますが、本市におきましては、これらにかかる苦情等は特に寄せられてはいない状況でございます。


(3)過去の民間事業者による不適正事業にかかわる本市の対応について 

伊 藤
 今、ご答弁にあったような課題が一般的には考えられるということであります。

今、答弁にあったような課題に加えて、事業の安定的な運営が図られるのか、また、使用済みパネルの適正処理・リサイクル方法の確立、発電終了後のパネルの放置等という問題もおそらく懸念されてくるだろうというふうに思います。

 太陽光発電所の設置に関して「資材さえ売れればいい」と事業者の関係者が言っていたという話を市民から伺ったことがあります。頭に浮かんだのが四倉町の旧大谷総業が引き起こした事件でした。

 処理能力を超える産廃を受け入れた四倉町の廃棄物不適正保管事案では、問題が発覚して以降、不適正保管された廃油の回収等の代執行の終期の見通しはどのようになっているのか、おうかがいします。

生活環境部長
 四倉町の廃棄物不適正保管に係る代執行につきましては、平成10年11月に、福島県が、ドラム缶や汚染レベルの高い土壌の撤去などの原状回復事業に着手し、平成11年4月には、本市の中核市移行に伴い、本市が当該事業を引き継ぎ、汚染レベルの低い土壌や汚染地下水の浄化作業などを継続して行っているところであります。

 平成29年度までの、これら現状回復事業に要した事業費は、総額で約41億884万円となっており、うち市の事業費は、約18億7,026万円となっております。

 また、終期の見通しについてでありますが、原状回復事業により地下水の水質は一定の改善が進んでおりますが、依然として一部の有害物質の項目で環境基準を超過しておりますことから、現状において終期の見通しをお示しできる状況にはなってございません。


(4)太陽光発電事業の適正な運営を確保するための本市の対応について

伊 藤
 終期を見通すことができないということであります。
 そうした間に、市民生活にも多大な影響を及ぼすということが、何年前でしょうか、旧羽幌炭鉱に不法投棄されたですね、廃油が、大雨の時にあふれ出してきたということもありました。

 問題がおこってから、それを回復しようとすると、これには大変な費用と、そして労力、そしてその間、住民が大変な生活をしなければならない。こういうことが示されているというふうに思います。

 これは太陽光発電事業でも同様のことが言えるのではないでしょうか。壊れたパネルが放置される、あるいは事業終了後の発電施設が放置される。こうした事態が十分懸念される状態があるのではないかというふうに思います。

 こうした事態を引き起こさず、住民の安全と安心を将来にわたって確保する観点から、本市として対応をとる必要があると考えますが、いかがでしょうか。


生活環境部長
 国におきましては、平成28年6月に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」いわゆるFIT法を改正しまして、再生可能エネルギー発電事業を実施するにあたりましては、自治体との相談や地域住民の理解に努めること、周辺環境への配慮、発電設備の保守点検及び維持管理など遵守すべき事項を記載した、太陽光発電に係る「事業計画策定ガイドライン」を平成29年3月に定めたところであります。

 発電事業者は本ガイドラインに則して事業計画を策定し、国の認定を受けることになりますが、遵守すべき事項に違反した場合には、国による改善命令や認定取り消しなどの措置が講じられる場合もありますことから、適切な事業運営が図られるものと考えてございます。

伊 藤
 まあ、あくまでもガイドラインであります。そのガイドラインの中にですね、設置計画を立てた場合にですね、自治体などと相談しながら、という記載はあるんですけれども、実際問題として、これまで、市にですね、相談の例はほとんどないというふうなことを伺っております。実効性が十分に伴っていないということが示されているというふうに思います。問題は実効性をどれだけ強めるか。これにあると思います。

実効性を持たせる一つの例がお隣の自治体で生まれました。

 北茨城市は環境保全と災害防止、また、事業廃止後の太陽光パネルなど装置の撤去を確実に図ることを内容とする条例を制定し、本年1月1日に施行させています。本市もこうした条例制定をすべきと考えますが、いかがでしょうか。


生活環境部長
 太陽光発電事業者は、国において定めた、太陽光発電に係る「事業計画策定ガイドライン」において、事業終了後の撤去及び処分費用を適切に確保するため、費用について、建設費の5%以上を目安に積み立てる等、計画的に調達・手配を行うことが求められておりますことから、本ガイドラインに基づき、適切に対応されるものと考えております。

 なお、条例制定につきましては、他市における条例等の設置状況や内容、国・県等の動向を注視しながら、その必要性について研究してまいりたいと考えております。

伊 藤
 早急な検討をお願いしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。





 質問の最後に、条例制定の効果について、北茨城市に聞き取った内容も含めて伝え、重ねて健闘を要望するつもりでしたが、最後の発言を終えた残時間はわずかに2秒で、とても無理でした。

 その内容は次のような内容でしたが、これについては、次回に譲りたいと思います。



 北茨城市では、国定公園の筑波山にメガソーラー建設計画に対する住民の反対運動と、規制条例の制定、また、民間の太陽光発電施設が自然堤防を削ったことが一つの原因になった常総市の洪水などから、太陽光発電施設の設置に関する規制条例制定を必要と考え、努力規定ではありますが規制を盛り込んだ条例を制定したと聴きました。

そして、この6月にも、廃止後の措置等が盛られた協定書の締結第1号ができそうな状況となっていると聞いております。

 この条例制定により、設置までの時間がかかるようになっていると担当者は実感しているといい、より適切な発電事業構築に誘導する効果をあげつつあるという印象を受けました。

 逆に、丹念な事業構築を避けたい事業者が、例えば何の規制もない本市に流れ込んでくるなどという条件ができてしまったのではないか。そんな懸念がされるようになってきたと思います。

 北茨城市の条例では、森林の開発面積を抑制することが念頭にあるため、規制の対象が出力500Kw、または事業区域の面積が5,000平方mとされています。

 事業廃止後の適正な処置を誘導することは、比較的小規模な太陽光発電所にも求められていると思います。

 全国的には10Kw以上の施設を届け出制にしたり、保全区域を市が指定し、そこに設置する場合には市の許可を得ることにしたり、設置前に市との協議を義務付けたり、全国的には、様々な規制を設ける自治体が増えています。

 十分な効果を発揮することができるような条例制定を本市も検討すべきと思います。




■6月定例会一般質問Vol.1は以下でご覧ください = 都市計画マスタープランの「恒星」「惑星」の地域の区別をなくすべき


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