赤ワイン(ヴァン・ルージュ)に寄す
ねぇ、きみ。
僕は こんなところにいるよ。
こんなところにひとりで
誕生日のヴァン・ルージュを飲んでいるよ。
ねぇ、きみ。
どうしてだか 誰にもわからない。
僕は こんなことをしているよ。
僕の帰るところは 無くなってしまった。
僕が去って来たのは、
確かに 僕の故郷だった。
僕の行くところに
青い空があればいい。
そして あの白い雲が浮かんでいたら、
その街は 僕の故郷になるだろう。
ねぇ、きみ。
だったら‥‥‥‥
僕は いつも
故郷にいるんだね。
(1978.11)