<船井幸雄.comより記事転載>
皆様、こんにちは。
蒸し暑い日が続いておりますが
いかがお過ごしですか?
さて、今回は特別、いつもお世話になっている
聖中心道肥田式強健術・天真療法伝承師範
佐々木了雲先生からご寄稿をいただきましたので、それを届けさせていただきます。
以下、どうぞお楽しみください。
この原稿を「肥田式強健術普及の今日的意義付け」として書きたかったのですが、即、おもい直して没にしました。
ともうしますのも、大震災以後のわたしは、「高齢者や主婦層や学生」など、これまで強健術を指導してきたことがない層への普及を!とのおもいから精力的に努力して
おります。
そのこともあって、この頃は意識して、分かり易い強健術の紹介を心がけるようにしております。
「強健術」という心身丸ごとの改造法は、その体系の中に魅力が溢れていて
語り尽くせないのです。ですからこの文でも、紹介できたのはほんの一面に過ぎません。
お稽古は「みる阿呆」より「踊る阿呆」の方が楽しく、やがて実も花も成熟させます。
あなたがその第一歩を踏み出す案内書として、この文をお読みいただければ幸とするところでございます。
この度の東日本大震災を境に「日本全域が地震活動期に突入した」と、多くの地震学者が言っています。わたしの住む東京の近隣では、浜岡原発の直下を震源地とする震度8.5前後の大地震が三十年以内に発生すると警告されています。そのような不安な状況にあって多くの方々が強健術により人間力を高め、その能力をさまざまな場面で発現させられることは、絶対に、健康と、明日起きるかもしれない災害を乗り切るために必須のことだとおもうのです。
強健術は目的と学びの体系がしっかりしていて、型が学びやすいという
特長があります。強健術が創り出す人間力はヒトが健康で長寿をはかり、人間の
魅力に富んだ人生をおくる一切の顕在能力(筋肉の発達・内臓の壮健・皮膚の
強靱・動作の敏活・気力の充実・体格の均整・姿勢の調和・精神の平静)を
活性化します。さらに、ヒトの内に秘められた摩訶不思議な透視や念力などと
いわれる潜在能力をも揺り起こし活用することも体系化されています。
強健術という体系は、創始者が死を見ること数度といわれるほどの虚弱者で
あったことで、その鍛練に無理や無駄がなく、生理学・解剖学・力学に合理で
あって、老若男女だれでも学ぶことができます。
わたし自身が強健術を学び、中に秘められた潜在力の一端を引き出して、
人生上のあらゆる場面で活用してきております。そのわたし自身の経験を
踏まえて皆様へ強健術を学ばれることを、お勧めさせていただいているのです。
強健術は「ひとりお稽古」をベースとしています。
「気合」という息づかいを学びながら、姿勢・動作・呼吸により形成されている「強健術型」を覚え、日々くり返します。
気合と型を身に付けることで、今までと異なる立ち居振る舞いが体得され、
この体得が色濃くなるほど心身の能力が自覚され、活用できるようになります。
気合はスポーツなどで「気合いを入れろ!」や「気合だ!」で身近な言葉ですが、
その実体である威力や理論的なことを知る者は少数です。
他人を倒したり、活かしたりできる威力のある気合習得は、オペラなどで
学ばれる歌を上手く歌うための「ベルカント唱法」に似ています。
声と息づかいと精神集中とで形成された気合は、上達の程度により著しい
潜在力が産み出されます。気合による潜在力の高まりが諺にある
「ヒトの一念岩をも通す」とか「どのような困難をも乗り切る力を生む」と
知られている念力を引き出すわけです。
強健術の目的は明確で、心身を改造して顕在能力を引き出す。
さらにすすんで潜在能力も引き出す、学びです。ここが豪快で美的動作ながら
武道や芸能との違いとなります。強健術型の実践で産み出した力をすこしも
外に出さず下腹丹田に蓄える、そのくり返しで徐々に裡(うち)に眠る能力を発現させます。
このお稽古で生み出した力を外に出さないで下腹丹田に込めることは、
普通の運動がやっている筋力や体力で動く、ということから気合で動く、
中心力という力というまったく新しい力で動くということです。この新しい
力に目覚めた時から万物の霊長ヒトから神の子ヒトへと次元を昇華させた、というのです。
わたしは二代目を継承された故肥田道夫先生から正確な型の全伝と
気合の基礎を指導され、七年目にして認可を頂いた強健術の学び人です。
わたし自身は今まで自らのお稽古を優先してきて、世間への指導を
積極的にはしてはまいりませんでした。ですが東日本大震災以後の
世間を観察して「今後は強健術を社会人教育に加えさせよう」との思いが
強くなっております。
強健術は名を知られている割には指導者が少ないこともあって
実際にはマイナーな学びとなっておりますが、明治から大正期にかけては
百科事典に「強健術」という項目が創られたほどメジャーだったのです。
ですがこのメジャーは指導者による直接の指導ではなく、その多くが
「天覧(著書を天皇がご覧)」であった『実験簡易強健術(明治四十四年刊)』、
『腹力体育法(明治四十五年刊)』、『心身強健術(大正三年刊)』、
『強い身体を造る法(大正五年刊)』、『心身強健体格改造法(大正七年刊)』、
『活力増進強圧微動術(大正九年刊)』、『胃腸の強健法(大正十一年刊)』
などでの写真とイラスト入り著書で学んだ独習者の数です。
じつは戦前に強健術指導者から学ばれた方は青年時代の昭和天皇や
陸海軍の将官、実業家、有力政治家、などなどの指導層にかぎりました。
強健術指導者は大正時代後半期に伊豆八幡野松ヶ岡山中に
隠棲され晴耕雨読の日々をおくりますが、その指導者の下へ
多くの当時の指導層が通い、主に事においての「ハラの据え方」を学んでおります。
わたしは今の時期こそ強健術の積極普及を図り、全国民が心身安定の
ハラの据え方を学ぶことをプッシュすべきだとおもいました。このお稽古は
「西洋の生理学・解剖学に則った運動を東洋の修業のエッセンスたる
気合で学ぶ」と表現されております。
文末にあたり、皆様が独特な風格と豪快かつ美的な型により構成されて
いる「聖中心道肥田式強健術」と、学びのご縁がございますようにと
おもっております。
佐々木 了雲
聖中心道肥田式強健術HP:http://www.buzentanden.com/
<転載終わり>
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私たち日本弥栄の会の会員にとって、佐々木了雲先生といえば、地球(テラ)サイエンス農法の先生ですが、もう一つの顔は、肥田式強健術の先生であるということです。先月のひふみ農園研修会で、農家の持病である腰痛、膝痛の改善や予防に、肥田式強健術を教えていただきましたが、身体がかなり柔らかくなってびっくりしたことがありました。今日のひふみ農園実習会に参加された越谷のGさんも、何度も千駄ヶ谷体育館で佐々木先生よりご指導をいただいたと言われていました。武道のようなキツい稽古ではないので、女性でも問題なく稽古について行くことができるそうです。関心のある方は、肥田式強健術のホームページをご覧ください。