人生初110番に電話をかけた。
本日キャンプ場に1人の女性が。
汗をかき、動転したように。
60は超えている。
地元の言葉は1割も理解出来ないが、動転する様子と「手伝って欲しい」「おとうさんがいなくなった」事が読み取れた。
近くの民家に住む老夫婦だった。
おとうさんはたまにキャンプ場にやってくるメガネのガッチリおじいさんだ。
そのおじいさんがいなくなったと。
その間おかあさんは動揺で早口で聞き取りは英語より難しいくらいだ。
恐らく手に持ったウインドブレーカーが森の入り口にかかっていて、呼びかけても返事がない。
財布も持っていない。
行く先も告げずに出て行ったと。
少し森に入って呼びかけるも返事なし。
「家に戻ってみようか?」
「戻ってるかもよ。」
と勇気付けて家に帰った。
初めてその森の小屋におじゃました。
まるでグリム童話の日本版。
農機具や古い木材の家や納屋は小人達が出てきそうだ。
しかし小屋の周りにもおとうさんはいなかった。
まるで物語の導入のように不思議の国に入り始めた。
おかあさんは本気で心配している。
僕はその体調の方が心配だったが、1人にしてキャンプ場をほっぽらかして捜索する事も出来ず。
「警察に電話しましょうか?」
と、おとぎ話には似つかない現実的なセリフを吐いた。
電話を思わぬところから取り出したおかあさんは僕に「113ばんだった?」と。
なかなか動転している。
「かけましょうか?」と聞くとお願いすると電話(固定電話)を渡した。
ここで自分の全く緊張も動揺もない姿を頼もしくも感じたが、躊躇なく110を押した。
若い男性のオペレーターに事情を話し、特徴や状況を説明した。
最後に「あなたは我々が到着するまでそこにいてください」と念を押されたので、ドロンする事も出来ず20分以上は待った。
おかあさんは首から掛けたタオルで汗と涙を拭きながら、全く聞き取れない方言で話し続ける。僕は全く意味もわからないまま「へー」とか「うん」とかを発した。
何と無く「自虐」か「不吉」っぽい事を言っていそうな時は「んー」と困った様な返事を返した。
「遅い」
その間、庭のドーベルマンの雑種犬が永遠に吠え続けていた。
うるさい犬だな
と軽蔑に似た感情を持ちながらフラッとおとうさんが帰ってきそうな気がしていた。
でも時間は経ちえらい長く感じ始めた頃に車の扉が閉まる音。
来たか
チラッと警官2名が居た。
ベテランと新米といったコンビ。
来たか新米は20代だろう。
丸顔で人が良さそうだ。
ベテランは痩せているがエラが立派な真面目先輩といった感じ。
ザックリ状況説明を終え、後はおかあさんにバトンタッチしてドロン、と思って帰ろうとしたら
白いシャツで作業着のおとうさん
仁王立ち
ジッとこっちを見ている。
「何があった?」的な感じで見ている。
僕が「あれ?帰ってきたんじゃないッス?」
とおかあさんに声をかけた。
するとまた完全に意味が聞き取れない言葉で罵った。おとうさんを怒っているのか安心したのか。
おとうさんは笑っていた。
以前キャンプ場にやってきていたおとうさんは「いつでもうちに遊びにおいで」と誘ってくれていた。
それがこんな形で家に訪問した。
僕とおとうさんは笑いながら握手した。僕から手を伸ばしたんだが。
おかあさんはまだ罵っている。
警官2名は苦笑いだった。
おとうさんはのんきなもんで「どうもご苦労様です」とまた笑っていた。
不思議の国は何の事件も怒らずハッピーエンドだった。
僕の不思議な出来事と森のお家に初めておじゃました日。
本日キャンプ場に1人の女性が。
汗をかき、動転したように。
60は超えている。
地元の言葉は1割も理解出来ないが、動転する様子と「手伝って欲しい」「おとうさんがいなくなった」事が読み取れた。
近くの民家に住む老夫婦だった。
おとうさんはたまにキャンプ場にやってくるメガネのガッチリおじいさんだ。
そのおじいさんがいなくなったと。
その間おかあさんは動揺で早口で聞き取りは英語より難しいくらいだ。
恐らく手に持ったウインドブレーカーが森の入り口にかかっていて、呼びかけても返事がない。
財布も持っていない。
行く先も告げずに出て行ったと。
少し森に入って呼びかけるも返事なし。
「家に戻ってみようか?」
「戻ってるかもよ。」
と勇気付けて家に帰った。
初めてその森の小屋におじゃました。
まるでグリム童話の日本版。
農機具や古い木材の家や納屋は小人達が出てきそうだ。
しかし小屋の周りにもおとうさんはいなかった。
まるで物語の導入のように不思議の国に入り始めた。
おかあさんは本気で心配している。
僕はその体調の方が心配だったが、1人にしてキャンプ場をほっぽらかして捜索する事も出来ず。
「警察に電話しましょうか?」
と、おとぎ話には似つかない現実的なセリフを吐いた。
電話を思わぬところから取り出したおかあさんは僕に「113ばんだった?」と。
なかなか動転している。
「かけましょうか?」と聞くとお願いすると電話(固定電話)を渡した。
ここで自分の全く緊張も動揺もない姿を頼もしくも感じたが、躊躇なく110を押した。
若い男性のオペレーターに事情を話し、特徴や状況を説明した。
最後に「あなたは我々が到着するまでそこにいてください」と念を押されたので、ドロンする事も出来ず20分以上は待った。
おかあさんは首から掛けたタオルで汗と涙を拭きながら、全く聞き取れない方言で話し続ける。僕は全く意味もわからないまま「へー」とか「うん」とかを発した。
何と無く「自虐」か「不吉」っぽい事を言っていそうな時は「んー」と困った様な返事を返した。
「遅い」
その間、庭のドーベルマンの雑種犬が永遠に吠え続けていた。
うるさい犬だな
と軽蔑に似た感情を持ちながらフラッとおとうさんが帰ってきそうな気がしていた。
でも時間は経ちえらい長く感じ始めた頃に車の扉が閉まる音。
来たか
チラッと警官2名が居た。
ベテランと新米といったコンビ。
来たか新米は20代だろう。
丸顔で人が良さそうだ。
ベテランは痩せているがエラが立派な真面目先輩といった感じ。
ザックリ状況説明を終え、後はおかあさんにバトンタッチしてドロン、と思って帰ろうとしたら
白いシャツで作業着のおとうさん
仁王立ち
ジッとこっちを見ている。
「何があった?」的な感じで見ている。
僕が「あれ?帰ってきたんじゃないッス?」
とおかあさんに声をかけた。
するとまた完全に意味が聞き取れない言葉で罵った。おとうさんを怒っているのか安心したのか。
おとうさんは笑っていた。
以前キャンプ場にやってきていたおとうさんは「いつでもうちに遊びにおいで」と誘ってくれていた。
それがこんな形で家に訪問した。
僕とおとうさんは笑いながら握手した。僕から手を伸ばしたんだが。
おかあさんはまだ罵っている。
警官2名は苦笑いだった。
おとうさんはのんきなもんで「どうもご苦労様です」とまた笑っていた。
不思議の国は何の事件も怒らずハッピーエンドだった。
僕の不思議な出来事と森のお家に初めておじゃました日。