さて、今日はある意味、移動の日である。
8:20にホテルを出て、富山地方鉄道の電鉄富山駅に行き8:40の特急で立山へと向かう。天気は快晴かな。
切符は普通の乗車券とは別に特別急行券を買わねばならず、初めて見る形式の自動券売機にやや手間取った。
この移動ルートは日によっては大混雑になるらしいが、今日は平日なので、そこまでではない。まあ他人と隣の席にはならなくて済むくらいの混雑である。
それにしてもなかなか古めかしいというか、山に向かう気分が高まるというか、特急感の薄い座席に座る。
順調に立山まで移動。立山駅はまあまあの混雑である。時間がちょっとあるので駅舎から外に出てみると、近くに「立山カルデラ砂防博物館」というマニアックな博物館があるようだったが、今回はそれを見ている余裕はない。

→これは立山駅。

→後ろの斜めになっているのがケーブルカーの路線である。
立山から10:00のケーブルカーで美女平へ。ここが一番の激混みで、ただ乗ってるだけに近かった。人のすきまから、何とか外を撮影するが、ケーブルカーらしさは皆無であろう。
ケーブルカーはあっという間に美女平に到着し、続いて立山高原バスに乗る。この道は通常の車は乗り入れ禁止で(当然、業務用車両は入っているようだった)、室堂というところまで行くにはこのバスに乗るしかない(歩いても行けるそうだが、とても大変なのだろう)。また、山に登って行くだけあって、道は激しく左右にカーブしている。子供の頃、乗り物酔いの常連だった私は微妙に嫌な予感がしたが、二日酔いではないおかげもあって、無事ではあった。
途中、落差日本一という称名滝など名所があるのだが、ちょっと撮影するのは難しいよね。

→滝の名前が入った石碑は写ったが、肝心の滝が写らなかった。
1時間弱で今回の最高地点である室堂(標高2450m)に到着。ここには散策路があるのだが、行きはまず目的地まで急ぐことにしよう。11:00にタイミングよく来たトロリーバスに乗る。今年の年内で廃止になるという日本唯一のトロリーバスである。さすがにバスマニアっぽい人もいるな。いや、実は「トロリーバス」は「バス」と呼ばれているが、「電車」の仲間になるので、やはり鉄道マニアと言うべきかもしれない。
乗る車両はバスそのものなのだが、電車線から電力の供給を受けて走ることと、専用のルート(良く知らずに来て初めて見たのでビックリ)を運行するため、正式名称は「無軌条電車」で、法律上も「鉄道」に分類されるのだそうだ。そしてここはもう少し下りになっており、大観峰(標高2316m)というところで下車。ここから立山ロープウェイにのる。
どうだろう。とにかくあらゆる種類の乗物連発である。そして、黒部平(標高1828m)に到着し、11:30黒部ケーブルカーに乗る。とりあえず、行きは急いでみよう。
黒部ケーブルカーはすごい急角度を降りていると思うのだが、外はほとんど見えないので何も分からないままに黒部湖・黒部ダムに到着。黒部ダムは、その周りの景観を含めてすごかった。

→ダム湖とその上にそびえる岩山。
黒部ダムでは放水が行われているため、虹がかかっているのだ。
それでは黒部ダムの上を歩いて渡ってみよう。
まさしくここは観光地でもあり、渡り終えたところに黒部ダムレストハウスというレストラン兼休憩所がちゃんとある。
ダムを見やすいポジションに行くと(階段の上り下りがキツい)、放水の様子が良く見える。
展望広場の近くには特設会場があって、黒部ダムの歴史や、映画「黒部の太陽」の紹介がされている。
最初に見た時は、なんでこんな植樹記念碑があるのかと思ったが、映画の関係なんだね、きっと。
特設会場内では模擬トンネルのようなものがあり、その奥に映像コーナーがあった。
さて、ちょうど昼時である。昼食はレストランにも興味があるが(もちろんダムカレーなどが販売されていた)、ちょうど昼時でかなり混雑している。そう思って持ってきていた笹寿司(ブリ、牛)で昼食を済ませよう。

→炙り鰤(左)、能登牛しぐれ(右)。
黒部ダム周辺の景色は素晴らしいが、そうそういつまでも見ていられるものでもない。そろそろ戻ろうということで、13:00に黒部ケーブルカーに乗り、13:20立山ロープウェイへと乗り継ぐ。幸いなことに、どれも行く時ほど混雑していない。それから、このロープウェイは上下の駅間に支柱がないワンスパン方式なんだそうだ。
13:30黒部平から臨時のトロリーバスに乗る。乗り継ぎがとても順調なため、次々と乗物に乗れてしまうのだ。トロリーバスはこんなトンネルの中(バスの幅にピッタリの専用軌道)を走るのである。
トンネルの中で青い光がついているのはトンネル工事の時に破砕帯で大変な苦労をしたところらしい。
そしてこの専用軌道の中間地点辺りにトロリーバスの行き違いエリアがある。
これで室堂まで戻ってきた。ここが立山黒部アルペンルートの最高地点なので、少し散策してみることにしよう。少々ひんやりする室堂(長そでのシャツとジャケットを着ている私にとっては寒くはないが、暑いエリアから来た人は注意した方が良いかも。気温は10℃ちょっとだ)の景色は多少賽の河原感がある。
少し歩くと、みくりが池が見えてきた。美観の一つということらしいのだが、日差しが陰ってきたので、あまりそうは見えない。。
昔は地獄谷というエリアも散策できたらしいが、今は立入禁止となり、そんなに高原を歩く趣味も気力もない。14:20の立山高原バスで下ることにした。辺りにはかなり雲が出てきており、景色や植生は高地なので、何となく北海道に似てるかも。
途中には立山杉という樹齢1000年を越えるであろう木があるのだが、何しろバスで移動中なので、写真撮影には限界がある。
美女平から15:00のケーブルカーで立山へ。ほぼ待ち時間なしである。このケーブルカーは人間が乗る車両の下に貨車が付いていて、荷物の運搬に使われているそうだ。ケーブルカーの貨車としては日本最大級なんだって。
ケーブルカーを降りると、15:27特急電鉄富山行きがすぐあった。全行程を通して、必要ならすぐに臨時便が出るし、乗物を次々に乗り継いで移動する際、移動しづらさを感じさせない。
とはいえ移動疲れなのか、バス酔いなのか、高地で酸素不足になったのか、少し頭がクラクラする。
話が急に変わるが、列車の車窓から景色を眺めていて、とても気になるものが目についた。それは「墓」である。田んぼの脇で、まさに線路のすぐ横に「墓」(数基から数十基)あったりするのだ。
現在の富山はもちろん通常の墓地に墓が作られるのだが、墓地埋葬法が成立するまでは自分の家、または集落に墓地を作っていたらしい。今から新設は出来ないだろうが、できてしまっている墓を移設することもできず、そのままになっているのだそうだ。ふーん、いろいろな事情があるものだね。