■スケルトン・キー/道尾秀介 2019.6.10
2019年版 このミステリーがすごい!
国内篇 第13位 スケルトン・キー
怖いという感情を、僕は持ったことがない。
このような異常体質の主人公、坂木錠也のミステリです。
錠也の話し方は、どこかで聞いたような気がした。
何回も聞くと、ああ、コナン君の話し方じゃないかと感じた。
あくまでも、これはぼくの主観だけれども。
スケルトンキーは見た目より性能はかなり低い
岐阜市さかえロック/スケルトンキー
母も児童施設で育ったという事実自体は、別段驚くべきことではなかった。シセツの子の親にシセツの出が多いというのは、僕たちのあいだではごく一般的な常識だ。不利が不利を呼び、あきらめがあきらめを呼ぶ袋小路の中にいることを、僕たちは知っている。
----子供にこういう名前をつける人たちは、自分たちの人生があまりに普通だったから、せめて子供には特別になってほしいって思いがあるんじゃないかって、前に読んだ本に書いてあった。自分たちの人生の敗者復活戦みたいな気持ちなんじゃないかって。
また、僕に顔を戻し、フローズンアイという言葉を教えてくれた。 ……
「いろんなことをあきらめて、感情が表れなくなった目を、そう呼ぶの。ああいう施設には、その目を持った子供がたくさんいる。わたしもきっとそうだったし----」
彼女の勘----知識と経験が無意識にはじき出した解答は、見事に大当たりだった。
「……みんな、どっかおかしいんだよ」
『もしかしたら、あなたたちはいま、とてもつらい人生を送っているかもしれません。でも、これだけはわかってください』
『きっと生まれてきてよかったと思える日が来ます』
『……蓋が開いたら、小箱にどんな素晴らしいものが入っているか、わかるでしょう』
母の言葉が途切れた。
このようにメモを取ってみると、著者の云わんとしていることが分かるような気がします。
どのような境遇で育っても、どのような環境であがいていても、人生、所詮
「大丈夫だって……」
『 スケルトン・キー/道尾秀介/角川書店 』
2019年版 このミステリーがすごい!
国内篇 第13位 スケルトン・キー
怖いという感情を、僕は持ったことがない。
このような異常体質の主人公、坂木錠也のミステリです。
錠也の話し方は、どこかで聞いたような気がした。
何回も聞くと、ああ、コナン君の話し方じゃないかと感じた。
あくまでも、これはぼくの主観だけれども。
スケルトンキーは見た目より性能はかなり低い
岐阜市さかえロック/スケルトンキー
母も児童施設で育ったという事実自体は、別段驚くべきことではなかった。シセツの子の親にシセツの出が多いというのは、僕たちのあいだではごく一般的な常識だ。不利が不利を呼び、あきらめがあきらめを呼ぶ袋小路の中にいることを、僕たちは知っている。
----子供にこういう名前をつける人たちは、自分たちの人生があまりに普通だったから、せめて子供には特別になってほしいって思いがあるんじゃないかって、前に読んだ本に書いてあった。自分たちの人生の敗者復活戦みたいな気持ちなんじゃないかって。
また、僕に顔を戻し、フローズンアイという言葉を教えてくれた。 ……
「いろんなことをあきらめて、感情が表れなくなった目を、そう呼ぶの。ああいう施設には、その目を持った子供がたくさんいる。わたしもきっとそうだったし----」
彼女の勘----知識と経験が無意識にはじき出した解答は、見事に大当たりだった。
「……みんな、どっかおかしいんだよ」
『もしかしたら、あなたたちはいま、とてもつらい人生を送っているかもしれません。でも、これだけはわかってください』
『きっと生まれてきてよかったと思える日が来ます』
『……蓋が開いたら、小箱にどんな素晴らしいものが入っているか、わかるでしょう』
母の言葉が途切れた。
このようにメモを取ってみると、著者の云わんとしていることが分かるような気がします。
どのような境遇で育っても、どのような環境であがいていても、人生、所詮
「大丈夫だって……」
『 スケルトン・キー/道尾秀介/角川書店 』