S氏といえば、ぼくをMacの道にはめ込んだ張本人である。教室では、毎日甲賀・大阪間を近鉄特急で通勤する人として知られている。それどころか出張も多く、福岡、東京を始めとする関東圏一円、いえ日本国中を頻繁に行き来されていて、ものすごくフットワークの軽い御仁である。
彼は技術者で、ソナーの専門家。つまり超音波を利用して、新幹線の車両や航空機、果ては原子炉に至る超大型バディの瑕疵を発見する機械の設計、さらに実際の検査現場での監督など、こうして言葉でさらっと書いているが、ホントとんでもないことをされている。戦争が起こればこんな人が勝敗の行方を左右するのである。云わば、工業立国ジャパンの最前線で、もっとも重要な仕事に携わってみえる。
氏の出張先に、新幹線が話題になっている台湾や中国が増えたと承知していたのだが…。氏がこの度再婚されて、新妻を伴って教室に遊びに来てくれた。なんと新婦は中国人女性である。
「いいなぁ、朝昼晩、毎日、中華やん。」
と冷やかしたつもり。そしたら、
「そうなんですよ、料理の腕前が半端じゃなくて香辛料なんか本格的に持って来てるんですよ。」
と、しっかりのろ気られてしまった。
まだ、日本語に慣れていなくて、夫婦の会話には電子辞書が欠かせない。
「2千円で買った辞書が夫婦の絆を強めます。」
なんだそうだ。電子辞書が2K円?!
やはり言葉の問題は話し相手、つまりお友達ができないと上達しない。こうして志摩市に嫁いで来てくれたからにはさっそく仲間に入っていただかねば。
彼女の趣味はクロス・ステッチ。写真の万里の長城は彼女が制作したもので、長大サイズだから完成までまる2ヶ月を要したという。
「こういうのをやっってみたいという方に指導されながらご一緒に作っていかれたらすぐお友だちになれるでしょうし、言葉なんかすぐ上達しますよ。」
同じ技術者畑のお隣のシェフがアドバイスをくれた。もちろん料理研究会もご一緒に、と期待は膨らむ。
シェフと一緒に料理自慢の彼女がこしらえる家庭料理をご馳走になりに行くことが早々と決定。後は同行者を募るばかり。嬉しいことに盆過ぎだって催し物がいっぱいだ。
トップの写真は「琉璃」。リュウリーと読む。彼女が腕に付けていたブレスレットのようなもの。装飾品としてだけでなく身に付けることであらゆる人間が持つ潜在能力を最大限に引き出す力を持っているということで、男女を問わず中国で流行っているアイテムなんだとか。ガラスでできている。