それは長く辛い道のりだった…、と書けば、70年代前半に、オリビア・ニュートン・ジョンと全米で人気を二分したポップ歌手、ヘレン・レディの「Long Hard Climb」を思い浮かべてしまう。正しくは、
「長くつらい旅だったでしょうね」
という意味の言葉で始まるのだが、もうそんなことはどうでもいい気がする。
いちばん近くに居ると感じた人がもっとも遠くにいるような現実感、それが歳を重ねるということなのだろうか。
それは、こうありたい自分とこんな自分の落差に気づくような…。若作りが明らかに若いとは異なると感じるような…。
いや、なに、誕生日って決まってこうだ。朝早くからグリーティング・カードが何通も飛び込み、もちろん嬉しいのだが、反面、複雑でもある。「おめでとう」と「ハッピー」の見当たらないカードって、深読みすると究極の思いやりをいただく訳で、それに気づく自分って嫌なヤツ。
I Am Woman/Long Hard Climb 価格:¥ 2,463(税込) 発売日:2003-07-22 |
その記念すべき(?)日に、真珠職人の嫁さんちのホームページがリニューアル・オープンした。
真珠職人の嫁さんちは、ご主人が南の島で南洋真珠を養殖しておられ、奥さんと元気な男児二人が日本でお留守番している。子育てをしながら製品づくり、それが嫁さんの仕事だ。真珠をこよなく愛し、慈しみ、手塩にかけておられる様子は、Webページの画像やオークションの出品画像を見れば一目瞭然である。見蕩れるほど綺麗な画像なのだが、写真の撮り方が上手いという以前にしっかりした製品づくりに心をくだいていることに気づかされる。日本人本来の丁寧なものづくりの心が生きている。南の島の写真を撮影したのはご主人だが、どれも素敵な写真である。カメラマンとしても優れている、というより、真珠に対するこだわりと同じ姿勢で撮影に取り組んでいるということだ。すべてが一貫している。
一方で、今回のリニューアルは、ひとりのWebデザイナーが誕生したことを意味する。制作は、kiyoのクロゼットさん。すべてのページをカスケード・スタイル・シート、つまりCSSによってこしらえた。驚くほど短期間で新しい技を習得した訳だが、もともと靴のデザイナーとして、プロダクト・インダストリーの世界で真摯に磨いてきた人だ。暑苦しさの微塵もない、洗練されたデザインが真珠のもつ素直な美しさを引き出している。
とりわけトップページのFLASH画像に心を奪われるが、膨大な数の写真から厳選した選択眼が冴えに冴えている。また、真珠職人の製品への愛情がストレートに伝わってくる。
「ページが綺麗と褒められるより、売れたといって喜ばれたい」
ものづくりの姿勢の好さがお見事である。
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