ある日、志摩の匠として知られる錺(かざり)職人、中北幸久画伯から珍しいものをいただいた。
「当ててみ」。
さて、なんだ?
固い。イガほど尖ってないものの、手にした感触はイササカざらつく。果実とは思うが、はて…? 、当てられなかった。
情けなくも、好奇心まる出しで答えを聞いてみた。
とげなし栗
だ、そうだ。
これ、栗ですか?
食べてみる気にはならないが、アピアランスは悪くない。さっそく、机に飾ってみた。
秋やなぁ
正直、整っているものよりも、多少障りというか圭角のあるものに惹かれる癖がある。真珠で言えばバロックか。南洋真珠のそれに魅力を覚えるが、もっともぼくには「豚に真珠」ということで…。
11月に入った。あの台風からというものめっきり秋めいて爽快だ。
食べられるの?
お味は?
やっぱり栗ですか?