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パソコン教室アイラブハイパークラブです。
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生まれたときは別々だが

2005-06-25 23:53:00 | 映画
 今夜は南勢町の田曽浦に行ってきた。この町には兄のような存在の人がいて、年に数えるほどだが訪問するのを楽しみにしている。漁師町独特のさっぱりした男気に接するたび心が洗われる。竹を割ったような気性と果てしのない優しさに満ちたまなざしに触れ、帰り道はいつも高倉健主演の「昭和残侠伝」を見終わった後のようなカタルシスを抱いている。

 思えば二人の結びつきも映画から始まった。パソコンの授業そっちのけで、「鉄道員」から黒沢明、フェリーニまで、それこそ古い昔の映画を語り合った。互いに忙しくて滅多に逢えないが、逢えば尽きない話で止め処がなくなってしまう。年齢も違い、生まれも育ちも異なっていても共感という通奏低音で結ばれる不思議な縁に感謝するばかりだ。

 田曽という町はイタリアのシチリアに似ていると思う。特に夕暮れ、夜に近い時間帯、ハーバーライトに浮かぶ佇まいは、ぼくには「ニューシネマパラダイス」を想起させる。港の灯りを、風を、匂いを感じるとき、懐かしい気持ちで優しくなれる。そんな町でどうして迷子になるのか、自分でも不思議なのだが、今夜も迷ってしまった。ぼくにとって幻想の世界なのかも知れない。

 昔、この町に一軒の銭湯があった頃、海水浴の帰りに入ったことがある。明かりとりの窓から筋を引いて昼の光が差し込む時間帯、男湯にぼくひとり、壁を隔てて若い女性がひとり。仕切りを越えて洗い桶のタイルに跳ねる音がカラーンと響いて、そのたび心がざわめいた。その女性が、今、家人として我が家にいる。


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