泉の森のやや奥の道沿い、目立たないところに白い花が咲いていた。
今年になって初めてのヒヨドリバナだ。
アサギマダラがヒヨドリバナの蜜を好むのだが、残念ながら近くにはいなかった。
ヒヨドリバナはアルカロイド系の毒を含み、その蜜を吸うことで鳥に捕食されるのを防いでいるらしい。
ハチにとってそんなことは関係なく、単純に蜜を求めて来ているのだろう。
葉が葉脈を中心に黄色くなっている。
これはヨコバイなどの昆虫により媒介されるジェミニウイルスによる症状だという。
万葉集(4268)に孝謙天皇が「沢蘭(ヒヨドリバナ)を抜きて」詠んだとされる歌がある。
「この里は継ぎて霜や置く夏の野に わが見し草は黄葉(もみ)ちたりけり」
(この里はいつも霜が降りるのでしょうか。夏の野で私が見た草は、もう色づいてもみじ色でした)
これはジェミニウイルスの症状を示していたと推定され、植物ウイルスに関する世界最古の記録らしい。