滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

世界で3つしか現存しない曜変天目茶碗

2020年10月25日 | アート・文化

今年も昨日から正倉院展が始まりました・・・。今年の正倉院展は新型コロナ感染拡大防止のため、観覧には「前売日時指定券」の予約・発券が必要で当日券の販売はないそうです。毎年、奈良国立博物館で開催される正倉院展に行っていますので、このブログでも毎回出品される宝物を紹介してきましたが、今年は正倉院展に行くことを取り止めました。それで、今回は昨年同じ奈良国立博物館で開催された「藤田美術館展」で観覧した曜変天目茶碗のお話をすることにします。

曜変天目茶碗(以下、曜変天目と称します)は、中国福建省建陽市水吉鎮にある建窯で宋時代につくられた黒い釉薬のかかった茶碗の一種です。曜変天目は建窯産の茶碗「建盞(けんさん)」の中でも極めて稀少なもので、現存するものは世界に三碗しかありません。その三碗は全て日本にあり、いずれも国宝に指定されています。三碗にはそれぞれ異なる表情が見られますが、曜変天目三碗に共通する特徴としては、碗の内面に星のような斑文が広がっていて、光や見る角度により変化する青、紫、緑などの光彩(虹彩)を帯びていることから、さながら碗の中に宇宙や銀河を内包しているが如くである点があげられます。

画像は、昨年開催された「藤田美術館展」で購入した2019年国宝「曜変天目」三碗同時期公開記念(異なる会場で同時期に曜変天目三碗の展覧会がありました)のクリアファイルです。現存する曜変天目三碗が写っているクリアファイルで、左が京都の大徳寺塔頭龍光院の所蔵品、中央が東京の静嘉堂文庫美術館の所蔵品、右が大阪の藤田美術館の所蔵品です。私は三碗のうち、昨年「藤田美術館展」で藤田美術館の所蔵品を、3年前に京都国立博物館で開催された「国宝展」で大徳寺塔頭龍光院の所蔵品を観覧しています。

私個人としては、藤田美術館の所蔵する曜変天目よりも大徳寺塔頭龍光院の所蔵する曜変天目の魅力が印象強く残っています。展示の仕方や照明の角度にもよるのかも知れませんが、大徳寺塔頭龍光院の所蔵する曜変天目は、漆黒の器の中で、星のようにも見える瑠璃色と虹色の光彩の輝きが吸込まれるような小宇宙を形成していて、とても神秘性を感じたことを憶えています。私がまだ観覧していない静嘉堂文庫美術館の所蔵する曜変天目は、「稲葉天目」の名でも知られていて、現存する三碗の中でも特に斑文(星紋)と光彩(虹彩)が鮮やかだと言われています。私が観覧した二つの曜変天目よりもさらなる魅力を秘めているのでしょうか・・機会があれば観覧してみたいものです。

三碗の曜変天目には、斑文や光彩の様相などにそれぞり独自の特徴がみられるように、焼成の偶然性が大きく影響していることが分かります。つまり、曜変天目はつくろうとして出来る器ではなく、当時であっても万に一つの奇跡によって生まれたものであると考えられます。約800年前に南宋で奇跡的に誕生し、その後、海を超えて日本に渡り、寺院や将軍家など多くの人々の手により守り伝えられ、今日に至るという奇跡の積み重ねによって世界で三碗しか現存しない曜変天目は、存在そのものが神秘的であり、この世のものでない・・美しさをたたえています。

という事で、今回は曜変天目のお話をしましたが、来年の秋には新型コロナも終息していて例年どおり正倉院展が開催されることを願っています・・・。

 

 

 

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第71回 正倉院展2019

2019年11月04日 | アート・文化

今年も奈良国立博物館で開催されている正倉院展に行って来ました・・・。毎年の恒例行事として、古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来ました。今年は東京でも、御即位記念特別展として「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」が開かれていることもあってか、例年より出陳されている宝物が少なかったように思えます。展示会場には例年に比べると不自然な空きスペースがありましたからね・・。私たちは奈良の近くですから、毎年のように正倉院宝物に会いに行けますが、関東の方々は奈良まで来るのが大変ですからね。これからは毎年、奈良と東京で正倉院展が開催されるといいのにね。(出陳される宝物が少なくなると困るので、期間をずらしてですけど・・)

 

それで、今年も出品の中から宝物を1つ紹介したいと思います。画像の宝物は「七條刺納樹皮色袈裟(刺縫いの袈裟)」です。袈裟とは僧侶が身に着ける衣のことです。東大寺大仏へ献納された宝物の筆頭が袈裟であることは、聖武天皇・光明皇后の仏教信仰や献納の仏教的性格を示すもので、この袈裟も聖武天皇が実際に着用した可能性が考えられます。袈裟は、仏教修行者と異教徒や世俗の人との服装を区別し、かつ衣服に対する執着を絶つことを示す粗末な衣で、華麗な色や一枚物の衣とせず、小さい方形の裂を縫い合わせて、長方形の一枚布に仕立てたものです。また、捨てられた端裂を繋ぎ合わせて作られた袈裟は「糞掃衣」といい、袈裟本来の意義を踏まえた衣とされ、本品も糞掃衣の形式に則して作られています。

画像では分かりにくいかも知れませんが、この袈裟は、赤・青・黄・緑・茶色等の不規則な形に裁たれた平絹を重ね合わせて、一面に刺縫いして縫い繋いだ刺納(刺子)の細長い長方形の裂七枚を横に継いで、一枚の長方形の裂に仕立てています。これに紺綾の裏地を当て、現状では焦げ茶色になっている綾で縁を新補しています。端裂を縫い繋ぐ糞掃衣の体裁を取りながら、上質の裂を装飾的に配置し、聖武天皇ゆかりの袈裟にふさわしい豪華な仕立てとなっている宝物であることがうかがえます。

 

 せっかく奈良に行くのだから、今年も正倉院展に行く前に他の社寺を訪れて来ました。今年は、唐招提寺(2回目です)に行って来ました。

以前(10年以上前かなぁ・・)にも唐招提寺を訪れたのですが、その時は金堂と金堂の三尊仏が平成の大修理中だったので、三尊仏を拝観することがでませんでした。それで今回もう一度、唐招提寺を訪れてきました。画像は、購入した金堂内を写した写真のクリアファイルをスキャンしたものです(金堂内は撮影禁止ですから)。画像の手前から千手観音立像、廬舎那仏坐像、薬師如来立像が安置されていて、いずれも国宝となっています。今回は唐招提寺だけ訪れたので(時間がゆっくりあったので)、気候の良いこともあってか・・時が経つのを忘れて仏様を見入って、心穏やかなひと時を過ごすことができました。

という事で、今年も秋の恒例行事が終わってしまいました。来年の正倉院展では、どのような宝物に会えることができるのか・・楽しみにしています・・・。

 

 

 

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「太陽の塔」の内部に行って来た。

2018年11月18日 | アート・文化

先日、「太陽の塔」の内部に行って来ました・・・。太陽の塔は、1年以上の改修・増築工事を終えて今年の3月から48年ぶりに一般公開されています。太陽の塔は、芸術家・岡本太郎がデザインし、大阪万博でもひと際注目を浴びたモニュメントでした。万博開催後、ほぼ全てのパビリオンが撤去されるなか、75年に太陽の塔の永久保存が決まったものの、通常は人が立ち入らない「工作物」として残されていました。太陽の塔を一般公開するため、大阪府は法規上の整理を行い、約13億8800万円の費用を投じて、耐震補強を施すとともに地下に展示空間を増築し、常設の展示施設へと再生させました。

 

太陽の塔の内部空間には、岡本太郎が構想した高さ41メートルにおよぶ「生命の樹」がそびえ立っています。地下から上へ上へと伸びる生命の樹には、原生類時代、三葉虫時代、魚類時代、両生類時代、はちゅう類時代、哺乳類時代に生きてきた約180体の生きものが取り付けられています。生物群は、太陽虫やクラゲから、アンモナイト、恐竜、マンモス、ネアンデルタール人などなど・・。上にのぼるにつれて時代が進んでいく設定で、命の歴史を感じることができるようになっています。模型のリアルさや大きさも含め、大迫力の生命の樹を目の当たりして、高揚感を感じずにはいられませんでした。(岡本太郎・・恐るべしです)

 

生命の樹に誘われて最上階までのぼると、そこからは太陽の塔の両腕内部を見ることができます。内部に入る前に外から太陽の塔を眺めていて、たぶん・・鉄筋コンクリート造なのかなぁ・・と思っていたのですが、腕の部分は鉄骨造でした。しかも新たな照明効果で神秘的な存在感を放つ露出の鉄骨フレームの美しさに驚かされました。(専門的には、こんなに多くの部材ジョイントが要るのかな?・・これも意図的なデザインかなと思ってしまいましたが・・)、ちなみに、太陽の塔は、腕から下が鉄筋コンクリート造で、腕から上が鉄骨造になっていることが塔内にあったカタログで判明しました。

 

ところで、太陽の塔が何を表しているのか・・作者が何も語っていないため、よく分かっていないそうです。ただ、特徴的な3つの顔についてはハッキリしているそうで、お腹に付いている「太陽の顔」は現在を、頂部の「黄金の顔」は未来を、背面の「黒い太陽」は過去を表しているそうです。これは、大阪万博テーマ館が「過去」→「未来」→「現在」を巡る構成であったことに加えて、作者である岡本太郎が「人間の身体、生命のうちには、いつでも人類の過去、現在、未来が一体になって輪廻している」と考えていたからだそうです。それで・・分かっているのはこれだけで、あとの解釈は自由なんだそうです・・。

という事で、みなさんも是非一度、太陽の塔の内部空間を体感してみてください。なかなかの感動モノですよ・・・。(ちなみに、一般公開は期間限定ではありませんが、内観するには予約が必要で、ネットの予約サイトから予約できます)

 

 

 

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第70回 正倉院展2018

2018年10月30日 | アート・文化

今年も奈良国立博物館で開催されている正倉院展に行って来ました・・・。毎年の恒例行事として、古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来ました。今年で70回を迎える正倉院展ですが、これまで正倉院展に出陳された宝物は延べ5000件近くに及ぶとの事です。それでもなお正倉院には約9000件を数える宝物があり、未だに初出陳の宝物が毎年含まれています。このことからも、正倉院では、いかに数多くの宝物が大切に守り伝えられてきたかがよく分かります。

 

それで、今年も出品の中から宝物を1つ紹介したいと思います。画像の宝物は、「玳瑁螺鈿八角箱」という印籠蓋造の八角形の箱です。木製で底裏を除く外面を玳瑁(たいまい:べっこうのこと。)貼りとし、玳瑁に文様の形をくり抜き、螺鈿で唐花文や蓮華・鳥などの文様を表しています。玳瑁は下地に黄色と焦げ茶色が彩色された上に貼られていて、斑文に変化を持たせています。また、螺鈿はヤコウガイが用いられていて、象嵌(ぞうがん:金属・陶磁・木材などの材料の表面に他の材料を嵌め込むこと。)後に線刻が施されています。

この「玳瑁螺鈿八角箱」は、明治28年に大がかりな修復が施されており、外面の玳瑁は面積の半分以上が修復されているそうです。当初の玳瑁は赤黒い斑文の多い部分を用いているのに対して、後補部分は黄色の部分が多い材が用いられています。ちなみに、正倉院宝物の玳瑁は、黒色の斑点を多く含むものが用いられている傾向があり、玳瑁の黄色を好むようになったのは近世になってからのようです。本品の用途については、珍材を用いた華麗な装飾から仏前に進める献物を納めるための献物箱と推定されています。

 

せっかく奈良に行くのだから、今年も正倉院展に行く前に他の社寺を訪れて来ました。今年は、法隆寺(2回目です)と中宮寺(法隆寺のすぐ隣です)と法起寺に行って来ました。

 

画像は、コスモス畑から見る法起寺の三重塔(国宝)です。706年(慶雲三年)に建立された現存する日本最古の三重塔です。法起寺の周辺では、農家の方がコスモスを栽培されていて、その規模は毎年少しずつ拡がっているとか・・。ちょっとした名所になっているようです。

という事で、今年の恒例行事も終わってしまいました。、正倉院展は、11月12日まで開催されていますので興味のある方は、古の文化と職人技に敬意を表しに奈良に行ってみてはいかがでしょうか・・・。

 

 

 

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第69回正倉院展

2017年11月01日 | アート・文化

前回お話した京都国立博物館で開催中の国宝展に続き、昨日は奈良国立博物館で開催されている正倉院展に今年も行って来ました・・・。毎年の恒例行事として、古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来ました。例年なら入場するために並ばないといけないのですが、昨日はタイミングが良かったのかどうか分かりませんが、並ばなくてもあっさり入場することができました。この調子だと、館内も人が少なくて宝物がじっくり見れるかも・・と思いつつ展示室に入ると、そこはやはり「正倉院展」だけあって、宝物の周りには多くの人で混み合っていました・・。(それでも例年に比べれば混雑が少ない方だったので、宝物が鑑賞しやすかったです。)

毎年、正倉院展にはすばらしい宝物が多く出品されているのですが、今年の出品されている宝物は、全体的には・・ちょっとハズレだったかな?という感じがしました。とは言っても、昨年も同じことを言っていましたので、私が宝物を見慣れてきただけかも知れませんから、あまり参考にはされないように・・。そもそも「ハズレ」とか言ってますけど、私は正倉院展に何を期待しているのでしょうね・・?

 

前置きが長くなりましたが、今年も出品の中から宝物を1つ紹介したいと思います。画像は、「緑瑠璃十二曲長坏」というガラス製の長楕円形の坏(さかづき)です。長側面にひだが三段ずつ付き、口縁に十二の屈曲ができることから十二曲長坏という名前が付いています。緩やかな曲面には植物文様が線刻されており、ガラスの光沢や鮮やかな緑色に波打つ形状があいまって、水や酒をすくう大きな葉の器を想像させます。

材質は、酸化鉛を55パーセント含む鉛ガラスで、緑の発色は銅の混入によるものであることが判っています。鉛を多く含むガラス製品は中国に多いことから、本品は中国産であるという見方が有力だそうですが、いまだに中国で同等品は発見されていません。八曲長坏や十二曲長坏の原形は、ササン朝ペルシヤの金銀器に求められると言われています。八曲長坏は、西アジアや中央アジア、東欧、中国から銀製の八曲長坏が発見されています。それに対して、本品の原形となる十二曲長坏の例は、ウクライナで発見された金製十二曲長坏が有名だそうですが、確実な遺品はごくわずかしかなく、本品のようなガラス製となるとさらに希有(非常に珍しい)であるとのことです。

まさに、奇跡の遺宝と称するにふさわしい宝物の1つです・・。(正倉院の宝物は、世界の宝物ですからね。)

 

せっかく奈良に行くのだから、今年も正倉院展に行く前に他の社寺を訪れて来ました。今年は、法華寺と海龍王寺と新薬師寺に行って来ました。

 

画像は、新薬師寺の本堂です。(元々は本堂ではなく、修法を行うためのお堂だったそうです)、7年ぶりに薬師如来坐像と十二神将立像にお会いして来ました・・。円形の土壇の上で薬師如来坐像を円陣に取り巻いて護っている十二神将立像は、まさに圧巻です。また、この十二神将立像は、塑像(木の骨組みに縄を巻き付け、そこにワラを混ぜた粘土をつけて大まかな形を造り、紙の繊維と雲母を混ぜた土で上塗りしたもの)だというのですから驚きです。1200年前に造られた塑像がひび割れなどせずに、原形のまま残っているというのが信じられないです。

という事で、昨年訪れることが出来なかった安倍文殊院には、今年も行くことが出来ませんでした。来年こそは行けるといいんですが・・、行く直前もしくは当日の気分で訪れる社寺を決めているようなところもあるので、来年もまた別の社寺を訪れているかも知れませんね・・・。

 

 

 

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京都国立博物館の国宝展に行って来ました。

2017年10月18日 | アート・文化

お天気の悪い日が続いていますね。来週にかけても雨の日が続くみたいですけど(台風が来るのかな?)、こんなに天気の悪い日が続くのも珍しいですね・・・。昨日は、午後から雨が止んだこともあって、京都国立博物館で開催されている国宝展に行って来ました。京都国立博物館の開館120周年記念としての特別展覧会で、関西では41年ぶりとなる国宝展です。41年ぶりの国宝展なので、混雑していることは想定していましたが、やはり・・平日にもかかわらず多くの人で館内は混雑していました。

 

今回の国宝展では、200件以上の国宝を4期に分けて公開していて、昨日(17日)からは2期の展示が始まっています。2期では、最澄と空海の自筆の書や2人の親交を示す手紙などが公開されています。日本仏教の礎を築いた2人の自筆が見られるなどは国宝展ならでは・・です。また、日本最古の国宝の1つとされる火焔型土器(縄文土器)は、4000年ほど前に造られたものとは思えないくらい精密かつ迫力ある土器で、しかも原型のまま残っていて・・それが目の前で見られるというのは感動ものです。あと・・よく知られているところで言うと、俵屋宗達筆の風神雷神図屏風(1・2期展示)などもあります。

 

その他にも、お宝について語ればキリがありませんが、もう1つ紹介しておくとすれば、2期限定で公開されている京都・龍光院の「曜変天目」です。曜変天目とは焼成時の釉薬の変化で器に星状の斑紋が現れたもので、国内に現存する3碗はすべて国宝に指定されています。(曜変天目は、南宋時代の中国で造られたものですが、そもそも現存するのは世界中で日本にある3碗のみなので・・)、漆黒の器の中で、星のようにも見える瑠璃色と虹色の光彩の輝きは、この世のものでない・・と称されるとおり必見の価値ありです。

という事で、人混みの中で「お宝」を鑑賞するのは大変ですが、それでも至福のひと時となりました・・。贅沢を言えば、4期に分けて公開せずに(4期通して展示しているものもあります)一挙に全ての「お宝」を展示してほしかったです。期間によっては、見れない「お宝」があるのが残念です。(3期・4期も行けばいいんですけどね。まぁ、それはちょっと無理かな・・・。)

 

 

 

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第68回正倉院展

2016年11月06日 | アート・文化

今年も正倉院展に行って来ました・・・。古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来たワケです。毎年、正倉院展にはすばらしい宝物が多く出品されているのですが、今年の出品されている宝物は、ちょっとハズレだったかな・・という感じがしました。とは言うものの・・これはあくまで私の感覚(価値観)ですからね・・。

という事で、今年も出品の中から宝物を1つ紹介したいと思います。今年は聖武天皇ゆかりの品として、「漆胡瓶(しっこへい)」が18年ぶりに出展されています。(下の画像)

 

球形の胴部に鳥頭形の注口をのせ、弓なりの把手と太い帯をめぐらした脚と裾広がりの円座をもつ水瓶です。「胡」は中国より見て西方の国や民族を意味していて、下ぶくれの胴部と把手を有する水瓶はササン朝ペルシヤで多く作られ、その影響で中国でも流行したことから「胡瓶(こへい)」と呼ばれたそうです。

この品は内外面ともに黒漆を塗り、外面の全面に銀平脱技法による文様を表しています。文様は蓋・頸・胴・脚と円座では、山岳・鹿・種々の鳥・蝶・草花などを散らすように表し、蓋の鐶座には六弁花文を、把手と脚の帯・円座の側面には四菱文を飾っています。

銀製の文様に唐代に流行した蹴彫が見られること、銅の材質分析から唐鏡と推定される漆背金銀平脱八角鏡と近似した文様表現が見られることなどから、唐からの将来品の可能性が高いそうです。国際性豊かな唐文化を伝える宝物ということですね。

 

今年も例年のごとく、正倉院展に行った際に他の寺社も訪れようと安倍文殊院に行く予定をしていたのですが、ちょっと時間の都合(段取りに問題?)で・・残念ながら訪れることが出来ませんでした。

安倍文殊院は、来年の楽しみにしておく事にします・・・。

 

 

 

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ダリ展に行って来ました。

2016年08月20日 | アート・文化

先日、京都市美術館で開催されている「ダリ展」に行って来ました・・・。調べたいことがあって京都市内に行っていたのですが、時間に余裕があったので、久しぶりに京都市美術館へ寄り道してきました。(もちろん、ダリ展をやっていることも知っていたので・・)、お盆休みも終わって平日だったので、そんなに混雑していないだろうと思いきや・・入場してみるとけっこうな人、人、人でダリ人気には驚いてしまいました。

 

ダリは、白昼の現実よりも、夜の夢からやってくる無意識をインスピレーション源としていたようです。でも、夢は現実ではないので、写実の技法で描けないはずなのに、ダリは夢の内容を克明に描写しています。悪魔のような世界が目の前のある現実であるかのように描いています。ダリは、常に「現実らしさ」とはなんなのか、現実と虚構の違いはどこにあるのかを探究していたようです。

回顧展で興味があったのは、ダリが広島と長崎への原爆投下を知って、大きな衝撃を受けたということです。どんな悪夢でも、原爆の投下に比べればもはや悪夢などてはないということでしょう。ダリは、そのことを精神分析を飛び越えて、量子力学や相対性理論にまで及んで描いています。

 

上の画像は、広島と長崎に原爆が投下されたことを知ったダリが、大きな衝撃を受け制作した「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」です。画面中央には、爆弾を落とす戦闘機が首を左斜めに傾けた人間の頭部の形態の中に描かれていて、それは、アメリカを象徴する野球選手たち、そして画面右端の爆発のイメージと組み合わされることで、広島に原爆を投下した爆撃機エノラゲイを観る者に想像させています。黒を基調とした画面には、原爆がもたらす恐怖によって支配される陰鬱な世界が広がっているのが感じとれます。

「ダリ展」は、9月4日まで、京都市美術館で開催されていますので、みなさんも「現実らしさ」とはなんなのか、現実と虚構の違いはどこにあるのかを探究してみてはいかがでしょうか・・・。

 

 

 

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第67回正倉院展

2015年11月08日 | アート・文化

 先日、第67回正倉院展に行って来ました・・・。今年も古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来ました。毎年、正倉院展に行くのが恒例行事になっていることは、これまでの記事でもお話していますよね。

今年もすばらしい宝物が多く出品されていた正倉院展ですが、その中から宝物を1つ紹介します。下の画像は、彫石尺八(ちょうせきのしゃくはち)という蛇紋岩で作られた尺八です。尺八は本来竹製ですから、この品は石を用いながら三節の竹管を模しています。指孔は楕円形を呈し、前面の指孔には複弁の八弁花を彫り出しています。さらに外面全体には草花・飛雲・山岳・花喰鳥・蝶などを左右対称に構成し、薄肉に刻んでいます。

石で尺八を作ったうえ、このような複雑な模様を外面全体に刻んでいるのですから、古の職人技には本当に驚かせられますよね。この品のような円筒形の石製品は、固定した原石に孔の径と同じ大きさの鉄板を回転させながら彫り下げて筒を作り、さらに金剛砂などの研磨剤や砥石を用いて加工したと考えられているそうです。ちなみに、今回の正倉院展では、彫石横笛(ちょうせきのおうてき)という蛇紋岩を用いて作られた横笛も出品されていました。

 

せっかく奈良に行くのだから、今年も正倉院展に行く前に他の社寺を訪れて来ました。今年は、浄瑠璃寺と岩船寺と東大寺法華堂(三月堂)・二月堂に行って来ました・・。

 

上の画像は、浄瑠璃寺の西方九体阿弥陀堂です。浄瑠璃寺では、今では唯一のものとなった九体阿弥陀如来像(国宝)にお会いしてきました。ちなみに、浄瑠璃寺は近鉄奈良駅からバスで25分ぐらいの場所にありますが、奈良ではなく京都府です。

 

上の画像は、東大寺二月堂です。「お水取り」が行われるところです。実は、二月堂には行ったことがなかったので今回はじめて行って来ました。でも今回、私が行って良かったと思ったのは、法華堂(三月堂)です。(画像はありませんが・・) 法華堂は東大寺に残っている最古の建物で、堂内には御本尊の不空羂索観音立像を中心に合計10体の仏像が立ち並び、そのすべてが国宝に指定されています。堂内に入った瞬間、その仏像群の迫力に圧倒されます。そして、しばらくすると仏像群の雰囲気に心が洗われるような気持ちになります。法華堂内に居ると、仏さまは本当に私たちを救ってくださるような気持ちになりました・・。

 

という事で、今年も秋の恒例行事が終了しました。来年は、正倉院展に行く前に・・どこの社寺に行こうかな・・・。

 

 

 

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今年も正倉院展に行って来ました

2014年11月03日 | アート・文化

 先日、第66回正倉院展に行って来ました。今年も古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来たワケです。毎年この時期になると正倉院展に行くのが、恒例行事になってしまっているのは、今までの記事でもお話していますよね・・・。

という事で、今年の正倉院展の出品を1つ紹介します。上の画像は、桑木阮咸 [くわのきのげんかん]という円形の胴を持つ四絃の楽器です。中国で成立したと推定されていますが、古代の作例としては、この品と宝庫に伝わる螺鈿紫檀阮咸(らでんしたんのげんかん)の2作例があるに過ぎないそうです。阮咸という名前は「竹林七賢」の一人で琵琶の名手とされた阮咸に由来すると言われています。それにしても、中国で生まれた古代の楽器が日本にしか現存しないというのですから、正倉院の宝物は、日本の宝物というより人類の宝物と言えるかも知れませんね。

 

もう一つ恒例になっているのが、せっかく奈良に行くのだから正倉院展に行くまえに、もう一つ二つ他の社寺を訪れることです。(これも今までの記事でお話してますね。)今年は、遠くまで足を延ばさずに「ならまち」を散策して元興寺を訪れ、東大寺に行って来ました・・。

上の画像は、元興寺の国宝・極楽堂です。元興寺でもらったパンフレットには、極楽堂の組物や部材の名称などが詳しく説明されていて、建築様式を知るうえでとても興味深いものがありました。

あと・・「ならまち格子の家」にも行きましたが、こちらは私的には期待はずれでした・・。それから、ならまちでオムライスを食べて、私としてはお腹がいっぱいにならなかったので、オムライス屋さんの2~3軒となりのくず餅屋さんでくず餅を食べて、ようやくお腹が満たされました。あのくず餅は美味しかったですよ。(オムライスも美味しかったけど・・。)

 

 

今回、奈良に行くまでは、東大寺を訪れる予定はしていなかったのですが、中途半端に時間があったので、そう言えば・・東大寺って小学校の遠足以来行っていないよな・・と思い立ち、もう一度世界最大の木造建築物を訪れて来ました。(画像は東大寺大仏殿)

それにしても、大仏殿はデカい。使われている部材から何から何まで桁外れに大きかったです。(当たり前か・・)、大仏殿の中に創建時の大仏殿の模型があって、創建時の大仏殿は現在の大仏殿よりさらに大きかったというのだから驚かされました。(現在の大仏殿は、江戸時代に再建されたもの)

それから、一般公開されている正倉院も見て来ました。(こちらは、外観を見るだけの公開ですが・・)、とまぁ・・今年も秋の恒例行事が終了しました・・・。

 

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