今年も奈良国立博物館で開催されている正倉院展に行って来ました・・・。毎年の恒例行事として、古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来ました。今年で70回を迎える正倉院展ですが、これまで正倉院展に出陳された宝物は延べ5000件近くに及ぶとの事です。それでもなお正倉院には約9000件を数える宝物があり、未だに初出陳の宝物が毎年含まれています。このことからも、正倉院では、いかに数多くの宝物が大切に守り伝えられてきたかがよく分かります。
それで、今年も出品の中から宝物を1つ紹介したいと思います。画像の宝物は、「玳瑁螺鈿八角箱」という印籠蓋造の八角形の箱です。木製で底裏を除く外面を玳瑁(たいまい:べっこうのこと。)貼りとし、玳瑁に文様の形をくり抜き、螺鈿で唐花文や蓮華・鳥などの文様を表しています。玳瑁は下地に黄色と焦げ茶色が彩色された上に貼られていて、斑文に変化を持たせています。また、螺鈿はヤコウガイが用いられていて、象嵌(ぞうがん:金属・陶磁・木材などの材料の表面に他の材料を嵌め込むこと。)後に線刻が施されています。
この「玳瑁螺鈿八角箱」は、明治28年に大がかりな修復が施されており、外面の玳瑁は面積の半分以上が修復されているそうです。当初の玳瑁は赤黒い斑文の多い部分を用いているのに対して、後補部分は黄色の部分が多い材が用いられています。ちなみに、正倉院宝物の玳瑁は、黒色の斑点を多く含むものが用いられている傾向があり、玳瑁の黄色を好むようになったのは近世になってからのようです。本品の用途については、珍材を用いた華麗な装飾から仏前に進める献物を納めるための献物箱と推定されています。
せっかく奈良に行くのだから、今年も正倉院展に行く前に他の社寺を訪れて来ました。今年は、法隆寺(2回目です)と中宮寺(法隆寺のすぐ隣です)と法起寺に行って来ました。
画像は、コスモス畑から見る法起寺の三重塔(国宝)です。706年(慶雲三年)に建立された現存する日本最古の三重塔です。法起寺の周辺では、農家の方がコスモスを栽培されていて、その規模は毎年少しずつ拡がっているとか・・。ちょっとした名所になっているようです。
という事で、今年の恒例行事も終わってしまいました。、正倉院展は、11月12日まで開催されていますので興味のある方は、古の文化と職人技に敬意を表しに奈良に行ってみてはいかがでしょうか・・・。