今年も正倉院展に行って来ました・・・。古の文化と職人技(そのセンス)に敬意を表しに奈良に行って来たワケです。毎年、正倉院展にはすばらしい宝物が多く出品されているのですが、今年の出品されている宝物は、ちょっとハズレだったかな・・という感じがしました。とは言うものの・・これはあくまで私の感覚(価値観)ですからね・・。
という事で、今年も出品の中から宝物を1つ紹介したいと思います。今年は聖武天皇ゆかりの品として、「漆胡瓶(しっこへい)」が18年ぶりに出展されています。(下の画像)
球形の胴部に鳥頭形の注口をのせ、弓なりの把手と太い帯をめぐらした脚と裾広がりの円座をもつ水瓶です。「胡」は中国より見て西方の国や民族を意味していて、下ぶくれの胴部と把手を有する水瓶はササン朝ペルシヤで多く作られ、その影響で中国でも流行したことから「胡瓶(こへい)」と呼ばれたそうです。
この品は内外面ともに黒漆を塗り、外面の全面に銀平脱技法による文様を表しています。文様は蓋・頸・胴・脚と円座では、山岳・鹿・種々の鳥・蝶・草花などを散らすように表し、蓋の鐶座には六弁花文を、把手と脚の帯・円座の側面には四菱文を飾っています。
銀製の文様に唐代に流行した蹴彫が見られること、銅の材質分析から唐鏡と推定される漆背金銀平脱八角鏡と近似した文様表現が見られることなどから、唐からの将来品の可能性が高いそうです。国際性豊かな唐文化を伝える宝物ということですね。
今年も例年のごとく、正倉院展に行った際に他の寺社も訪れようと安倍文殊院に行く予定をしていたのですが、ちょっと時間の都合(段取りに問題?)で・・残念ながら訪れることが出来ませんでした。
安倍文殊院は、来年の楽しみにしておく事にします・・・。