この本は、作者の直木賞受賞記念コーナーに並んでいた中で、一番面白そうだったから買ったものです。
新潮文庫(629円、税別)で470ページある結構私には厚い本だった。最初の部分は何が始まるのかわからない筋書きだったが、主人公の友達が自殺(他殺?)したところから、俄然面白くなり、最後まで一気に読むことができた。
しかし、今まで読んだ本の中では、異色な本だった。というのは、死んだ人の生まれ変わりがいて、その生まれ変わった動物(猫や蜘蛛やかまどうま)としゃべりながら犯人は誰かを推理していくというサスペンスだからだ。
最初犯人はきっと先生だと思っていたが、読み進むうちにそうでないことがわかってくる。それぞれの人間がそれぞれの過去を持ち、他人に犯人と思わせようとする?ところがこの本のストーリーで面白いところだ。(内容は読んでからのお楽しみ)
「みんな同じなんだ。僕だけじゃない。自分がやったことをぜんぶそのまま受け入れて生きていける人なんていない。どこにもいない。失敗をぜんぶ後悔したり、取り返しのつかないことをぜんぶ取り返そうとしたり、そんなことやっていたら生きていけっこない。だからみんな物語をつくるんだ。昨日はこんなことをした。今日は、こんなことをしているって思い込んで生きている。見たくないところは見ないようにして、見たいところはしっかり憶えこんで。」(P444)が印象的でした。