マーケティング研究 他社事例 619 「社会課題とビジネスでの解決4」 ~インパクト投資~
社会的影響に配慮しない企業経営に対する投資家の目が厳しくなっています。
要するに、ESGの広がりで、企業が環境や人を傷つける経営をすることや、その基盤となるコンプライアンス整備に消極的なことに対して、投資家や消費者の目が厳しくなって来たという事です。
現在世界のでは、社会課題解決ビジネスに収益を期待して資金を投じる動きも出て来ました。
その動きを『インパクト投資』と言います。
従来との違いは、寄付のように資金を提供するだけに終わらずに、投資や事業活動として社会課題解決に取り組むことです。
実際に、どの程度解決に役立ったか?投じた資金からどのような収益が得られるかの立証にも強い規律が求められています。
インパクト投資には、2つのセグメントがあります。
1つはインパクト・ファースト・インパクト投資です。
収益より社会に与えるインパクトを優先する投資のことが、インパクト・ファースト・インパクト投資です。
こうしたインパクト投資を本業にする組織としては、発展途上国の貧困問題に取り組むアメリカの非営利組織アキュメンや、アメリカのイーベイの創業者がアメリカで設立した、社会課題解決を目指す国際的な投資会社オミダイアネットワークがあります。
インパクト・ファーストの人々は、重要な課題の解決を志す社会的企業に投資します。
お金が戻る事も期待しますが、必ずしもそれが一番重要なわけではありません。
最も重要なのは、社会課題の解決です。
そして多少の見返りを期待するのです。
もう1つは、ファイナンス・ファースト・インパクト投資です。
インパクト・ファーストとは別に、投資の見返りを最重視しつつ、投資先の企業活動を通じ社会課題の解決も狙うのです。
いずれにしても今の時代、ESG投資に積極的であることが、資金調達面で有利に働く環境になりつつあることは間違いありません。
「ESG投資の市場規模は、大体10兆ドル(約1100兆円)以上あるとされるのに対し、インパクト投資の市場規模はまだ5000億ドル(約50兆円)程度と見られています。
ESG投資市場から見れば、まだ小さいとは言え、急成長しており、スイスの世界でもっとも大きな銀行の一つである、クレディ―・スイスにはインパクト投資の部署があり、本気度がうかがえます。
インパクト投資部門の具体的な活動はどのようなものなのでしょうか?
クレディ・セゾンの場合、例えば、中国の貧しい農家にブルーベリー栽培で成功する手助けをしている企業に投資しています。
この会社は、農家が育てたブルーベリーを世界中に輸出出来る仕組みを構築しています。
高品質のブルーベリーに対する世界的なニーズは高まっており、仲介する企業には、大きなビジネスチャンスです。
一方、この動きは農家が貧困から脱する貴重な機会となり、社会格差の解消に結びつきます。
このブルーベリーの例は、投資の見返りでも、社会課題の解決でもともに相応の成果を得られた理想的なインパクト投資といえますが、実際にはここまでうまくいかない時もあります。
インパクト・ファーストの投資家なら、インパクト優先で低収益で妥協するかもしれませんが、ファイナンス・ファーストの投資家は、インパクトがあっても収益がなければ投資はしません。
CSV(共有価値の創造)の議論に似ていますが、ESG投資で資金調達を狙う企業もやはり、インパクトと収益を同時に満たす必要がありますが、意外にも、両方を満たせる機会はかなりあると言えます。
そうはいっても、どう工夫しても収益を出しにくいケースもあります。
年金基金のように、善管注意義務があり収益で妥協できないファンドもあります。
もうからないかもしれない場合、投資先として対象から外れてしまいます。
そういった場合であっても、インパクト・ファースト投資家からであれば資金調達は可能となるでしょう。
高い純資産価値を追求する個人資産家や、女性の活躍に大きな関心を抱く篤志家などがそうです。
もうからなくても、困難な課題に取り組む企業の手助けができればいいからです。
では、インパクト・ファースト・インパクト投資と、慈善活動の違いとは何でしょうか?
慈善事業は、簡単い言えば、最初からお金を失う前提です。
一方、インパクト投資は、少なくとも投資した分は回収することを期待しています。
緊急でビジネスモデルさえ作れない時、例えば台風でで村の多くの貧しい人々が犠牲になったり、地震があったりしたときには、まず資金支援が第一となります。
こうした場合は慈善活動が必要となるでしょう。
注意したいのは、環境配慮を表面的に標榜するのは危険という事だと思います。
インパクト投資では、高いインパクトがあると明確に証明しなければなりません。
確固たる戦略と方法論が必要です。
美談だけでは単なるうわべだけ環境に配慮していることを装う活動になってしまいます。
企業がCSR報告書で無関係な森林の写真を多用し「環境配慮」の誤解を与えることも、うわべだけを装う活動になります。
ビジネスを通じた社会課題の解決には、真剣な戦略と測定方法をつくり、良いインパクトを起こさなければなりません。
バングラディシュでグラミン銀行を設立し、マイクロファイナンスを普及しノーベル平和賞を受賞した、ムハマド・ユヌス博士は、お金持ちになるために起業したのではありませんでした。
貧しい女性の人生に前向きな影響をもたらすためであり、明確な戦略と方法論があったのです。
※投資の種類をまとめると以下の通りです。
・一般的な投資
⇒リターンをる為の投資
・責任投資
⇒特定分野を排除した投資(武器、たばこ、アルコールなど)
・サスティナブル投資
⇒ESG(環境・社会・統治)関連で先進的な企業や部門などに投資
・インパクト投資(ファイナンスファースト)
⇒計測可能な社会インパクトの創出と、投資収益の二兎を追う
⇒トレードオフ無し
・インパクト投資(インパクトファースト)
⇒計測可能な社会インパクトの創出と、投資収益の二兎を追う
⇒トレードオフやリスクが存在
・一般的な慈善活動
⇒給付と投資の組み合わせなどで、社会課題解決が目的の活動を支援
・ベンチャー的慈善活動
⇒社会課題解決が目的の企業を、給付型のファンドや投資などを通じて支援
(続く)
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ご興味があればご一読下さい。
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お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
社会的影響に配慮しない企業経営に対する投資家の目が厳しくなっています。
要するに、ESGの広がりで、企業が環境や人を傷つける経営をすることや、その基盤となるコンプライアンス整備に消極的なことに対して、投資家や消費者の目が厳しくなって来たという事です。
現在世界のでは、社会課題解決ビジネスに収益を期待して資金を投じる動きも出て来ました。
その動きを『インパクト投資』と言います。
従来との違いは、寄付のように資金を提供するだけに終わらずに、投資や事業活動として社会課題解決に取り組むことです。
実際に、どの程度解決に役立ったか?投じた資金からどのような収益が得られるかの立証にも強い規律が求められています。
インパクト投資には、2つのセグメントがあります。
1つはインパクト・ファースト・インパクト投資です。
収益より社会に与えるインパクトを優先する投資のことが、インパクト・ファースト・インパクト投資です。
こうしたインパクト投資を本業にする組織としては、発展途上国の貧困問題に取り組むアメリカの非営利組織アキュメンや、アメリカのイーベイの創業者がアメリカで設立した、社会課題解決を目指す国際的な投資会社オミダイアネットワークがあります。
インパクト・ファーストの人々は、重要な課題の解決を志す社会的企業に投資します。
お金が戻る事も期待しますが、必ずしもそれが一番重要なわけではありません。
最も重要なのは、社会課題の解決です。
そして多少の見返りを期待するのです。
もう1つは、ファイナンス・ファースト・インパクト投資です。
インパクト・ファーストとは別に、投資の見返りを最重視しつつ、投資先の企業活動を通じ社会課題の解決も狙うのです。
いずれにしても今の時代、ESG投資に積極的であることが、資金調達面で有利に働く環境になりつつあることは間違いありません。
「ESG投資の市場規模は、大体10兆ドル(約1100兆円)以上あるとされるのに対し、インパクト投資の市場規模はまだ5000億ドル(約50兆円)程度と見られています。
ESG投資市場から見れば、まだ小さいとは言え、急成長しており、スイスの世界でもっとも大きな銀行の一つである、クレディ―・スイスにはインパクト投資の部署があり、本気度がうかがえます。
インパクト投資部門の具体的な活動はどのようなものなのでしょうか?
クレディ・セゾンの場合、例えば、中国の貧しい農家にブルーベリー栽培で成功する手助けをしている企業に投資しています。
この会社は、農家が育てたブルーベリーを世界中に輸出出来る仕組みを構築しています。
高品質のブルーベリーに対する世界的なニーズは高まっており、仲介する企業には、大きなビジネスチャンスです。
一方、この動きは農家が貧困から脱する貴重な機会となり、社会格差の解消に結びつきます。
このブルーベリーの例は、投資の見返りでも、社会課題の解決でもともに相応の成果を得られた理想的なインパクト投資といえますが、実際にはここまでうまくいかない時もあります。
インパクト・ファーストの投資家なら、インパクト優先で低収益で妥協するかもしれませんが、ファイナンス・ファーストの投資家は、インパクトがあっても収益がなければ投資はしません。
CSV(共有価値の創造)の議論に似ていますが、ESG投資で資金調達を狙う企業もやはり、インパクトと収益を同時に満たす必要がありますが、意外にも、両方を満たせる機会はかなりあると言えます。
そうはいっても、どう工夫しても収益を出しにくいケースもあります。
年金基金のように、善管注意義務があり収益で妥協できないファンドもあります。
もうからないかもしれない場合、投資先として対象から外れてしまいます。
そういった場合であっても、インパクト・ファースト投資家からであれば資金調達は可能となるでしょう。
高い純資産価値を追求する個人資産家や、女性の活躍に大きな関心を抱く篤志家などがそうです。
もうからなくても、困難な課題に取り組む企業の手助けができればいいからです。
では、インパクト・ファースト・インパクト投資と、慈善活動の違いとは何でしょうか?
慈善事業は、簡単い言えば、最初からお金を失う前提です。
一方、インパクト投資は、少なくとも投資した分は回収することを期待しています。
緊急でビジネスモデルさえ作れない時、例えば台風でで村の多くの貧しい人々が犠牲になったり、地震があったりしたときには、まず資金支援が第一となります。
こうした場合は慈善活動が必要となるでしょう。
注意したいのは、環境配慮を表面的に標榜するのは危険という事だと思います。
インパクト投資では、高いインパクトがあると明確に証明しなければなりません。
確固たる戦略と方法論が必要です。
美談だけでは単なるうわべだけ環境に配慮していることを装う活動になってしまいます。
企業がCSR報告書で無関係な森林の写真を多用し「環境配慮」の誤解を与えることも、うわべだけを装う活動になります。
ビジネスを通じた社会課題の解決には、真剣な戦略と測定方法をつくり、良いインパクトを起こさなければなりません。
バングラディシュでグラミン銀行を設立し、マイクロファイナンスを普及しノーベル平和賞を受賞した、ムハマド・ユヌス博士は、お金持ちになるために起業したのではありませんでした。
貧しい女性の人生に前向きな影響をもたらすためであり、明確な戦略と方法論があったのです。
※投資の種類をまとめると以下の通りです。
・一般的な投資
⇒リターンをる為の投資
・責任投資
⇒特定分野を排除した投資(武器、たばこ、アルコールなど)
・サスティナブル投資
⇒ESG(環境・社会・統治)関連で先進的な企業や部門などに投資
・インパクト投資(ファイナンスファースト)
⇒計測可能な社会インパクトの創出と、投資収益の二兎を追う
⇒トレードオフ無し
・インパクト投資(インパクトファースト)
⇒計測可能な社会インパクトの創出と、投資収益の二兎を追う
⇒トレードオフやリスクが存在
・一般的な慈善活動
⇒給付と投資の組み合わせなどで、社会課題解決が目的の活動を支援
・ベンチャー的慈善活動
⇒社会課題解決が目的の企業を、給付型のファンドや投資などを通じて支援
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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HP https://www.fuudokaikaku.com/
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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣