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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 624 「業界最大手の破綻」 ~ハーツレンタカー~

2020-08-21 09:04:58 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 624 「業界最大手の破綻」 ~ハーツレンタカー~


アメリカのレンタカー最大手のハーツ・グローバル・ホールディングスは5月22日に、アメリカ連邦破産法11条の適用を裁判所に申請し、事実上経営破綻しました。

新型コロナウイルスの感染拡大によりビジネス客や旅行客が減り、需要が大幅に減少したためです。

2019年1月期~3月期に79%だったレンタカーの稼働率は20年1月~3月期には67%に落ち込んでいました。

1918年創業のハーツはアメリカのレンタカービジネスの最大手です。

フランチャイズを含めれば日本をはじめ世界約1万カ所の営業拠点を持ち、空港でのビジネスを中核に成長してきました。

新型コロナが破綻の引き金となったものの、経営不振はその前からありました。

ウーバーテクノロジーズやリフトなどが手掛けるライドシェアのサービスが普及し顧客を奪われていたのです。

ハーツは耐用年数の終了が近い車両をウーバーのドライバーへ割安で貸し出すビジネスを始めるなど、車両の稼働率を高めようとしました。

それでも業績は厳しかったのです。

2019年度は5800万ドル(約62億円)の最終赤字で、ここ数年赤字が続いていました。

2012年に合意した同業大手の約23億ドルでの買収も重荷となり、資金繰りが苦しくなっていました。

北米の新車台数では、利幅は薄いが一定の販売台数が確保できるレンタカーなどの法人向け(フリート)が自動車各社の販売を支えて来ました。

アメリカ運輸統計局によると2018年のレンタカー向け自動車販売は178万台でした。

2015年をピークに減少傾向にありますが、新車販売台数に占める割合は約1割と買い手としての力は依然として大きいのが現状です。

しかしフリート販売はもろ刃の剣となります。

相場よりも安い中古車が市場に大量に出回り、ブランド力の下落を招くからです。

日産自動車も販売目標達成のためにフリート販売を増やしたことが北米事業の業績悪化につながり、経営再建に向けた大きな課題として残っています。

新型コロナウイルスによりプライベート空間が保てる自動車の価値は見直されたものの、市場構造は変わろうとしています。

シェアビジネスへの逆風によりウーバーが人員削減に追い込まれていることがそれを物語っています。

変革の波に乗り遅れれば瞬く間に淘汰されてしまいます。

ハーツ破綻はポスト・コロナ時代の到来を象徴していると言えますね。

ちなみにハーツレンタカーは業界1位でした。

業界2位だったエイビスレンタカーに「私たちは2位のレンタカー会社なのでもっと頑張ります!!」という広告を打たれた事で有名です。

ちなみにハーツのそのやり返しも有名で「1位には理由がある」という広告でした。

面白いのでもう一つ。

同じような広告に、セブンアップの話もあります。

セブンアップは「これはコカ・コーラでは無い」という広告を打ちました!!

業界大手を巻き込み、自社をアピールする秀逸なやり方として、今でも伝説的な逸話として語り継がれています。



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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