マーケティング研究 他社事例 628 「翻弄される消費者!?2」 ~デマ拡散防止の共同戦線~
SNS大手がこれまで以上に踏み込んだ対策に乗り出した背景には、SNS特有の「デマ増幅メカニズム」があります。
一つは得られる情報の多くが、同じ価値観を共有する友人や、好きな芸能人から発信されるということです。
信用している人からの情報はうのみにしやすく、安易に拡散してしまいがちです。
昨年には、化学的根拠に乏しいと判明した「血液クレンジング療法」という治療法が広く知れ渡りました。
複数の芸能人の投稿がきっかけで、緊急事態宣言の発令前後には「日本赤十字社関連病院の医師から『現場では医療崩壊のシナリオが想定されている』と伝え聞いた」という内容のメールも拡散しました。
このデマも知り合いや家族間でのやりとりを通して広まっています。
人々が1日の間に触れる情報量が増えていることもデマ拡散の一因です。
様々な投稿やニュースなどがSNS上で大量に配信されるため、利用者は一つひとつの情報について深く知ろうとしなくなります。
SNSの投稿は短文が中心で、ただでさえ舌足らずで文意が誤解されやすいのが特徴です。
読者は大量の情報を流し読むだけで、投稿内容をよく理解せず反射的に拡散させがちです。
さらに一度拡散したデマはなかなか消しづらいのは皆さんもご存知の通りです。
ツイッターで拡散して収束したデマが掲示板など、別のコミュニティーで再び話題になったり、以前とは多少文脈を変えて拡散されたりしています。
特定のSNSしか使わない人は、外部でデマが否定されても気付かずに拡散させてしまうのです。
ネット上の炎上対策サービスを提供するエルテスは、デマの疑いのあるネット上の情報が、時間経過とともにどのように広がり、収束していくのか追跡調査をしています。
同社は、「オリンピックの延期を回避する為、政府や東京都がPCR検査数を意図的に抑制していたという不確かな情報も、メディアが調査をして3月に否定したのに、4月になって再び話題になっていた」と話します。
SNS時代のこうした厄介なデマ拡散問題に対抗するため、メディア企業やICT(情報通信技術)企業らが参画し、ファクトチェックの支援活動をする特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ 千代田区)が立ち上がりました。
2017年に、当初は任意団体として発足したFIJは、ネット上の情報や各種の報道などから、真偽が疑わしい情報を抽出し、加盟するメディアやNPO法人に通知しています。
メディアや団体は通知される情報から、社会的な影響度や自分たちの専門分野に応じて案件を選び、情報の出どころを取材します。
デマ拡散の経緯や正しい事実関係を調査記事としてまとめて公開しています。
インターネット上のデマの疑いのある情報を洗い出すために、FIJは「疑義言説自動収集システム」という独自の仕組みを開発しました。
その際、ニュースアプリを運営するスマートニュース(渋谷)と、言語処理技術を研究する東北大学の乾健太郎教授らが技術協力したのでした。
ネット上に投稿された膨大な文章の意味をコンピューターが解析し、デマの可能性がある情報を1日に数百件抽出し、FIJのスタッフが内容を確認し、社会的な影響度を勘案して数件に絞り込み、加盟各社に通知するのです。
ネットニュースなどの事業を手掛けるバズフィードジャパンもFIJに参画しています。
アメリカに本部を置くバズフィードは、「フェイクニュース」は飛び交った2016年の大統領選挙でファクトチェック記事の重要性に着目しました。
日本では2017年から現在の形でファクトチェック記事の配信を始めました。
同社は、「多い時は週に3~4本のファクトチェック記事を配信している」と言います。
インフォデミックは、企業にとっても大きな経営リスクになります。
新型コロナ関連でも「この店で感染者が出た」といった根も葉もない風評による被害が散見されました。
自社がデマのターゲットになってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
SNS上の災害・事故情報の配信サービスを手掛けるスペクティ(千代田区)はデマが拡散しているのと同じメディア上で正しい情報を発信する事が重要だと指摘しました。
その理由を、「SNS上でデマが広がっている場合、公式情報を自社のホームページに掲載しても、デマ情報を読んだ利用者に届かない場合が多い」としています。
SNSに公式アカウントを設けて平時から情報発信をしておくことも大切です。
事前にある程度のフォロワーがいればデマ情報が拡散し始めても、それが誤りであると即座に伝えてくれる可能性があるからです。
正しい公式情報の内容や、それがどこで見られるかといった情報を拡散してくれる可能性もあり得ます。
エルテスは、「誤った情報で大きな風評被害を受ける企業は、普段からインターネット上で自社に関してどのような書き込みがされているのか把握していない場合が多い」と言います。
テレビの報道で自社についてのデマがSNSで出回っている事を知り、慌てて相談に来る企業もあったといいます。
さらに、ステークホルダー(利害関係者)との信頼関係を築けているかも大きなポイントです。
デマ情報自体は事実無根だったとしても、その情報を受け取った人が信じるかどうかは、企業イメージに大きく左右されるからです。
「過去に不祥事を起こし、その時のマイナスイメージをまだ払しょくできていない企業の場合、ネガティブなデマ情報が一気に広がりやすい」とエルテスは解説します。
SNSの発達により、世界中の人々が自由に情報を発信し、連携できるようになりました。
グーグルのエリック・シュミット元会長兼CEO(最高経営責任者)はかつて、スマートフォンやSNSなどを手にした個人を、立法、司法、行政、報道機関に続く「第5の権力」と言い表しました。
しかし、まだ多くの利用者がその「権力」の使い方に習熟していません。
コロナ危機がもたらしたインフォデミックがその証左です。
情報が瞬時に拡散するSNS時代では、利用者一人ひとりが「発信者」であるという自覚を持つとともに、企業はデマ拡散リスクを織り込んだ経営をする必要があると言えます。
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
SNS大手がこれまで以上に踏み込んだ対策に乗り出した背景には、SNS特有の「デマ増幅メカニズム」があります。
一つは得られる情報の多くが、同じ価値観を共有する友人や、好きな芸能人から発信されるということです。
信用している人からの情報はうのみにしやすく、安易に拡散してしまいがちです。
昨年には、化学的根拠に乏しいと判明した「血液クレンジング療法」という治療法が広く知れ渡りました。
複数の芸能人の投稿がきっかけで、緊急事態宣言の発令前後には「日本赤十字社関連病院の医師から『現場では医療崩壊のシナリオが想定されている』と伝え聞いた」という内容のメールも拡散しました。
このデマも知り合いや家族間でのやりとりを通して広まっています。
人々が1日の間に触れる情報量が増えていることもデマ拡散の一因です。
様々な投稿やニュースなどがSNS上で大量に配信されるため、利用者は一つひとつの情報について深く知ろうとしなくなります。
SNSの投稿は短文が中心で、ただでさえ舌足らずで文意が誤解されやすいのが特徴です。
読者は大量の情報を流し読むだけで、投稿内容をよく理解せず反射的に拡散させがちです。
さらに一度拡散したデマはなかなか消しづらいのは皆さんもご存知の通りです。
ツイッターで拡散して収束したデマが掲示板など、別のコミュニティーで再び話題になったり、以前とは多少文脈を変えて拡散されたりしています。
特定のSNSしか使わない人は、外部でデマが否定されても気付かずに拡散させてしまうのです。
ネット上の炎上対策サービスを提供するエルテスは、デマの疑いのあるネット上の情報が、時間経過とともにどのように広がり、収束していくのか追跡調査をしています。
同社は、「オリンピックの延期を回避する為、政府や東京都がPCR検査数を意図的に抑制していたという不確かな情報も、メディアが調査をして3月に否定したのに、4月になって再び話題になっていた」と話します。
SNS時代のこうした厄介なデマ拡散問題に対抗するため、メディア企業やICT(情報通信技術)企業らが参画し、ファクトチェックの支援活動をする特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ 千代田区)が立ち上がりました。
2017年に、当初は任意団体として発足したFIJは、ネット上の情報や各種の報道などから、真偽が疑わしい情報を抽出し、加盟するメディアやNPO法人に通知しています。
メディアや団体は通知される情報から、社会的な影響度や自分たちの専門分野に応じて案件を選び、情報の出どころを取材します。
デマ拡散の経緯や正しい事実関係を調査記事としてまとめて公開しています。
インターネット上のデマの疑いのある情報を洗い出すために、FIJは「疑義言説自動収集システム」という独自の仕組みを開発しました。
その際、ニュースアプリを運営するスマートニュース(渋谷)と、言語処理技術を研究する東北大学の乾健太郎教授らが技術協力したのでした。
ネット上に投稿された膨大な文章の意味をコンピューターが解析し、デマの可能性がある情報を1日に数百件抽出し、FIJのスタッフが内容を確認し、社会的な影響度を勘案して数件に絞り込み、加盟各社に通知するのです。
ネットニュースなどの事業を手掛けるバズフィードジャパンもFIJに参画しています。
アメリカに本部を置くバズフィードは、「フェイクニュース」は飛び交った2016年の大統領選挙でファクトチェック記事の重要性に着目しました。
日本では2017年から現在の形でファクトチェック記事の配信を始めました。
同社は、「多い時は週に3~4本のファクトチェック記事を配信している」と言います。
インフォデミックは、企業にとっても大きな経営リスクになります。
新型コロナ関連でも「この店で感染者が出た」といった根も葉もない風評による被害が散見されました。
自社がデマのターゲットになってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
SNS上の災害・事故情報の配信サービスを手掛けるスペクティ(千代田区)はデマが拡散しているのと同じメディア上で正しい情報を発信する事が重要だと指摘しました。
その理由を、「SNS上でデマが広がっている場合、公式情報を自社のホームページに掲載しても、デマ情報を読んだ利用者に届かない場合が多い」としています。
SNSに公式アカウントを設けて平時から情報発信をしておくことも大切です。
事前にある程度のフォロワーがいればデマ情報が拡散し始めても、それが誤りであると即座に伝えてくれる可能性があるからです。
正しい公式情報の内容や、それがどこで見られるかといった情報を拡散してくれる可能性もあり得ます。
エルテスは、「誤った情報で大きな風評被害を受ける企業は、普段からインターネット上で自社に関してどのような書き込みがされているのか把握していない場合が多い」と言います。
テレビの報道で自社についてのデマがSNSで出回っている事を知り、慌てて相談に来る企業もあったといいます。
さらに、ステークホルダー(利害関係者)との信頼関係を築けているかも大きなポイントです。
デマ情報自体は事実無根だったとしても、その情報を受け取った人が信じるかどうかは、企業イメージに大きく左右されるからです。
「過去に不祥事を起こし、その時のマイナスイメージをまだ払しょくできていない企業の場合、ネガティブなデマ情報が一気に広がりやすい」とエルテスは解説します。
SNSの発達により、世界中の人々が自由に情報を発信し、連携できるようになりました。
グーグルのエリック・シュミット元会長兼CEO(最高経営責任者)はかつて、スマートフォンやSNSなどを手にした個人を、立法、司法、行政、報道機関に続く「第5の権力」と言い表しました。
しかし、まだ多くの利用者がその「権力」の使い方に習熟していません。
コロナ危機がもたらしたインフォデミックがその証左です。
情報が瞬時に拡散するSNS時代では、利用者一人ひとりが「発信者」であるという自覚を持つとともに、企業はデマ拡散リスクを織り込んだ経営をする必要があると言えます。
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣