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トランプ氏の反ウクライナ姿勢、根底にあるのは被害妄想か ボルトン元大統領補佐官の見解

2025年02月26日 13時03分17秒 | 国際情勢のことなど

トランプ氏の反ウクライナ姿勢、根底にあるのは被害妄想か ボルトン元大統領補佐官の見解(飯塚真紀子) - エキスパート - Yahoo!ニュース 






トランプ氏の反ウクライナ姿勢、根底にあるのは被害妄想か ボルトン元大統領補佐官の見解


飯塚真紀子


在米ジャーナリスト
2/26(水) 8:07
(写真:ロイター/アフロ)
 ゼレンスキー氏を“選挙なき独裁者”と呼んでウクライナでの大統領選の必要性を示唆し、さらには、米国の軍事支援の見返りとしてウクライナのレアアースを求めたり、プーチン氏が望むのなら「ウクライナ全土を手に入れることができる」と述べたりして、ゼレンスキー氏に対して強い圧力をかけているトランプ氏。トランプ氏は、なぜ、ここまで反ウクライナ的な姿勢を見せているのか?


 その根底には、トランプ氏の中に、ゼレンスキー氏やウクライナ政府に起因する被害妄想があるのかもしれない。そんな見方を、トランプ政権下、大統領補佐官(国家安全保障担当)としてトランプ氏を傍らから見ていたジョン・ボルトン氏が、米オンラインニュースサイトThe Dispatchに対して示している。


ゼレンスキー氏との電話会議がもたらした「ウクライナ疑惑」
 どういうことなのか? 


 それは、2019年7月25日に遡る。この日、トランプ氏は当時ウクライナの大統領に就任して間もないゼレンスキー氏と電話会議を行っていた。そして、この会議の中で、トランプ氏は、ゼレンスキー氏に、凍結していたウクライナへの軍事支援と引き換えに、2020年の大統領選で政敵になる可能性があるジョー・バイデン氏とその息子ハンター・バイデン氏に関する調査するよう圧力をかけたとする疑惑が起きた。いわゆる「ウクライナ疑惑」と呼ばれて、当時、注目されていた疑惑だ。


 トランプ氏がゼレンスキー氏に求めたとされる調査は、ウクライナの検察当局が汚職の疑いがあるとして捜査していた同国のガス会社ブリスマの取締役を務めていたハンター氏が同社から不正な利益を得ていたのではないか、そして、当時、副大統領だったバイデン氏がハンター氏を守るために検事総長の解任を要求したのではないかという疑惑に関する調査だ。


 トランプ氏はこの疑惑を大統領選の政敵になるであろうバイデン氏を陥れるために掘り起こそうと考え、凍結していたウクライナへの軍事支援と引き換えに、バイデン親子の疑惑を調査するようゼレンスキー氏に圧力をかけたと見られたのだ。そして、下院は、この圧力は、トランプ氏自身が政治的利益を得るために行った「権力乱用」であるとし、さらには「議会妨害」したとも主張して、同氏に対する大統領弾劾の手続きを開始、2019年12月、同氏は下院に弾劾された。


 ゼレンスキー氏と交わした1本の電話会議が「ウクライナ疑惑」を生み出し、結果的に下院での弾劾に繋がったことは、トランプ氏にとっては大きな“負のレガシー”となったことだろう。実際、ボルトン氏は「彼(トランプ氏)は(ゼレンスキー氏との)電話会議がもたらした結果から立ち直ることはなかった」と当時を振り返っている。


 もっとも、上院へと移行した大統領弾劾裁判では、トランプ氏に対し、共和党が多数を占める上院では無罪評決が下された。自著の中で、ウクライナがバイデン親子の調査に協力するまでウクライナへの軍事支援を凍結したいという考えをトランプ氏から伝えられたと述べ、証人として証言するかどうかが注目されていたボルトン氏の召喚が、共和党が多数の上院で反対多数で否決され、ボルトン氏が証言できなかったことが、無罪評決となった一因とされている。


すべてはトランプ氏の被害妄想だ
 そのボルトン氏は、トランプ氏がゼレンスキー氏やウクライナに対して不満を持ち続けていたと話している。また、退任後も、トランプ氏が引き続き不満を持ち続けていたという話をトランプ氏の関係者から聞いていた。


 さらには、ヒラリー・クリントン氏と闘った2016年の大統領選についても、トランプ氏は、ウクライナ政府がトランプ陣営に不利になるよう選挙に介入したと考えていたという。確かに、トランプ氏は、クリントン陣営はウクライナ政府と共謀していると主張し、クリントン元国務長官に対する調査を望んでいたことも当時報じられている。


 ボルトン氏によると、トランプ氏は「ウクライナのヒラリー・クリントンのサーバーはどこにある?」「なぜ、彼らは2016年に私に反対する選挙運動をしたのか?」「なぜ、彼らは、2020年の今、同じことをしようとしているのか?」などと述べていたという。これらの発言からは、トランプ氏が、ウクライナ政府に対し、長い間、強い不信感を持ち続けていたことがうかがえる。


 もっとも、ボルトン氏はトランプ氏のそのような見方について「すべては彼の被害妄想だった。しかし、彼はそんな考えを持っていた」と言及している。


前提にはウクライナ政府やプーチン氏に対する見方があるのか
 ウクライナ政府と民主党政権は共謀しているという猜疑心を持ってきたトランプ氏。さらには、「ウクライナ疑惑」をめぐって、大統領弾劾裁判にかけられ、下院に弾劾されたトランプ氏。同氏がウクライナ政府に対して長年持ち続けてきた不信感やボルトン氏が指摘するところのウクライナ政府に起因する被害妄想もまた、今のトランプ氏のゼレンスキー氏批判へと繋がっているのかもしれない。


 一方、トランプ氏はプーチン氏に対しては、ゼレンスキー氏やウクライナ政府に対して感じていたようなネガティブな考えを持っていなかったのだろうか? 実際、トランプ氏はロシアがウクライナ侵攻を開始した直後には、プーチン氏を“天才”と称賛した。また、2018年、ヘルシンキで行われた米露首脳会談では、ロシアが米国の大統領選に介入したとされる「ロシア疑惑」について「プーチン氏は強くして否定している」と言って、「ロシア疑惑」を調査した米調査機関を信じず、プーチン氏を擁護するような発言をした。その意味では、トランプ氏はプーチン氏に対してはネガティブな考えを持っていなかった、あるいは、ロシアと良好な関係を保つためにネガティブな考えを持っていないフリを見せていたのかもしれない。そして、今も、そんなフリを見せているのかもしれない。というのは、ボルトン氏によると、トランプ氏は「国家間の関係は、実際には、首脳間の関係にかかっていると考えている」と述べていたからだ。つまり、首脳であるトランプ氏とプーチン氏が良好な関係を保っていれば、米国とロシアと良好な関係を保つことができるとトランプ氏は考えているわけである。


 このように、トランプ氏はウクライナ政府に対しては強い不信感を示していたが、プーチン氏に対しては(フリかもしれないが)不信感を示して来なかった。トランプ氏が、今、反ゼレンスキー・親プーチン的な姿勢を見せている背景には、今に至るまでに、トランプ氏が両者をどのように見ていたかということが前提としてあり、その見方が、多かれ少なかれ、今のトランプ氏のウクライナやロシアに対する姿勢に影響を与えているのではないか。


(飯塚真紀子・著 ウクライナ戦争関連記事:Yahoo!ニュース エキスパート)


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