2021
紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)の怪死事件で4月28日、殺人と覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された元妻、須藤早貴(さき)容疑者(25)。和歌山県警の捜査員らが早朝、東京・品川の自宅を訪れ、逮捕状を見せた時、こう語ったという。

【写真】怪死した愛犬イブを抱いた野崎さんと須藤容疑者のツーショットはこちら

「え、なぜ?」 早貴容疑者はひどく狼狽したという。早貴容疑者が住んでいたのはJR山手線大崎駅と品川駅の中間にそびえ立つ40階建てのタワーマンション。1階にいるマンションのコンシェルジュはこう話す。 「朝8時から受付に立っていますが、(逮捕は)その前のことだったようです」
ワゴン車に乗せられた須藤容疑者はそのまま羽田空港に向かい、空路で和歌山県に移送された。 「逮捕後はずっとうなだれ、ガッカリしている様子だった」(捜査関係者)
早貴容疑者は北海道札幌市出身で地元の高校卒業後、ファッション専門学校に通った後、上京。都内でモデル(自称)や成人向け映画などの仕事をしていた2017年末に野崎さんと知り合ったとされる。
早貴容疑者は2018年6月に放映されたテレビのインタビューで野崎さんとの出会いについて、「友達の紹介。紹介してくれた男性の名前は知らず、電話とLINEのみしかやりとりしていない」とぶっちゃけトーク。
出会った日に野崎さんからプロポーズされ、早貴容疑者から幾つか条件をつけて承諾したと語っていた。
「(野崎さんは)ずっと結婚願望が強い人だった。はいはいと流していたが、私の『はい』に社長が『はいと言ってくれたのは、君がはじめて』『先が短いから若い女の子と一緒にいたい』と反応。
月々100万円をくれる、和歌山には月に何回か行けばいい、とも言われたのでそれらを条件に結婚しました」 「結構、変わった人で元々の気性が荒いというか。私は怒られたことはないんですけど、結構怒りやすい人だった」
そして早貴容疑者は愛犬イブちゃんが5月6日に急死して以降、野崎氏が「死にたい」と頻繁に口走るようになったと説明していた。
「ペットロスでずっと泣いて、結構前からなんですけど、すぐ死にたいって言う。冗談半分だと誰も本気で捉えていなかった。イブちゃんが死んでからはそれが毎日。
(野崎氏が亡くなった5月)24日の日も、いつもならイブちゃんがご飯を食べて足元にいるんですけど、『足元にいないね』って寂しがっていた。社長の席からイブちゃんのお墓が見えるんですけど、そこを見てビールを飲みながら『私も早く死にたい』と言っていた。でも、そんな気ないでしょう、といつも流していたが、本当に死んでしまったので、それもあったのかなって思ってしまう」
野崎さんの死についてはこう語っていた。
「自殺はなくはないと思う。ただ、他殺と考えるなら社長は結構、恨みを買っているので。過去に刺されたりとか金融業関係でもめたりもしていた。そして家に誰でも出入りできる。私がいない時、社長の他の女の人が何人も出入りしていて、私が東京から帰ってきた時に『今日から家政婦です』と知らない女の人がいたりとかあった」
須藤容疑者は毎月100万円のお手当をもらい、野崎さんの死後、野崎さんが経営する会社から約4千万円を受け取っていた。捜査が続く中、東京都内のタワーマンションを転々とする生活を繰り返していたとされる。
野崎氏が経営する会社の従業員がこう話す。
「やはり早貴さんが逮捕されたか。ずっと怪しいと思っていた。50歳以上、年齢が離れてもともと結婚に無理があった。社長の話といえば、女か金儲けか、戦争時代に自分はくず鉄を拾い、裸一貫からのし上がったとかの自慢話。そして安倍政権、北朝鮮問題ですね。
早貴容疑者はまったくそういう話に興味がなく、和歌山に来たばかりの時は社長の前で『それググってみるね』とスマホでやっていた。社長はググるの意味がわからずポカンとしていた。そのうち、社長と一緒に複数の人がいると話が呑み込めないのでLINEでその場にいる人に『社長、何を言っているんですか』と聞くこともあった。こりゃ長く続かないと思った」
従業員によると、2018年3月に早貴容疑者の反対で結婚式が中止され、野崎さんは不信感を募らせていたという。早貴容疑者は自分の両親に結婚したことを話していなかった。
「社長自身は奥さんにぞっこんで結婚したものの、彼女の過去について何も知らなかった。だが、様々なことが耳に入るようになり、不信感を募らせていた。社長は『家の事、なんもしない。あの女はあかん』と言うようになっていました。早貴さんが逮捕されたので社長のお墓に行って線香の上げて報告したい」(前出の従業員)
3月には野崎さんに離婚を迫られていた早貴容疑者。 知人によると、近くドバイへの移住を計画していたという。ドン・ファン怪死事件の謎が解ける日は来るのか。(AERAdot.取材班)