一昨年(2015)はヴェトナム遠征が芳しくない結果で終わり、リベンジを目指していたのだが
結局昨年(2016)は遠征実行すること叶わなかった。叶わなかった理由は本業がそんなことしてる
場合では無かった為だ。しかし冷静に考えてみれば、現役の勤め人がすんなり平日含めて休暇
を取って海外旅行できるほど余裕な労働環境にはそもそもがなっていないので、行かずにお茶を
濁したと考えるべきなのだろう。そのこと自体に不満があるわけではないし毎日は仕事中心で
生活が回っているのが実情だ。
では仕事をこなしながらの海外コンテストペディションは無理かと言えば決して無理ではない。
いろいろ制約は人それぞれあるし、金銭的な課題とか、体調的に難しいとか、そもそも行きたいとは
思わないとか、後期高齢の身内がいるとか、単位が足りないとか、ペットの世話がとか、理由は
人によって千差万別、星の数ほどあるだろう。今回はそれに加えて北朝鮮リスクも割り込んできた。
で、今までの自分は「でも自分は行きたかったから行った」と言ってきたのだが、この2年
「本当にそこまで無理してでも行きたいのか?」と自問自答するようになった。初めて9M6へ
行った頃はとにかく海外へ行って無線をしてみたかったのがモチベーションだった。2回目に
V6へ行ったときは機材も全て持参するのがモチベーションだった。3回目のKH2の時はその成果を
試すことだった。4回目のXVの時は3回で終わらせたくないと思い、次への突破口を開くことだった。
今回はなんだったのか?
モチベーションの源泉が明確でないまま今回のKH2遠征の検討は始まった。だから行く場所は
どこでも良く、実務的に一番楽に遠征ができる場所ということでKH2としたのだった。名古屋から
KH0やT8への直行便があれば、そのいずれかにしたかもしれない。KH6でも良かったかもしれない。
アジアなら直行便はいろいろあるが、一昨年のXVの結果でちょっとアジアからのコンテスト参加
におよび腰になった事情もある。
従って今回は遠征先の検討は殆どしていない。最初からKH2決め打ちだった。それよりも「なんで
また無理して海外へ行くんだ?」の方が自分にとっては重要だったと思う。大げさな言い方だが
行ってみて以前ほど楽しさを感じなくなっているのであれば他の無線の楽しみ方を探すくらいの
つもりでもう一度やってみようと思ったのだった。
2011年に使ったGrand Plaza Hotelは一昨年にKG2A福田さんが利用されて、同じように使えそうな
目星は付いていたし、行き方も街の勝手も雑多なことは既に経験済みなので、事前準備らしいことは
宿に直接メールして700号室を予約するだけだ。そしてそれは何の問題もなく即完了した。ライセンス
も問題ない。リグは既にある。遠征スペシャルで用意するのはアンテナだけだ。
仕事でも同じだが、技術調査してマーケティングして競合調査してリスク分析して採算性を検討し
乾坤一擲の企画を練り上げても、最後の実行判断は「進め」か「止まれ」のいずれかであるわけで
「悩んだら進めるに倒す」としたいのだが、なかなかその胆力と言うか度胸と言うか無責任さというか
いわゆる決断力が身に付かない。そして経験を積めば積むほどネガティブな情報に目が行ってしまう
自分に嫌気をさすことがある。そして「ああ、昔は良かったよねえ」と場末の酒場で愚痴を言う。
ブレークスルーってなんだっけ?めんどくさ、なんて。
無線の電波は地球上届くのだ。多少のコンディションの良し悪しはあったところで、電力と労力は
二次曲線的に反比例するが競争さえなければ地球の裏でもどこでも届くのだ。今やそこに激しく心を
動かすほどの感激は無い。しかしタイミング次第で大きな感激に変わる。コンテストという限られた
条件の中でNew Multiから呼ばれた嬉しさは、日頃自宅でDXを追っかけている時のNew Entityに匹敵
する感激がある。その瞬間心は高揚しエキサイトできる。何処からであれパイルを浴びた時の高揚感
も同じで、アドレナリンが出血大放出となる。麻薬の様なものだ。
平日に会社を休んで海外へコンテスト遠征と言う行為には、多少のちょい悪オヤジ的な背徳的な
面白さがあるが、それだけで勢いで実行するほど若くは無い。今回のKH2遠征は脱老人化がモチベー
ションだったのかもしれない。今の自分はワクワクする能力を維持できているのか?リア充という
言葉の意味は違うが、まさに今後の自分がリアルに充実する居場所がここにあるのかを確かめたか
った様な気がする。そんなことを考えながら、やりたいことがあるなら今すぐ、ということで8月に
行きます宣言を出したのでした。
そして、実行してみてモヤモヤは大きくひっくり返された。実に、実に、面白かったのだ。
今回はこの振り返りを終えて初めて「GUAM 2017 Finish」を宣言としたい。