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IMジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

冥王星へ

2015-04-13 08:48:46 | 日記
 社内では毎週月曜に朝礼が行われ毎週変わる担当者がちょっとした小咄をする。私にもその当番が回ってきて、ある月曜、「ニューホライズンズ」の話しをした。この名前が、私には中学校時代の英語の教科書のことを思い出させ気になっていたのだ。ただし、私が使っていたのは「ニュープリンス」という教科書であったのだが。

 「ニューホライズンズ」は太陽系のはずれにある天体(主に冥王星のことだが)を探査するために2006年にNASAによって打ち上げられた探査機である。2メートル四方ぐらいの、それほど大きくない機体をケープカナベラル空軍基地を出発して以来、とてつもないスピードで飛行させ続けている。木星あたりまでの探査を目的にしていたなら太陽光パネルを広げた大きな鳥のような姿であっただろうが、冥王星のように太陽から48億キロも離れた場所となると、光が足りない。そこで太陽光パネルの代わりに原子力電池を積んでいる。この原子力電池で各種のカメラや搭載された計測装置を動かす。ニューホライズンズはまるで空飛ぶ実験室のような実験装置のかたまりだ。

 「ニューホライズンズ」が目指している冥王星は、発見されてからまだ100年経っていない。1930年にクライド・トンボーによって発見され、天の王Uranus、海の王Neptuneに続いて、地底(冥界)の王Plutoと名付けられた。第一次世界大戦が終わって10年以上が過ぎ、市民の自由意思を反映した文化が頂点を極めた頃だったかもしれない。冥王星の発見は世界中の話題をさらい、ディズニーもミッキーファミリーにプルートを加えた。しかし、頂点を過ぎて下降線をたどった世界は一気に第二次世界大戦に突入して行った。

 「ニューホライズンズ」が打ち上げから数ヶ月過ぎた2006年の夏、天文学者達が集まって「惑星」の定義を決めようという会議が行われた。その定義で考えると「惑星」とは呼べなくなってしまう星が出て来るかもしれないので、新しく「準惑星」という呼び名を作ろう、という会議だった。もちろんすべての学者の頭にあったのは冥王星の呼び方だった。その結果、冥王星はあっさり「惑星」の座を降ろされ「準惑星」ということになってしまった。発見したクライド・トンボーはどう思ったか。

 すでにこの世にいないトンボーだが、「ニューホライズンズ」が冥王星を目指すことを知った彼の娘や孫達の切なる願いを聞き入れてNASAはこの探査機に彼の遺灰を積んでいる。

 「ニューホライズンズ」は秒速10数キロというとてつもない速さで飛行しており、冥王星に到着したからと言って急減速するだけのエネルギーは持ちあわせていない。そこで、「ニューホライズンズ」はこの速さを維持したまま冥王星と衛星「カロン」の間をすり抜ける。冥王星の周辺というか太陽系の外縁には大小様々な小惑星が多数飛び回っている。その網の目の中を、たとえ1cm角の小さな浮遊物に衝突しても大破しかねない高速で「ニューホライズンズ」はすり抜けていく。無事にカロンと冥王星の間をくぐり抜けていけるかどうか。

 冥王星までの通信時間は片道5時間以上。冥王星通過の一瞬のタイミングで写真を取り計測機器を働かせることになるのだが、「今だ!」と地球から声をかけることはできない。「ニューホライズンズ」が自分でタイミングを測って自分で行動に移さなければならない。今年7月14日が、その日になるだろうと言われている。(三)


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株式会社ジェイエスピー
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